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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第三章 修行編
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第四十九話 学院入学

 「お前達がどの程度か知らないけど、調子に乗るなよ?!どっちが強いか勝負だ!」


 学院の問題児ザップの怒鳴り声が教室に響き渡る、俺の想定どおりの台詞で助かるぜ。今俺達は問題児グループの一人から勝負を挑まれている、俺の誘導通りに事が運んでいるので俺は笑いを隠す為に片手で顔を覆っていた。


 「はぁ、”自称”天才魔法使いのザップさんにそう言われては逃げる訳にもいきませんね、面倒ですが彼我の実力というのを明確にするのも必要だろう。その勝負乗ってあげますよ」


 俺の斜め上からの物言いに額に血管を浮かび上がらせているザップ他数名、これであとは勝負で完膚なきまでに叩きのめして伸びた鼻を叩き折ってやる。


 事の起こりは体験入学の初日に遡る。


体験入学の初日に学院長が教師全員を集めて俺達を紹介した。


 「本日より体験入学をする事になった私の身内の冒険者です、既に知っておられる先生がたもおられるでしょうが、改めてご紹介致します。昨年主席で卒業したアリスティアさん、その冒険者仲間であるトーヤさんとチアキさんです」


 学院長のお婆ちゃんの紹介で数名の教師が頷いている、俺や姉は知らなくてもアリスはここのOGだから新任の教師以外は知っているだろう。逆に俺達二人に関しては知らない人が多いようで学院を案内してくれた教師か学院長に近しい教師しか事情は知らないようだ。


 「さて、体験入学という事ですがわざわざ知り合いである彼らを入学させるのは理由があります。最近皆様片の頭痛の種になっている事案の特効薬となって貰うためです、彼らは一ヶ月前に冒険者になったばかりですが、既にCランクに成る程の実力を持っておりAランクのチームからも将来を有望視されています。又、私の知り合いというだけでなく冒険者ギルドのマスターからの一目置かれるチームです」


 若干過剰な程褒めちぎる説明は事前に俺達と学院長、他に複数の教師とで決めた事だ。嘘は言っていないし、学院長の身内である事を強調する事によって教師側の人間だという事を周知して貰う目的も持っている。

 これから俺達が問題児に対して色々と動く事になるが、教師達の協力が絶対必要になるのでこうして朝の会議で時間を作ってもらった。


 「どうも、ご紹介に預かったトーヤと言います。既に何人かの教師の方とはお話をしていますが、これからの方針と協力頂きたい事について説明させて頂きます」


 俺は教師達の前に立ち、事前に考えていた事を説明した。基本的に問題児達は教師を舐めている、これは下手に実力があるから増長している事もあるが、教師達の実力を示す機会が無いからだと思っている。正直、どれだけ魔法が得意でもその事に特化している教師に実力で生徒が勝てる筈は無いのだ。普段の教卓に立つ教師の上辺だけで判断しているに過ぎないだろう。


 何らかの状況下で教師達の本当の実力を体感する事があれば生徒達も大人しくなるだろうと俺は睨んでいる。俺が目論むのはその状況を作り出す事だ。


 先生達には生徒達に対して俺達が優秀であることを強調して貰い、対抗心を抱かせる為に協力をしてもらう。向こうの世界でもあの類の生徒バカは常に居た、九割がた食いついてくるだろう。


 「あの・・・、アリス達が来てくれて正直助かります。本当は自分達で何とかすべきなんですが・・・」


 俺達を教室に案内している教師が俺達に頭を下げた、問題の教室の担任のジェシカさんという妖精族エルフの女性だ。見た目三十台半ばだろうか見た感じからして優しそうな人だ、話を聞くとアリスが在籍中の恩師だったそうだがそうすると見た目通りの年齢では無いのだろうか?エルフってやはり長命なんだっけか?


 「ジェシカ先生は優しかったですからね、私の在籍中で怒った姿なんて見た事無いですよ」


 アリスによればジェシカ先生は魔法に長けていて今のアリスよりも凄い使い手なんだとか。今のアリスより強いってことは冒険者的にBかAランク並みか、やはり実力はあるんだな。ジェシカ先生はエルフという種族的特長か感情の起伏が少なく怒ることがほとんど無いらしい、加えて見た目が若く見えるので他の先生に比べ舐められ易いのだろう。


 「まあ、打ち合わせ通り俺達を過大評価気味で紹介お願いしますよ。普段から舐めてる先生が褒めちぎる奴とくれば相手は面白く無いですから、絶対に俺達に害意を持って来る筈です」


 俺の言葉にジェシカ先生は申し訳無さそうに耳を垂れた、感情って耳に出易いってどこかのラノベで読んだけど本当なんだな。


 「そこが更に申し訳ないんです、不快な思いをさせてしまうんじゃないかって・・・」


 ジェシカ先生の心配は嫌がらせが俺達に移る事で、俺達が酷い目に遭うんじゃないかって事らしいが・・・。


 「俺達が学生の時もこんなことはよくありましたよ、俺は腕を失い大会に出れなくなった後に、姉は勉強できたから妬んだ奴らに、アリスも主席となれば妬みくらいあったろうし?」


 言葉ではそう言ったが、相手の嫌がらせは可能な限り俺が被るつもりだ。姉やアリスに嫌な思いはさせたくない。それに反感を持つ生徒はほんの数人のグループだ、それ以外の生徒はアリスや姉の持ち前の性格で接すれば味方に付けるのは難しくない。


 「俺が問題の奴らの注意を引く、姉貴とアリスはそれ以外の生徒の心を掌握してくれ」

 「了解~、まあ会社のおつぼね軍団に比べたら子供の相手なんて楽勝よ。あまり十夜ばかり矢面に立たなくていいからね?」


 姉が言葉を返す、どうやら俺の思惑が見透かされていたようだ、姉からしたら六歳くらい年下の餓鬼共の相手なんて取るに足らないのかもしれない。


 俺達は問題となる教室の前に来た、中から授業前の喧騒が聞こえる。さて、いっちょ演技全開でいってみますか!

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