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今日の友は明日の敵?

彼は良く空を見上げる。


空は白いからだそうだ。


皆が首を傾げてどうして?と問うが彼は決して語ろうとはしない。


彼は今日も今日とて空を見上げていた。









「起きて下さい。御姫様。」

アウロラ姫は余程疲れていたのか、ヘリの中で仮眠を取り、夜もはように寝静まったにも関わらず彼が6時過ぎに起こすまでずっと眠ったままだった。


「あ……えっと……ッ!!お早う御座います。」

まだ少し寝ぼけているみたいだな。あの城ではちゃんと徹底されてたんじゃないのか?こういう事も。


「おはよう。ふふっ、突然ですが貴方には今日から学園に通ってもらいます。」


「…学園?…あ、猫。」

彼女は学校という単語に首を傾げ、彼の肩の上に奇麗に乗っている小さな黒猫に興味を持った。


学園?っておいおい。

「学園というのはですね。同じ年頃の人が集まり勉学をしたり時には遊んだりして過ごす場所の事です。何でもする、と仰ったんですから。まずはそこで一般教養を学んで下さい。後、こいつはどこかでトラウマでも持ったのか、あまり人に懐かないんです。リビって言う俺がつけた名前があるんですけどね。メスらしいです。」

「触ってもよろしいですか?」

学園の事を聞いてくれないかな。

「いいですよ。こいつがどうするか知りませんけど。」

アウロラはルビに触ろうと手を伸ばしたのだが、猫は反対側の肩の方に移動してしまった。どうやら触らしてくれないらしい。

何度か試してみたが触る事は出来なかった。


「気は済みましたか?済んだのならこの服に着替えてほしいのですが。」

その恰好で学園に行かせても面白いかも知れないが、制服が原則だからな。いや、いっそのこと一日目なら私服で登校しても規則としては大丈夫ではないだろうか?道徳的に問題ありだが。でもあの学園は譲さん坊ちゃんが多いから大丈夫かもな。


「少し変わった服であるますね。」

「………これから慣れていけばいいですよ。」

色々とね。


「俺は出てますから着替えたら呼んで下さい。」

彼は部屋から出て合図を待った。


先程報告があったがデータを見た限りでは完成に一か月は掛かるらしいな。逃げた奴らに先を越される前に何とかしておきたいのだが、こればかりはもうどうしようもない。こちらは頭脳派総出で戦闘部隊の人員も出来るだけ使っているからな。逃げた奴らは何やらバックに大きな物があるらしいし。これからは外交政策も忙しくなっていく。金も必要だ……。資金源に大企業がいるとはいってもあれを動かすには会議で奴らを説得する必要がある。邪魔だが、かといって殺したら殺したで牽制し合っているこの状態では得策ではないだろう。……神の事も頭に入れなくてはな。


それにしてもかなり喜んでたな。頭脳派の連中。

人類未踏の地にしてポストモダンの夢。将又はたまた科学者達の集大成とか何とか言って騒がしかったし。


「ふっ。」

彼は誰もいない廊下で微笑みを漏らした。


コンコン、とドアが二度叩かれ合図を受ける。


そして、彼は顔を引き締めてドアを開けた。


「……ちゃんと着ろよ。」

先が思いやられるな。









「では行ってくるが屋敷の事はちゃんと任せたぞ。光輝。」

「へい、行ってらっしゃい。」

「では、行きましょう。御姫様。」

「ミャー。」

ルビがトコトコとついてこようとしている。

「ふふっ、ルビ。君にも俺の留守を頼みたいんだ。分かるかい?。」

「ミャー。」

分かったか分かってないのかは知らないがついて行くのを止めた。

本当に良くできた猫である。





そして、実のところ彼は余程忙しい時でない日にはここから通学一時間半程の所のバルトロム学園という所に通っているのだ。

だが、年齢、名前、出身等を偽っており年齢は満たないが彼女と同じ高等部の一年生となっている。

そこの所は彼女ともしっかりと前もって打ち合わせしており、彼女はアウラという名でセビルア人として行動してもらうのだ。出身はともかくとしてこの学園では人種がポイントとなってくる。








彼が彼女を教員室に連れて行った後彼は大きなため息をついた。


彼女が無知だという事は知っており、覚悟していたが彼の想像を超えるほどであったのだ。


疲れたな。まさかこれ程とはな。あいつを学園に連れてくるのは尚早過ぎたのか?だが、遅かれ早かれ外を知らねばならなかったのだ。一週もすれば落ち着くだろう。



「どけよ!!ルソン人のくせに、自分達の立場をわきまえろ。」

前の方で誰かが騒ぎ始めた。


ルソン人とはこのクライシスの有する国においては前に先住していた者達であり、クライシスという組織の者達の大体を占めるのがセビルア人という事から社会的に下の地位とされており、それは就職にも関わってくる。


彼に取っては床に這いつくばっている者も上から見下ろす者はもっとであるが、兎に角めざわりで仕方がない存在だった。


「何があったんだい?レミ。」

近くに彼のクラスメートの女の子が立って見ていたので話しかけた。

レミは少し小柄で元気な女の子である。


「あ、お早う。エル。それがただぶつかっただけなの。」

彼の偽名はキエルで皆はエルと呼ぶ。

「そうなんだよな〜。もうこれだからこの学園のセビルア人は物騒だって言われるんだよ。」

後ろからジャンと言うひょうひょうとして丸メガネを掛けた青年も顔を出してきた。


「そうか。」

つかつかとまだ収まる気配のない騒ぎの中心に歩んでいく。

「おい、止めとけって。」

「危ないよ。」


「大体てめぇ等はな〜。」

「おい!!こんな目立つところで騒ぎを起こすのは止めてくれないかな。凄く迷惑なんだ。君はもう行っていいよ。」

慌てて覚束ない足取りでふらふらと周りの人より体を低くして駆けて行った。

「お前何勝手に逃がしてんだよ!!」


「逃がしたわけじゃないよ。彼が居るべき場所に戻したのさ。」

挑発的に言葉を返す。

「この野郎……。」


ふふふふっ、今は少し気分が悪いんだ。ストレスは早めに無くしておかないとな。…君にも知ってもらうとしようか。この世がどういうものかを。


さぁ、行くぞ。お前と俺とを接続、

「喧嘩なんて止めろ。どちらも痛み分けなんてしてもそこに意味なんてないぞ。」


「お前は……ステラ。この偽善者め。」

「ああ、そうだね。でもだからどうしたんだよ。」

「うっせえんだって言ってんだ!」

男の突然の不意打ちを簡単に交わすと足を掛けて転ばせた。

「止めた方が良いと言ってるんだよ。」

男はまだ悔しそうであったが去っていった。


「ははっ、助かったよステラ。正直どうしようかと思っていたんだ。」

ふぅ、止めてくれなくても良かったのにな。

「うん、ありがとうそう言ってくれると嬉しいよ。」

少し浮かない顔で言う。


「何だ、ステラ。さっきのあいつの言葉を気にしてるのか?…揺らぐなよ。誰に何と言われても、人にどう評価されてもお前の行動に自分だけは良い事をしたと、間違ってなかったと言ってやれよ。ちなみに俺は何時でもお前に○つけてるぜ。」

「ぷっ、少しくさくない?そのセリフ。」

そう言いながらも照れくさそうで又嬉しそうにも見える。

「こういう時にロマンチィックなセリフを使わないと使う時なんて告白の時以外無くなるぞ。」

場が収まったのでジャンとレミが傍に来ていた。


「レミ、告白はロマンティック何だって〜。」

ジャンが茶化して言うとレミの顔はほんのり赤くなった。

「ど、どういう意味よ。べ、別に私は〜。」


「いや、告白はシンプルな方が案外いいかも知れない。…貴方がずっと好きでした。」

彼はノリのつもりでレミの手を掴み笑顔を振り撒き視線を合わせてそう言った。

何も知らない周りから少しの黄色い声が上がる。

「どうだった?ジャン。」

彼は振り向き様に問うた。

「百点満点〜。」

ジャンも持ち前のノリではしゃいではいるが、内心は不安で一杯であり、ステラは温かく見守るばかりである。


「固まってどうしたんだい?レミ。」

彼が固まったままのレミの肩に手を載せた。

すると、「ばかー!!」と言いながら鞄を振り上げてきたのでそれを彼はかわすと鞄の描く円上にいたジャンに見事に当たりレミは走っていってしまった。

「何で俺だよ。痛いな〜。」


「それにしても、今日は走って行く人が多いな。」

彼のその呟きにステラは苦笑いを浮かべていた。






……この時は思っていたんだ。一生の親友っていうのはお前のことなんだと、そう信じて疑わなかったよ。

でも、それは違ったんだな。この時この瞬間もここでの思い出は、お前にとっては嘘でしかなかったんだろ。お前にとっては俺なんてただ知ってるというだけの関係なんだろ。



俺はお前にこの時言われた言葉にどれだけ救われたか…。

お前という存在にどれだけ感謝したか…。



まさか、俺とお前は一生の親友でなくて一生涯の……敵だったなんて…。

まさか、俺に心のありかを示してくれたお前が、俺の心を否定するなんて…


俺達は出会わない方が良かったのか?なぁ、この時の様に教えてくれよ。何でも知ってるんだろ。…キエル(クラウン)。







もう何よ。皆で私のことからかって。それにエルまで。いつもはあんなこと頼んでも言ってくれないのに。別に頼んだことないけど。そんなに面白いのかなー、私のリアクション。


…でも、恥ずかしかった〜。

まだ、思いだせるもん。手を取って目を見て少し感覚を開けてそれで、

「さっきは悪かったね、レミ。」

そうそうこんな感じの男の子なのに少しハスキーな声で……。


「エル!!」

「はい。」

彼は少し驚いたようだが、何ともなかったように返事を返す。


もう、いきなり出てこないでよね。それに周りで笑ってる子達がいて恥ずかしーよ。


「…くくくっ。」

「……何でエルまで笑ってるのかな……?」

「え……それは、あれだ…。」

彼がレミの威圧により返答に困っているとタイミングよく予鈴がなった。


ほっ、そう言えば冗談はほどほどだったな。


「俺は席に戻るよ。」

「……ジャンに答えてもらうからもういいよ。」

レミの隣の席はジャンだったりする。



この学園はクラスによって席が決められていたり、決められていなかったり先生によって違ったりしており、机は長机に4人ずつ座っている。移動の教室も多いので余り使わなかったりもする。ちなみにステラは隣のクラスである。



ふふっ、ここはいいな。だが、ここは俺の居場所じゃない。楽しいが何か違う。ずれ…か。


彼は窓の外を眺めていた。

いつも別段大して話しをする訳では無いが隣の席の子が話しかけて来た。


「ねぇねぇ、キエル君昨日何してた?」

名前は…何だっけ?

「特に変わったことは何もしてませんよ。家にいました。」

「あれ、人違いかな?昨日お城で見た気がしたのに。」


こいつ…いたのか?くそっ、あそこに来る人達全員にリサーチを掛けとくべきだったか。じゃああいつがここに来るのは少し不味くないか?…ばれる?どうする?あいつはこのクラスに来るんだぞ。


……ごく。

何焦ってるんだ。不審に思われるぞ。


「どうしたの?」

「いや、…お城とか聞こえたから少し呆気にとられてね。」

「ふふふっ、良いでしょ。でもね、予定なら今日までだったんだけどね。中止になったみたいなの。良く分からないんだけどね。」


間違いない。あの城だ。一応髪形位は変えさせたが…。


「ふーん、どんなご縁があったのですか?」

「ご縁?お父さんが招待されたんだよ。何でも仕事をご一緒してるらしくてね。」


…仕事?…裏の方だったら面白いのだがな。でも、こいつは妙にお喋りだな。いや、人間などそんなものか。切っ掛けや口実を見つけてスムーズに2,3言交わせば次々と口について出るからな。


先生が教室に到着した。


起立と礼を彼が言う。彼は少し休みがちだが、クラスリーダーでもある。(ジャンの推薦)


「特に言っとくことはねぇけど、今日は新しい仲間が入るぞ。入って来て。」


彼女が部屋に入ってから教壇の上に来るまで彼は窓のガラスに映った隣の子の顔を覗いていた。


特に変わった様子もないけど、どう思っているのだろうか?聞いてみるか?


「なかなかに奇麗な人ですね。歩き方にもどこか気品が感じられますし。」

「そうだね。それにしてもどこかで見た気がするんだけど?」

「女優とかにいてもおかしくないですね。」

「ふふっ、でもセビルアの人だから違うよね。」

この国の有名人は人数が少ないのである。

「親しみやすい顔、という所ですかね。」


本当に気づいていないといいのだが…。


挨拶を澄ませて歩いてきた彼女は彼の事を全く気にしない様子で通り過ぎた。

彼は自分が話しかけるまで他人になっていろと事前に言ってあるのでここは問題ない。





「それにしても凄い人気だなー。お前が来た時も結構盛り上がったけど、彼女ほどじゃなかったからなー。」

もう五時限が終わったがまだ周りに人が付いている。


「俺の時はそんなに人もこなかっただろ。」

「あれはお前が話しかけにくかったんだよ。俺も最初は窓の外をずっと見てるすかした奴だって思ってたもん。」

うんうんとレミも頷く。

「でも、視線だけはかなり集めてたぜ。」


一日観察したが、やっぱり気付いてない様子だな。それもそうか。良く見てなければ少し遠くにいたので分かりずらいだろう。目を凝らすなんてまねをするのは内の奴ら位だろうしな。







この日この時交わした言葉が巡り巡って彼の身に掛かってくるとは彼にも予想のつかないことだった。







危なかった。


何が危なかったって油断してたら学園ラブコメにでもなりそうなのが危なかったです。


それも彼女を使うのが楽しかったのもありますけど…。


何かいいですね。これが終わったら次に書いてみようとか思ったり思わなかったり…。



後、彼がいつ仕事してるの?とか疑問に思うかもですが彼は見てない所で頑張るタイプなんです。



では、締まりがないですが、また。



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