ある夏の日の一幕
ある夏の日の昼下がり、和馬と清美と初は 夏休みの宿題をするために、和馬の家に集合していた。
「おーい、和馬っ! 来たぞー!」
「おぅ、来たか」
三人は居間に置かれた机を今日の戦場と定め、陣を張った。
「よっし、いっちょやりますかぁ!」
「「おー!」」
がばっ
がばっ
ビリっ
三人は掛け声とともに机に置いたテキストを開いた……はずなのだが、一つ違う音が聞こえた。見ると、お菓子大好きっ娘の初が、ポテトチップスの袋を開けて口いっぱいに頬張っていた。
「ちょっと初さん? なーにをしてるのかね?」
「うん? ポテチっ!」
「いや、堂々と言う事じゃないから、しかも『なにしてるの?』『ポテチっ!』って、会話になってないから」
「はいはい。初、お菓子は宿題終わったら食べていいから。ね?」
「ちょっとぉ、私のお菓子取らないでよー!」
和馬と初が暴投気味の会話をしていると、横から清美がひょいっと初のポテチを掴み上げて没収した。初はふくれっ面をするが、慣れっこの清美には全く通じなかった。
「ちょっと初? 今はお勉強する時間なの、だから我慢しなさい? 終わったら例のビッグジャンボパフェ食べさせてあげるから。」
「ほんとう!?」
その瞬間、初は目を輝かせて宿題の山に総攻撃をかけに行く。和馬と清美は顔を見合わせてともにくすっと笑うと、それぞれの戦場へと向かい直った。
夏の、雲一つない青空の広がる日の午後がまったりと過ぎていった。
Fin
和馬がうらやましいですね。