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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第四章 成長編
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第六十九話 ハーフとは・・・

 ジャッカルさんが渋るので義手の改造は頓挫した状態だが、このままでは俺の戦闘力が下がってしまう・・・。何か他に強くなる手段が無いものかと俺は学院から家へと歩きながら考えた。

 俺の今の実力を考えてみる、初級の放出系魔法と特級の内燃系魔法。あとはオリハルコンの義手とミスリルの魔道鎧(篭手)くらいだ。放出系の魔法ははっきり言って才能は無い、必要なイメージは完璧な筈だけど何故か放とうとすると魔力が霧散するからだ。原因は判らないが才能が無いのだろうと割り切っている。逆に内燃系魔法の身体強化は得意だ、地球でこの能力を発揮すればオリンピック金なんて楽勝じゃないかと思う。


 今まで魔物と戦って勝ててるのはこの身体強化があってこそだ、幼い頃から両親に学んだ武術と身体強化があったからこそ大きな怪我もせず勝ってこれた。伸ばすとすればここだろうか?

 オリハルコンの義手に関してはギミックが使えないが、最硬度の金属から繰り出す拳は十分な武器だろう。ミスリルの魔道鎧(篭手)に関しては今の所出番が無いが左手の魔方陣を使えば武器に変化させたりも可能なので追々使い道を考えていこう・・・。


 「よっ!そこに居るのはトーヤじゃねぇか?何不景気な面してやがる?」


 声を掛けられて意識を現実に戻すと『片翼』のバトラさんが立っていた。珍しい所で会ったなぁと思って俺も返事を返す。


 「いえ、バトラさんと会うなんて珍しいですね。近くに用でもあったんですか?」


 「いや、お前の姉さんに会いに来てたんだよ。そうしたらお前が悩んでるって聞いてな?アキが心配してたからちょっとな」


 どうやら姉が俺の事を相談したらしい、アリスだけじゃなく姉にも心配かけていたようだ。俺は頭を掻いて苦笑した。


 「すいません、顔に出さないようにしてたんですけどね。バトラさんも申し訳ないですね、折角姉貴に会いに来てたのに余計な手間かけさせちゃって・・・」


 俺の言葉にバトラさんは「気にするな」とだけ言って俺と並んで歩き出す。どうしようか悩んだがAランクのバトラさんなら何か解決策を教えてくれるかもしれないと思い、今悩んでいる事を相談することにした。バトラさんは俺を酒場へと誘い、そこで酒を飲みながら話を聞いてくれることになった。


 「・・・という訳で、義手に仕込んだギミックが使えなくなったんで落ち込んでたんですよ」


 俺の愚痴という相談を聞いたバトラさんはジョッキのエールを飲み干してから俺に言った。


 「トーヤ、お前さんは今まで楽して強くなろうと思った事はあったか?以前合宿の時にお前さんに感じたのは一生懸命自分の力で強くなろうとしていたと感じたんだがな」


 「それは・・・、少なくとも小さな頃からひたすら訓練して今の強さを手にいれたと思ってますよ」


 俺は学生だった頃を思い出しながら答えた。物心が付いた頃から十五年間ずっと体を鍛えて武術を習っていたのだからそこは自信がある。


 「なら、義手に付けていた魔道砲とかいう物騒な武器なんぞなくても大丈夫だろ?冒険者ってのは生きるか死ぬかの商売だ、だから強い事が求められる。だけどな?度を越えた武器ってのは何れ自分を滅ぼす」


 バトラさんの言葉に俺は項垂うなだれる。きっと俺は放出系魔法が得意では無い事を心のどこかで引け目に感じていたのかもしれない。だから威力の高い魔道砲に魅せられ固執したのだろうか?


 「お前さんにはその身体能力と身体強化の魔法があるだろう?お前さんの歳から見れば異常な程のな。まあ、人族ならばの話だが。魔族とのハーフなら有り得なくは無い範囲だがね」


 「あれ?俺が魔族とのハーフって言ってましたっけ?」


 俺が尋ねると「アキから聞いたんだよ」とバトラさんは答えた。姉は付き合う際にバトラさんにハーフだと告白したんだそうだ。当然、弟の俺もハーフだと知っていたのだろう。


 「お前さんはどちらかと言えば魔族寄りだ。放出系がろくに使えないのは人間としての魔法の理論で教えられたからだ。恐らく魔族の指導を受ければ使えるようになるだろう。逆にアキは・・・お前さんの姉は人族寄りだ、だから身体能力も魔法の能力も人間に準じている」


 俺はバトラさんの話を黙って聞いていた、ハーフは両方の種族の内片方の特性しか持たないらしい。俺は魔族、つまり親父のほうの種族の特性を引き継いでいるらしく姉は母、つまり人族の特性が強くでているとバトラさんは説明してくれた。


 「見た目は完全に人族なのにそんな事もあるんですね」


 俺の言葉にバトラさんは苦笑して「そうだな」と答えた後話を続けた。


 「お前さんは見た目は人族だが、もしかするとある程度成長した時点で変化があるかもしれん。あまりにも魔族寄りの身体能力だしな。人族なら成長は十代である程度決まるが魔族は三十代まで体も成長を続ける。今よりもっと強くなれると思うぜ?だから魔道砲なんぞなくてもこれから努力を続ければその分強くなるだろう」


 バトラさんの話を聞いて俺の中で燻っていた気持ちが少し軽くなるのを感じた。俺はまだまだ強くなれる可能性があるらしい、努力で強くなれるのなら俺はこれからも努力し続けよう。


 俺はバトラさんと暫くの間話し込み、そのうち魔族の魔法を教えて貰う事になった。酒場から出た時には既に周囲は暗くなり夜の喧騒が辺りを包んでいた。バトラさんは俺の背中を叩き励ますと家へと帰って行った。俺もバトラさんの背中を見送ると家へと続く道を歩き始めた。

 姉やアリスには心配を掛けたようだし、帰ったら謝ろう。そして更に強くなるためにこれからも頑張ろうと心に決め、喧騒に包まれた道を歩いた。


家へと帰った俺は晩飯を外で食べた事をララに伝えると自室へ入った。ベットに横たわりさっきバトラさんが言っていた事を思い出しながら今後の事を考えてみた。


 魔族と人族のハーフである俺は三十代まで成長期であるらしい。今まで放出系の魔術が使えなかったのは人族の魔法理論が俺と合わないからである可能性が高い、後日バトラさんに魔族の魔法理論を教えて貰ってそれを試すのは必須だろうな。

 あとは強くなるために武術をもっと修練しないといけないだろうか。身体強化の魔法を覚えてからはその勢いに任せた戦い方が多かった気がする。謂わば力任せに武器を振るっていたに過ぎない、もっと技術を磨いて技で戦うように動きを変えないといけないだろう。

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