第九十五話 狩りの条件
最近二日に一回になってきてますね・・・。
今月が一番投稿数が少なく、読んでくださってる皆様に申し訳ないと思っています。
俺達は出て行った冒険者達と入れ替わりのようにギルドのカウンターへと移動し職員の女性へと挨拶をした。
「先程は横から口出しし申し訳ない、昨日ユグドラルに来たチーム『侍』、俺はリーダーのトーヤです。よろしく」
俺に続いて姉とアリスも同様に名乗る、職員は丁寧な俺の態度と胸のバッヂを見て頷くと礼を言って来た。
「いいえ、よくある事なのですが困っていたので助かりました。中には暴れて強制退去という方も居られましたし大事にならず良かったと思ってます。申し遅れました、私はフェレウと言います」
「いや、俺も少し経緯が違えば同様の行動をしていたかもしれなかったんでね。経緯は聞いてたから同じ人族でトラブルが起きると俺達まで肩身が狭くなると思っただけですよ」
フェレウさんの挨拶に俺は素直に答えた。もし、学院へ顔を出す前にギルドに来ていたり学院長へ会って聞かされていなければ俺達も街中での雑用しか依頼を受けれなかったのだ。ただ、当面の生活には困っていなかったのであそこまで噛み付きはしなかっただろうが。
「それと、ファレームでは一度も推薦状の事は聞いた事が無いんだ、彼らもファレームから来ていたかは知らないが、そこら辺をもう少し情報を目に付くようにファレームのギルドに帰ったら頼んでみるよ」
俺は気になっていた事を言った。確かに情報を事前に集めていればわかることかもしれないが、聞かなければ知りえない事は尋ねようという考えすら浮かばないものだ。正直張り紙でもしてあれば思い出したりするかもしれないのだから。
「成る程、他国のギルドに張り紙をしておけば少なくとも今よりはトラブルが減りそうですね。ギルド長へとこちらからも進言しておきます。貴重な情報をありがとうございました」
フェレウさんが俺に頭を下げた。別段大したことじゃないと手を振ると頭を上げさせ俺達の手続きとこの国での注意事項について教えて貰う事にした。
フェレウさんの話を要約すると決まりごとは三つだ。一つは世界樹へを含む自然への破壊行為の禁止、特に世界樹へは厳しい罰則がある。二つ目は妖精族とのトラブルについては推薦状を持っているのである程度平等に審問するが可能な限り避ける事。
そして最後に、全てへの保険として妖精族の一人をチームへと随行させること、という話だった。
「妖精族・・・をですか?」
俺は暫く考えた、どうみても好意的な感情を持っていない妖精族を連れてというのは狩り中の連携に隙が出来るし危険だと思う。そんな俺の考えを理解しているのかフェレウさんは言葉を付け加えた。
「当然、人族や他国の者に多少好意的な考えを持っている者に限られます。能力もそのチームの評価と同等の者を選びますし、条件にもよりますがそちらの希望する種族や職業もある程度考慮できますよ」
その言葉を聞いて多少安心はした。連携についてはBランクになるような人であれば、数回冒険をこなす内にある程度の連携は取れるだろう。念のために前衛は避けるべきだろう、連携不足によって一番怪我や死ぬ確立が高くなる。そこでふとユールの街を観光していた時の考えを思い出した。
「そういえば、姉貴がフェアリーを連れたがっていたな。回復職系のフェアリーって居ます?」
俺の言葉にフェレウさんがチラっと姉の顔を見た。恐らくその時の姉は期待に満ちた顔をしていただろう、フェレウさんが苦笑しつつリストを探してくれた。
「フェアリーは多種族に対して好意的な方が多いのでBランクでも数名いると思いますが、何故回復職を選んだかをお聞きしてもいいですか?」
フェレウさんの言葉に俺は素直に答えた。連携不足による随行者への危険を回避する為と、俺と姉が前衛を張るので一人だけになるアリスの横に置くことで後衛の守りにもなると思ったからだ、と。
俺の言葉にフェレウさんは頷き、思想的に問題がないと思ったのかリストから顔を上げて俺達へと顔を向けた。
「ちょうどユールの街に一人居られます、ただランクがAランクですがよろしいですか?」
俺はAランクと聞いて驚いたが、つい先日ランクアップしたばかりと聞いて少しほっとした。実力は相手のほうが上だろうが、最近までBランクだったのであれば実力差はバトラさん達よりは開いていないだろう。
「相手方が良ければお願いしたいです。報酬の分配などについてはどうなるんです?」
「トラブルを防ぐ為に人数割りでお願いしています。依頼失敗の場合は違約金をギルドに納めて頂きますので、その一部を随行者へとお渡しします」
特に問題は無かったのでそのフェアリーと明日顔合わせをするという事にして、フェレウさんとの話を終えてカウンターから離れた。
俺は他の人族の冒険者へと軽く挨拶をすると、妖精族での依頼内容の特徴や出現する魔物の種類などを聞いて回った。明日以降街の外へと出るのに全く無知のままだと随行者に呆れられるかもしれないし、危険度が増すと思ったからだ。
色々と話を聞いていると他のチームの随行者にはエルフやドワーフなどが多く、フェアリーを選んだ人は居なかった。理由を聞くと小さな体が頼りなく見えるとかエルフやドワーフの方が魔法の他に弓や斧などの攻撃手段がある為、連携が取り易いなどの話が聞けた。
俺は他の冒険者にフェアリーと組んだ感想を後で教えてくれと頼まれた。ここ暫くでは俺達だけのようなので興味があるようだ。