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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第五章 探索編
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第九十六話 フラウ登場

 翌日、約束の時間となったので随行者との顔合わせの為にギルドを尋ねた。窓口のフェレウさんに挨拶をすると、どうやらまだ相手は姿を見せていないらしくギルド内にある椅子に座って待つように言われた。どうやら約束の時間より少し早く来すぎたようだ、相手を待たせないようにと思った所為か気が急いたようだ。

 五分程過ぎただろうか、入り口の近くにあった小窓を開けて一体のフェアリーが飛び込んできた。

あの小窓ってフェアリー用だったのか、軽く驚きながらも待ち合わせの相手かと思いそのフェアリーを目で追った。


 「ごめんよフェレウ!約束の時間って間に合った?!」


 そのフェアリーは窓口まで一気に飛ぶとフェレウさんの周りをパタパタと飛び回った。フェレウさんは別の冒険者の相手をしていたので手でペチンと叩き落すと、そのフェアリーを睨んだ。


 「今は他の方のお相手しているんですよ?そちらの三人組が今回のお相手です、ご自身で挨拶してきて下さい」


 フェレウさんはそう言い放つと相手していた冒険者に謝罪し会話をし直していた。というか今普通に叩き落としてたぞ?いいのかフェアリーってあんな扱いで・・・。俺がフェレウさんの対応に驚いていると叩き落とされたフェアリーは気にした風も無く宙に舞うと俺達の方へと飛んできた。


 「ごめんね?遅れて。ボクが今回の随行者のフラウだよ!見ての通りフェアリーです。よろしくね?」


 俺達のテーブルに飛んできたその妖精はテーブルに降り立つとペコンとお辞儀をして挨拶をしてくれた。身長は街で見かけたフェアリーと同じくらいだろうか、15cm程で背中に虹色の綺麗な蝶のような羽を広げている。薄い水色の髪の毛をショートにした可愛らしい少女だった。


 「え、ああ。俺はチーム『サムライ』のリーダーをしているトーヤと言います。こちらがチアキ、それとこっちがアリスです」


 フェアリーの愛らしさに少し見惚れていた俺は慌てて自己紹介をした。街で見かけた時は遠目だったから気にしていなかったが、近くで見ると小ささもあって可愛らしい。これは姉でなくとも欲しがるなと思いながらも平静を保ちながらフラウさんに挨拶をする。


 「早速だけど、トーヤ達の役割を教えてもらっていいかな?ボクは回復職ヒーラーのポジションって言われたんだけど?」


 「ああ、俺は前衛で剣や拳で戦う、姉貴・・・チアキは俺の姉なんだが姉貴は槍をメインに魔法もそれなりに。アリスは遠距離からの魔法攻撃がメインで後衛というポジションなんだ。フラウさんにはアリスと一緒に後衛からの回復役として参加して貰いたいと思ってます」


 俺はフラウさんにチーム内の役割を伝える。フラウさんはうんうんと頷いていたが。


 「あ、ボクの事はフラウって呼び捨てでいいよ?さっきからトーヤ達の事呼び捨てにしてるしね!チアキもアリスもよろしく!」


 今まで見た妖精族の誰よりも明るくフレンドリーな対応に俺はほっと胸を撫で下ろした。これから短い期間といえどもギスギスした空気での狩りはしたくなかったから助かった。


 「じゃあ、フラウ。改めてよろしく!」


 俺は手を差し出してからハッと気付く、握手したくても彼女は15cmしか無いのだから握手なんて出来ないのだ。そう思っているとフラウはニコッと笑顔を見せると俺の指先に両手を乗せると力一杯上下に振り回した。


 「こちらこそ、よろしく!」


 その愛らしい仕草に姉は狂喜乱舞していたし、アリスも「かわいい・・・」と呟いていた。どうやら上手く付き合っていけそうだな、と安堵しつつこれからの予定について話を続ける事にした。


 「じゃあフラウ、ちょっと聞きたいんだけど。俺は妖精族について何も知らないから何が出来るのかよく分からないんだ。各種族やフラウ自身の事を少し教えてくれないか?」


 「うん、いいよ?ボクら妖精族は人族や魔族のような魔法は使わない、というか使えない?代わりに精霊魔法という独自の魔法を使うんだけど、ここまではいい?」


 フラウの言葉に俺達は頷いた、フラウの説明によれば精霊魔法は効果としては俺達の使う魔法と変わらないのだが、根本的に力の源が異なるらしい。説明しているフラウ自身の言葉があやふやなのでフラウ自身もよく理解してないのだろう。

 ただ、精霊から力を借りて具現化するらしく精霊魔法を唱えるとその属性の精霊の姿が浮かび上がり、その後効果が発動するらしい。


 話を聞いていて俺達が使う魔法と精霊魔法の違いについて考えてみたが、イメージ力の違いという可能性と本当に根本から異なる魔法である場合のどちらかが判断つかなかった。

 そういえば宿の主人が「精霊と会話できる」と言っていたな、フラウにその事を尋ねてみと。


 「う~ん、ボクは無理だけど精霊魔法の学院の院長様なら出来るかもしれないよ?あとは各種族の長老とか?」


 どうやら個人が精霊と意思疎通できても、他人とそれを共有することはフラウは出来ないそうだ。そういえば昨日学院へ行った時に尋ねようと思って忘れていたな。

 あまり細かく聞いても時間ばかり過ぎると思った俺はこの話題を切り上げて早速何か依頼を受けることにした。


 「じゃあ、依頼を受けるのに丁度良さそうな物がどれかアドバイスをくれないか?」


 俺の言葉にフラウは頷き、掲示板の前まで皆で移動した。掲示板まで辿り着くとフラウは姉の肩の上に着地するとその場から依頼書を眺めるようだ、理由を尋ねると。


 「人の多いとこだとボクが飛んでると邪魔になるからね」


 という答えが返ってきた。確かに真剣に依頼書を読んでいる時に隣でパタパタと飛ばれたら気が散るかもしれないと思い納得する。まあ、肩にとまられた姉の表情がとても嬉しそうなので気にしないことにした。

 

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