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囚われの御姫様―ザ・ファイナル

世界が泣いている気がした。


世界が壊れる音が響いてくる感じがした。


神の笑い声が聞こえてきた。


神の悲しそうな顔がそこにあった。


人間を見せられた。


人間はよく分からなかった。分かりたくなかっただけだと知っていた。


自分を見た。


とても、とても……い気がする。





  ――天女姫――


「ジェイ!!」

彼の体が地につくと共に彼の背後から神の使いに月明かりに怪しげな刃紋が浮かびあがる白い短刀を構えたエレナが飛びかかる。


ギィィィィン


男は手にしていた銃で太刀を受ける。

「…切れない!」

驚くのも無理は無いだろう彼女の持つ短刀『白月』は大抵の者は豆腐の様にスパンと切れる優れものである。


「貴方にそれは少し宝の持ち腐れですね。」


ドゥン、


彼は余っていた左腕を懐に入れると取り出さずに上着の下から打ち込む、彼女はそれを打たれるギリギリ前に察知して避け、距離を取るとすかさずアーミーナイフを投げる。


「良く鍛えられてる様だな。だが、甘い。」

彼はあろうことか左腕でそれを受けた。尤も右の側は彼女の方に標準を合わせている様だ。

彼女も直撃こそ受けたが幸いにも当たった場所が足だっただけに直ぐにどうこうということでもない。


「良く鍛えられてはいるが、それでもまだ足りない。若いのに惜しいですね……命令なので。」


ドウッドウッッ!!


「ぐぅぅ、き…さま……。」

「うふふはは、貴方も甘いですね。……貴方の私に対する評価は少し低い所にある様だが…残念でしたね。私はまだ死んでませんよ。」

男は足と腹を打たれて這いつくばりながら彼を睨みつける。内臓が傷ついたのだろうか。時折に血吐をしている。彼の方も頭が切れたらしく血が流れている。


それにしても、余程の事がない限り出てくるなと言っておいたのに……ま、仕方がないか。


「お…おま……どう。」

「俺の事は知らんでもいい。それより最後にもう一つだけ教えろ。神の奴らは何を企んでいる。」

「い……それは…言えない。」

こいつが馬鹿で良かった。…ありがとう。


「約束通り最後にしてやる。……神の使いの堕天使は全員例外なく地獄に堕ちてろ。」



さてと、少しどころではない位時間が滞ってしまったな。


「エレナ、大概の事では出てくるなと言っておいただろ。」

「だ、だって、死んだと…心配される様な事するからでしょ。」


お陰で相手の気がそれたから助かったんでけどな。

「助かったよ。」

「え……。」

「足…見せろ。」

彼女の足に応急処置を施し始める。


「…見事にやられたな。」

「うん……痛っ、手も足も出なかった。」

「負けたらどうする。」

「強くなってやる。」

お前は加速し続けるタイプだからな。その気があれば強くなれる。

「ふふっ。」

「笑うな!!」

「強くなれよ。俺達は大国を相手にするんだからな。もうこうなったら五右衛門ぐらい強くなっちまえ、その剣だって斬鉄剣なみの威力は有る筈だしな。そうだな、本当にそれ位強くなれよ。アイツは銃弾だって切ってたぜ。」

応急処置も終わった。


そういえば姫さんは何処行った?

光輝と一緒か?


「おい、光輝と姫。」

「お呼びか?」

呼ばれると直ぐに姫と供に姿を現した。


「ああ、呼んだ。もう時間を掛けたくないからな。チートを使わせてもらう。もう後ろの警備は良いから姫さんとエレナを連れてそこを右に曲がって付きあたりの左の壁は壊すと道が出来るからそこから外に直で行ける筈だから行ってくれ。無かったら窓壊して行け。」

「了解。」

アイツはすぐ行動するから良いよな。疑問はあるんだろうけど……。

神の奴はこんなしたっぱを使っていったいぜんたい何を考えているのか?


彼は死体のポケットを探って中から携帯電話を出した。


履歴は全て消されてるみたいだな。リダイアルも無しか。一件の登録も無し。ポケットの中に電話のメモもない。記憶していた可能性は考えられるが……これは相手からの一方的な物だと考えてよさそうだな。貰っておこう。


ここは済んだ。次に行くか。










「くそっ!!」


ガキ、ガッ、ガガガガガッ


「はっ、はっ、ふう。」

「どうした。若いもんがそんなに直ぐにばてたりして。」


このじじい、………やっぱり強い。だが、

「これからを担うのは若い人達ですよ。貴方にはもう退いてもらいます。」

「先ほどから言葉だけは一人前じゃな。喋らず剣をだせ。」

クロロの体はもうかなりボロボロであるが、爺さんの数個の傷はかすり傷である。


分かってますよ。

やはり彼の言う通り今の私では良くて相打ちか。

いや、それならまだいいが…くっ、らっ、…このままだとそれも出来ずにやらてしまう。


彼は勝てないようならこの後ろの階段前に誘いだせとのそうだな。


ガッ、ギギン。


良し後退していくことは出来る。



ここの辺りか?

もう後ろには行けないな。少し不味い。


「追い詰められたようじゃな。」

爺さんがそう言うと階段の上から声が聞こえて来た。

「それが自らを省みた言葉だとしたら上出来ですがね。」


なんとか間に合ったな。もう決着はついてるものだと思っていたんだが…ここも予定より遅いのか。


「残念ですが、2人とも終わりです。」

彼はマントの内から先ほど大勢の前で見せたボタンの3つついたリモコンを取り出した。

「クロロ氏は見たことありますよね。実はこれ、あながち脅しだけとも限らないものなんですよ。そこ、爆発しますよ。」


ドッ、オオオオッ


「そう、こっちに来てくれないと。」

クロロは彼の方に爺さんは後ろに下がりそれぞれ爆発から逃れた。


そして、爺さんの居る廊下の端から端まで見るからにヤバそうな色の気体が包み城に空いた穴から外へと出て行った。


爺さんは苦しそうに又悔しそうに見えた。


「クロロ氏、あの虫の息の人の後の事は貴方に任せます。先に行きますが直ぐに来て下さい。」

「分かりました。有難う御座います。」


クロロはゆっくりゆっくりと爺さんの方に近づいた。


爺さんは蚊の鳴く様な声で話す。

「……どうしたんじゃ…そんな泣きそうな顔をして…。」

「私はずっと貴方を超えたいとは思っていましたが、このような形で戦う様な事は…」

「ふぉっ…ふぉ、お主は自分の考えを貫こうとしたんじゃろうて…ワシの死期はすぐそこじゃが、一つ頼まれてはくれんかの。」

「何ですか?」

「ワシはお主をあの子よりよっぽど孫の様に、…いや、自分の欲に溺れ人の道を踏み誤った息子よりも可愛く思っておったのじゃ。毒などに殺される前にお主の手に掛けてくれんか?それならまだ本望と言える。」


クロロ氏は自分の剣と爺さんを交互に見やってから答えた。

「はい、分かりました。」



ワシの人生の最後は少し苦しくなってしまったのう。

クロロに殺されるとは思わなんだが、これも若き日のつけか。


クロロ、くれぐれも気をつけるのじゃ。奴はあの時お主も……一緒に…ま、…いいか……のう。



後日クロロ氏はここから持ち帰った彼の刀を墓標の前にそっと置いて三十分の長い黙祷を捧げたのだった。









ドシッ、パリィィィン!!


「痛ってーー。」

このままじゃやられる。それに思ってたより大分強いな。


エディが敵に蹴られて一階の窓から外に飛び出した。こちらも劣勢の様である。


「君はあの強そうなオジサンの代わりとして戦ってるんだからもっと頑張ってくれないかな?それと逃げるのにも相応の力は必要なんだよ。」


確かにアイツの言う通りだ。俺は多分こいつから逃げられない。でも戦って勝てる相手でもないからな。あーやべ、隊長にかっこいい事言ったけどきついってもうあいつに煽てられて少し調子に乗ってしまった10分前の俺殴りてえ、どっかにタイムマシン落ちてねぇかな。って俺ーー!!落ち着けー!!まだやれる、やれる筈だー。俺はやればできる子だって言われてきただろ。

「いいかな、続きやっても。」

「あ、ちょっと待って。」

「うん。」


ええーいいの。待ってくれるの。

てか、こいつこんなキャラだっけ。仕方ないこうなったら……いきなり攻撃。


「はっ、やっ。」


バシッ、パシィン、ぐいっ、ドッ


一撃目のパンチは弾かれ二撃目を掴まれ手前に引かれて腹に入れられた。


「ぐうっ…くっ。」

奇襲にもかかりゃしねぇ。レベルが違う。レベル10は違うな。それも○ケモンの方でドラク○なら装備で何とかなるけどポケモ○はそんなのないからな。もっとも相性とかはあるけどあいつ武器隠してるし俺素手だからいいとは言えないだろ。俺格闘で相手岩みたいなもんだよ。てか何であれって水の技が炎以外のタイプにも効果抜群だったりするんだ。水浴び出来ねぇんだったら全身めちゃくちゃ臭いんじゃねぇか?そこらへんどうなんだろって違うだろ。現実逃避してんじゃねぇよ俺。ポケモ○談義はいいよ。R団の隊員の生命力ゴキブリ以上とか気にしてる場合じゃねぇよ。相手も携帯出して何か始めてるぞ。嘘だろ、何でゲーム始めてんだよ。てか俺一人ごと長いな。村○斬より長いんじゃね。このネタは皆には厳しいか?もう戦おう。


「行くぞ。」

「あ、セーブ。…………来いや。」


二人が打ち合いに入る直前上から爆発音が起こり、瓦礫が落ちてきた。


この時帽子男はエディから目を切り瓦礫を避けることに神経を注ごうと考えたが、エディはこの時しか無いと考え、瓦礫を気にせずに敵を思いっきり殴り飛ばした。敵が怯んだ隙に連撃を与えるために近づく時、右肩に大した大きさでは無かったまでも数十メートル上からの物だったので怪我もそれなりだったろう石がぶつかった。それでも彼は怯まずに相手を吹っ飛ばした。

相手は窓から再び城の中に行った。


はっ、はっ、お願いだ。もうやられててくれ。


数秒が経った頃だ。

城の中から銃声が聞こえて来た。


エディは新手の敵かと身構えるが、中から出て来たのは彼だった。


「おいおい、お前は甘いな。気絶でほっておく積りだったのか?あいつは俺達を狙っていたのだから此処で殺しておくのは定石だろう。」


「殺したのか?気絶してる奴を。」

「お前は聴力を失ったのか?聞こえただろ。銃声が。敵が来るからもう引き上げるぞ。言いたい事は帰る途中に聞く。」


こいつも左腕もそうだがボロボロだな。…よく全員生きてたよ。ホントに姫を助けるのに良い経験になるだろうと連れてきたが、良かったのかな。












帰りのヘリの中では隊長と彼を除く皆が疲れで眠りについていた。


「ジェイ約束の物だ。それと、地下の奴らは勘が良いのか。俺が行った時にはすでにどこかに消えていた。データも消さずにな。余程急いでいたのかとも思ったが、後で爆発が起こった事を考えると見切りをつけていたんだろう。今頃は新しい場所で研究の準備をしているのだろう。」

「ああ、報告ありがとう。」

「それと、エディの…いや。何もない。」


彼が受け取ったのは小さなチップとCD、封筒を各々数点づつだった。



ふむふむ、ふふふっ、ハハハハハッ

王と研究員を逃したのは惜しいが、本当に割にあう成果だな。


遂にこれで人類の脅威の核に次ぐ戦争兵器を手に入れたぞ。

あの王の動きが怪しいと言われて来て見たが、これ程の物が手に入るとは、神は俺の敵だが、悪魔は俺の味方ということか。


これで又一歩野望に近づいたな。










彼等が帰ってきた所は時差等の関係で日が落ちた頃だった。


取り合えずエレナとエディを手当に出して、クロロとアウロラ姫とで彼は部屋に連れて行った。

「それで、結論は出ましたか?お姫様。」


「いえ、……まだ……。」

やっぱりか。この人は今まで自分の自己表現なんてしてこなかったから自由と言っても持て余すだろうな。


「でも、あの…。」

「何ですか?言って下さい。」

「私何でもしますので此処に置いてくれないでしょうか!?お願いします!!」


これは…吃驚したな。まぁ、これでも助かるけどな。


「ええ、良いですよ。貴方には何か考えておきましょう。今日はこの部屋で休んでいてもらいますけど。クロロ氏。」

指をくいくいと動かして近づかせる。


そして、小声で言う。

「貴方には姫様を養う分に働いてもらいたいのですが?」


「……分かりました。元より貴方には今回借りが出来ましたからね。」

「では、貴方も今日は此処で休んでいてください。私は忙しいでまた。」

そう言って彼は部屋を出た。









「くそっ、あの野郎二発も打ちやがって。」

彼は医務室で自分に手当をしていた。


「何やってるんですか?一人でこんな所で。」


「何、と言われましてもですね。ミハネさん。では、一に青春真っ盛りの男子学生さながらにお色気ムンムンの奇麗な女医に会いにきた。二にちょっと眠気が襲って来たりしてだるいから腹が痛いまたは熱が出たことにして眠りにきた。三は怪我の手当てってところですかね。」


「一ですか。でも、綺麗だなんて言われても私にはもう直ぐ4歳になる子供もいますしだめですよ。」


「あ、そこのガーゼ取って下さい。」

突っ込んでも良かったのだが、何かそうすると負けな気がしたので奇麗にスルーする


「あれ、突っ込みがまだですが。」

「もう4歳になるんですか?早いものですね。最初は嫌われてましたけど最近ではすっかり懐いてきましたしね。」

突っ込んだら負けだ。俺は負けないぞ。


「そうですね、貴方も今では懐きましたからね。大人の女性に奇麗なんて言えるくらいに。」

「昔は僕もまだ若かったですから。」

「突っ込んでくれないと食事代請求しますよ。」

勝った。

小さく死角になる所でガッツポーズを作った。


「良いですよ。お子さんも大きくなってきましたし。給料どうしようかと思っていましたので。俺が一か月払ったら足し位にはなるでしょうし。」


「ふふふっ、冗談ですよ。それにしても、一人でこっそりくるなんて貴方らしいですね。」

一瞬ぎくっとさせられた。何とも不覚だ。

「どういうことですか?捻くれてるって事ですか?」


「ふふっ、他人本位ですもんね。」

「……貴方もね。」

これは皮肉だ。この人のこういう所は少し苦手だな。何か普段の調子ならあしらえるのに、シリアスな展開だとちょっと……。



「これでよしです。くれぐれも無茶は止めて下さいね。貴方が皆が自分をどう思ってるか考えて

るのかは分かりませんが、…ネガティブなのは外れですよ。」


「ありがとうございます。」


ふう、休めるのは何時間後かな?


彼が動きを止めるのは随分先の事だった。








堂々完結、よかたですー。

設定纏まらない内からスタートした訳ですが何とかいけたって感じですね。


皆のキャラ位置もこの章を書いていく内に勝手に定まった感じですからかなりの見切り発車でした。


途中のシリアスな所をコメディーチックにしたかったのですが止めて良かったと今は思います。



では、今回もこの辺で。


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