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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第三章 修行編
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第五十話 問題児

 教室へ先にジェシカ先生が入室する、大半の生徒は静かだがやはり問題の生徒達が変わらず騒いでいる、傍から見てるだけでもイラっとくるな・・・。ジェシカ先生が騒いでる生徒を無視してホームルームを始める、程なくして体験入学の俺達の紹介へと話が移った。先生の合図で俺達三人が教室へと入り、生徒への紹介を行う。俺達が入ると流石に問題児共も一旦静かになった、ここで予定通りジェシカ先生から俺達が如何に優秀で将来有望視されているかという内容の紹介が生徒にされた。

 最初は話半分で聞いていた奴らだが、傍目にもイライラし始めたのが分かる。アリスさんは主席卒業でうんぬん、チアキさんは武道にも秀でていて魔法の腕もアリスさんに並ぶほどのなんちゃら、トーヤさんは冒険者ギルドのマスターやAランクのチームに認められあーだこーだ。

 先生の紹介が続くと問題児の一人が席を立ち、声を荒げた。


 「おい!そんな冒険者になって一月程度の奴がそれだけ優秀な訳が無いだろう!」


 ジェシカ先生がビクっとなってる、俺は先生より一歩前へ出て叫んだ生徒を見る。


 「先生に対して何て口の利き方だ?優秀かどうかの評価は他人が下してくれるかどうかだと思うがね、例え自分で優秀だと言っても認めて貰えなければ只の”自称”だ」


 俺の渾身の台詞に叫んだ男は顔を真っ赤にして睨んできた、隣から「ぷふっ」と聞こえたから向くと姉が笑いを堪えきれずに噴出したようだ。それを見てどうやら自分が笑われたと思ったらしい男は更に激高した。


 「てめぇ!いい度胸してんじゃねぇか!俺達は誰がなんと言おうと優秀なんだよ!!そこの駄目教師なんかより何倍もな!」


 いや、勘違いするな。今姉が笑ったのはきっと俺が言った台詞が臭かったからだ・・・。ちょっと精神へダメージを受けたが勘違いしてるなら都合がいい、もうちょい煽っておくか。


 「ジェシカ先生よりお前が?寝言は寝て言えという言葉を知ってるか?主席卒業者のアリスが恩師と言う程の先生だぞ。親切心で言っておくが自分の力量は性格に把握したほうがいいぞ?そんな自意識過剰じゃFランクの初心者ニュービーと同じじゃないか。街の外にでたら一晩で全滅できそうなタイプだな」


 俺の台詞に男の周囲に居た奴らも立ち上がり、口々に罵声を浴びせてくる。その内の一人が俺に向けて何か魔法を撃ってきた。俺は右手で魔法を受け止めた、どうやら『空気弾エアーバレット』のようだが俺の義手には全くダメージが無かった。


 「手加減してくれてありがとう。流石に魔法を受けて無傷でいられる筈が無いからな」


 俺が平然としているのを見て、魔法を放った男は椅子に座り込んだ。ん?どうやら割りと本気で撃ってたのか?アリスや姉の魔法なんて受けたら痺れるくらいは影響あるんだが・・・。


 「ん?もしかして本気で放ってたのか?ジェシカ先生、彼のINTいくらか知ってますか?」


 「えっと、フィジット君は前回の測定でINT50でした」


 俺の問いに何も見ないで答えるジェシカ先生、すごい記憶力だな。というか、純正の魔法使いでINT50って俺より全然低いじゃないか?


 「え?たったの50?」


 思わず素で声が出てしまった、俺悪くないよね?放出系が苦手な俺ですらINT80はあるんだよ?アリスや姉なんて200越えてるのに・・・。


 「な?!お前フィジットを馬鹿にしたな?俺達の中で魔法を扱わせたらこいつと俺の右に出る奴は居ないんだぞ!」


 「さっきから怒鳴っているあいつ、名前なんていいましたっけ?」


 怒鳴っている男を無視してジェシカ先生に尋ねる、先生は「彼はザップ君といって公爵家の三男です」と名前と情報を教えてくれた。


 「ふうん?ザップ君はそこのフィジット君と同等という事か。その程度でジェシカ先生には愚か俺達にすら勝てないぞ?」


 「お前達がどの程度か知らないけど、調子に乗るなよ?!どっちが強いか勝負だ!」


 ザップの怒鳴り声が教室に響き渡る、俺の想定どおりの台詞で助かるぜ。今俺達は問題児グループの一人から勝負を挑まれている、俺の誘導通りに事が運んでいるので俺は笑いを隠す為に片手で顔を覆っていた。


 「はぁ、”自称”天才魔法使いのザップさんにそう言われては逃げる訳にもいきませんね、面倒ですが彼我の実力というのを明確にするのも必要だろう。その勝負乗ってあげますよ」


 俺の斜め上からの物言いに額に血管を浮かび上がらせているザップ他数名、これであとは勝負で完膚なきまでに叩きのめして伸びた鼻を叩き折ってやる。これでお膳立ては出来た、あとは予定通りダンジョンに潜ってこいつらがピンチになったところでジェシカ先生率いる救助隊に来てもらえば目論見通りだ。


 頭に血が上ったザップは俺の誘導とは気付かず、話の流れでダンジョンの最下層へと先に辿り着いたほうが優秀だという証明になるという話になった。ジェシカ先生はダンジョンは危険なので辞める様ザップを諭しているが、全く聞く耳を持っていない。実際ダンジョンは五層まであるのだが、三層より下はかなりの難易度があるらしい。まあ、三層あたりでギブアップしてくれればいいんだが、一応ジェシカ先生と他数名の教師が直ぐ後を付いていく事で話は纏まった。


 その日の午後、ザップをリーダーに五人のチームが組まれた。本当は人数を俺達に合わせたがっていたが、問題児全部纏めておきたかったので五人となった。

 この勝負のルールは簡単、五層まであるダンジョンに潜り先に最下層までクリアしたほうが勝ちだ。何故最下層かと言うと、ジェシカさんが以前このダンジョンを踏破したことがあって、最低でも最下層をクリアしないとジェシカさんに並ぶ証明には成らないからだ。


 俺達三人も以前なら最下層は無理だったかもしれない、しかしAランクのチーム『片翼』の合宿で気配察知の力や、全体的な能力も上がっているから何とかなると思っている。


 ザップ達は金に物を言わせたような成金装備で俺達の前に立っている。俺達は見た目は地味な装備だが、親父が残して行った装備なので実際は質がかなり良い物だ。


 「俺達からでいいんだな?!吠え面かかせてやるぜ!」


 ザップがそう叫び、五人はダンジョンの入り口を潜った。心配そうなジェシカ先生率いるチームが少し離れてザップたちに着いていく。それから一時間程経過してから俺達三人がダンジョンへと向かう、一時間もあればザップ達は二層へと到達しているだろうが俺は焦る事無く慎重にダンジョンを探索していくのだった。


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