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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第五章 探索編
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第九十三話 精霊学院

いつもお読みくださりありがとうです!

毎日更新できてなくてごめんなさい。

 塔に登った事によりこの街が何故蔦に覆われていたかが理解できた。きっと景観を損ねるような建物を無くする事によって自然との調和をイメージしたのだろう。塔の上では感動を覚えた景色だが下へと降りるとやはり見た目が判別付かない迷いそうな街並みが広がる。


 「徹底しすぎて住むには面倒な場所だな・・・」


 俺の身も蓋も無い発言にアリスと姉は苦笑していた、建物の高さに制限があったり蔦で覆われていたりと同じような建物しか無いので街に繰り出しても面白みが無いのが実体であった。

 軽く観光も出来たので宿に戻り休む事にした。明日は精霊術師の通うユグドラシル学院を尋ねてお婆ちゃんの依頼を片付けよう、時間があれば冒険者ギルドにも顔を出しておきたいと考え、明日は早めに活動することに決めた。


 翌朝、宿の主人にユグドラシル学院の場所を確認しておき、朝食を食べるとすぐに学院のある方へと向かう。やはり同じような建物ばかりで何処を歩いているのか迷いそうになるな。世界樹が無ければ方向すら見失いそうだ、そんな事を考えながら暫く進むと今までの建物より一際大きな建築物に突き当たった。

 どうやらこの建物が学院らしいのでぐるっと回って入り口を探す。王都の学院より大きいのだろうか、かなり時間をかけて周りを回るとやっと門らしき物が見えてきた。


 入り口には門番と思われるエルフが二人立っていたので声を掛け用件を伝える。


 「隣国ファレームの魔法学院よりお届け物を預かっております、責任者の方へとお伝え願いたいのだけども」


 出来るだけ丁寧に喋ったのだが、エルフの門番は俺が人族と見ると探るような目つきでジロジロと睨んできた。二人共イケメンなのだが睨まれると少しイラっと来るな。


 「人族の冒険者か。荷物を確認し担当者へと連絡を取るので詰め所でお待ち願おう」


 エルフの一人が俺に対して荷物を見せるよう指示してきた、口調は丁寧なんだがどこか高圧的な言い方がイライラ感を高めるな・・・。だが、依頼主はお婆ちゃんでありファレーム国の王族だ。俺なんかが下手に問題を起して外交問題になるのも嫌なので大人しく手紙とオーブを入れた箱を渡し詰め所へと向かう。


 詰め所には複数のエルフやドワーフが待機していたようで、俺達が近づくと露骨に顔をしかめている者が数名いた。なんだろう、妖精族ってのは人族嫌いなのか?


 「なんだか感じ悪いわね・・・、さっさと用を済ませて帰りたくなったわ」


 姉が小さな声で俺に囁いてきた。全く同感ではあるが仕事なので少しの辛抱だと言い聞かせると詰め所の横にあるベンチに座って連絡を待った。

 三十分程も待っただろうか、先程門で会ったエルフの片方がやってきて俺達へと話しかけてきた。


 「学院長がお会いになるそうだ、案内するのでついて来るがいい」


 「へ?」


 俺は荷物を届けてサインを貰ったらさっさと帰るつもりで居たのでエルフの台詞に間の抜けた返事を返した。エルフは気にした風も無く中の建物に向かって歩き始めたので俺達は慌てて後を追った。何故に学院長に会う必要があるのだろうかと疑問に思って俺はエルフ男に尋ねた。


 「あの、俺達は荷物届けるだけに寄ったのでサインさえ貰えれば十分なんだけど?」


 「サーシャ様の考えている事は我々にはわからん、私は案内しろといわれたから連れて行くだけだ」


 いや、サーシャって誰だよ。流れ的に学院長の名前だろうか?どうやら門番に聞いても無駄なようなので諦めて着いて行く事にした。大方お婆ちゃんの手紙に何か俺達の事が書かれていたんだろう、お婆ちゃんも事前に何か言ってくれればいいのにと心の中で愚痴を零した。


 「学院長、人族の三名を案内しました」


 「どうぞ~、入って貰って~」


 一つの部屋の前へ案内されると門番が中へ声を掛けた。それに対して返ってきたのは間延びした女性の声だった。門番は俺達に入るよう言うとさっさと元来た道を帰ってしまった。


 「失礼します。御呼びと伺ったのですが・・・」


 俺達は部屋の中へ入ると椅子に座っていた女性に声を掛けた。女性はエルフのようで見た目は三十代くらいに見える、といっても妖精族なので見た目は当てにはならないだろうが。


 「ようこそ~、私がユグドラシル精霊魔法学院の院長をしているサーシャ・エル・ウルフです~」


 学院長の間延びした挨拶に俺達も挨拶を返した。この間延びした声は地なのだろうか?ずっと聞いてると眠くなりそうだ。


 「俺達を呼んだと聞いたのですが、理由をお尋ねしても?俺達はファレーム魔法学院の荷物を届けるだけの只の冒険者なのですが」


 サーシャ学院長の真意が掴めず俺のほうから直球で聞いてみると、答えは予想通りというかの内容だった。


 「ファレームのシアちゃんから事情は聞いたから大丈夫よ~。シアちゃんの孫だと聞いて会ってみたいと思ったの~」


 やはり手紙に俺達の事が書かれていたのだろう、門番に比べれば付き合いやすそうだし顔繋ぎくらいはしても問題は無いだろうと思い、俺は警戒を解いて話をすることにした。


 「シアちゃんと言うのは俺のお婆ちゃんの事ですか?そんな呼び方をするということは私事でも付き合いがあるとか?」


 「そうよ~、シアちゃんが小さな頃から良く一緒に遊んだし~。シアちゃんが冒険者だった頃は私も一緒にチームを組んでたのよ~」


 サーシャ学院長は昔を思い出しながら楽しそうにお婆ちゃんとの交流の経緯を語ってくれた。お婆ちゃんが小さな頃からというと四十年は前だろう、やはりこの人は見た目通りの年齢では無いという事なんだな。


 「成る程、それで手紙には俺達の事がどこまで書かれていたんです?」


 お婆ちゃんがどこまで情報を開示したかによって俺達の言動に制限がかかる。下手に喋って墓穴を掘らないよう確認をしておく必要があった。


 「シアちゃんの娘~、名前なんといったかしら~?リティちゃんだったかしら~?リティちゃんを探しているので便宜を図ってと言われたわ~」


 「因みに、一緒に親父も探しているのだけど親父に関して何か書かれていましたか?」


 俺の問いかけにサーシャ学院長は首を横に振って答えた。


 「いいえ~?お父様については何も書かれていなかったわ~。とにかくユグドラル国内での活動について制限がかからないよう推薦状を書いて~って書かれていたわ~」

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