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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第五章 探索編
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第八十四話 先王とは

短いです、すみません。

書き溜めが出来ていないので次の休みまでちょっと時間が取れてないです。

 お婆ちゃんに相談してから二日、俺達はギルドの依頼も受けずに転移装置が使えるかどうかの連絡を待っていた。下手に依頼を受けてすれ違いになるのは状況的に不味いと思ったからだ。

 昼飯を食べてティアやメイド姉妹達と一緒にこの世界の地理なんかをアリスに教えて貰う為に地図を広げて地名を覚えていると、入り口の呼び鈴が鳴ったようでセバスさんが玄関に向かった。暫くするとセバスさんが学院から手紙が届いたと俺の所へと一通の封筒を持ってきた。


 「ありがとう、セバスさん」


 俺は礼を言うと封筒を裏返す、そこには予想通りお婆ちゃんの名前が書かれてあり王家の封蝋がしてある。セバスさんが差し出したペーパーナイフを受け取ると封蝋を剥がして中から手紙を取り出した。

 手紙を読むと転移装置の使用に関しての経緯が書かれていた。要約すると先王に話をしたが、顔を見てみたいという事で一度屋敷に来て欲しいという内容だった。尚、現時点では現王と宰相には話をしていないので、転移装置を使用できるか否かはわからないそうだ。


 「という訳で、先王に会いにお婆ちゃんの屋敷に呼ばれた訳なんだが・・・」


 俺は姉とアリスの顔を見てどうしようか?と話を振る。姉は難しい顔をして腕を組んだ。


 「お爺ちゃんに当たる訳だから会う事には問題無いんだけど、お父さんとの結婚に猛反対してたのよね?その嫌っていたお父さんの血を引く私達への感情ってどうなのかしら?」


 俺は首を傾げて「さあ?」とだけ答えた、会って居ないのに分かるわけないじゃないか。俺と姉は親父に似て黒髪、黒目だ。姉は少し母さんの面影があるかと言われると頷けるが、俺は完全に親父似だ。会った途端激昂される可能性もあるよな。


 「お婆ちゃんが一緒なら取り成してくれるだろうけどな。親父への感情が今どうなっているか分からないけど、孫というのは事実なんだし?最悪今回だけで二度と会わなければいい」


 この世界に来てからお婆ちゃんが優しく接してくれているのだから、お爺ちゃん側と険悪になっても問題は無いだろうと思う。別に嫌われたからってお婆ちゃんとの仲が無くなるわけでもないし。


 「じゃあ、会うって事でいいのね?」


 姉もどう思われるかが不安なのか、余り乗り気では無さそうだ。俺は頷くと今度はアリスの方を向いた。


 「アリスと、あとセバスさん。先王の・・・あれ?先王って名前なんて言ったっけ?」


 「ハルディオス様でございます、トーヤ殿」


 そう言えば先王って名前知らないや、そう思って口から出た俺の質問にセバスさんが即座に答える。


 「私はレイネシア様にお仕えしておりましたので、ハルディオス先王の事も若干ですが存じております」


 そう言えばセバスさんは息子さんに職務を譲る前はお婆ちゃんの私邸の執事だったな。話を聞くと先王は六十歳を過ぎ、今から一年半前に体調の悪化を理由に王位を退位したらしい。

 奥さんはお婆ちゃんの他に側室でリトリアナという人が居るらしい、現王はお婆ちゃんの子でその弟であるハルティオ殿下は側室の人の子供だそうだ。

 剣術に長けていて、若い頃はかなり無茶をしたとよくお婆ちゃんが零していたそうだ、冒険者登録をしていた頃にお婆ちゃんと知り合ったのだとか。


 結局のところ直接会ってみないとどうにも出来ないし、悩むだけ時間の無駄か。

俺はお婆ちゃん宛に返事を書くとセバスさんに届けてくれるよう頼んだ。一週間程ギルドの依頼を受けないので都合のいい日に伺うという内容だ。


 「あとは成るように成るさ、出来れば良い関係を築きたいけど駄目なら歩きでの旅になるなぁ」


 俺はそんな事を呟きながら地理を覚える為にもう一度地図を広げた。


翌日、お婆ちゃんからの呼び出しに俺達三人は学院へと出向いた。


 「私も一緒でいいんでしょうか?」


 アリスは自分も一緒でいいのかと俺に聞いてきた、俺はお婆ちゃんが三人でと言っていたと伝えると不安そうなアリスの手を握って落ち着かせる。俺達姉弟は少し偉い人に会う程度の気持ちだが、アリスはこの世界で生きて来ただけに、先王とは言え王族に会う事に戸惑いを感じているようだ。地方貴族の娘とは言え、小さい頃から魔法学院へと通っていたためか社交界へ出たことも無く、当然王族と謁見する事も無かったのだから戸惑いは当然だろう。


 「アリスが居てくれないと礼儀とか分からない事が多いんだよな、それにお婆ちゃんが三人と指定してきたってことは何かしら意図があるんだろう」


 俺はそう言うとお婆ちゃんの待つ学院長室を尋ねた。


 「三人とも、今日はこちらの都合に合わせて貰ってありがとう、これから私の家に向かうのだけどその前に少し状況を打ち合わせておこうと思ったからこちらへ先に呼んだわ」


 お婆ちゃんはそう言うと俺達と向かい合って座った。俺達は先日相談したことをおばあちゃんに伝えた、先王が親父についてどう思っているのか、俺達に対してどのような感情を持っているかどうかだ。

 それに対してお婆ちゃんが一つずつ答えてくれた。


 「まず魔王ベルド、貴方達の父親に関しては今でも良い感情は持っていないようね。だけれど、政略結婚で嫁がせる予定だった事がご破算になった当時に比べれば大分落ち着いているわね。そしてリティの子供に当たる貴方達については、血族という事で純粋に会って見たいという気持ちみたい。本当はリティに会いたいのが一番というのが本音でしょうね」


 どうやらその当時、母さんには別の結婚話があったらしい。所謂いわゆる政略結婚という奴で他国の王族や貴族へ嫁がせる事で友好関係の強化を図ったりする道具にされるわけだ。

 その話を聞くと姉の表情が曇る、自分の好きでない相手に嫁がせられることに嫌悪感を持っているようだ。異世界人の俺達から見れば政略結婚なんて遥か昔の慣習にしか思えないのだから当然か。

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