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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第三章 修行編
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第四十八話 学院入学準備

本日分です。


 屋敷を手に入れてから半月経った頃、学院のお婆ちゃんから呼ばれたので俺達三人で学院へと向かった。最近学院には行ってなかったので久しぶりだ、学院へ向かいながら呼ばれた理由についてアリスに聞いた。


 「以前、実力をつける為に学院へ通うかもとアキさん経由で学院長へ話が行っていましたのでその件ではないでしょうか?」


 ああ、そういえば冒険者ギルドの合宿と同時期にそんな話を出した記憶があった。


 「でも、具体的に学院では何が学べるんだ?」


 俺の疑問にアリスが答えてくれた。学院では基本教養、魔術基礎、魔道具製作、魔術応用の四種類を教えているそうだ、あとは基礎体力向上の為のプログラムくらいだとか。基礎教養は分かる、魔術基礎もアリスに教えて貰っているからいいとして他の二つが分からなかった。


 「詳しくは学院長か教師が教えると思いますけれど、魔道具は生活に必要なものから戦闘・戦争に関する道具まで様々あります、攻撃に関する物よりも結界などの守りに使うのが殆どですね。昔は大規模破壊兵器も作られた事があったようですが、暴走して自陣が壊滅したりと色々あって今では開発は禁止になっているんです」


 また、魔道具は放出系魔法や内燃系魔法が不得意な人でも努力次第で作れるので魔術師としては無理だった人でも職人として食べていけるらしい。


 「魔術応用は中級魔法より上位の上級魔法を教えてくれたり、初級・中級魔法を組み合わせた複合魔法などを教えています。あとは空間魔法とかの特殊魔法ですね」


 魔術応用は魔法の素質が無ければ教えて貰えないようだ、俺には無縁だな・・・。だとすると俺は魔道具製作のほうを学んで見る事になるのかなと考えながら学院へと向かった。


 「トーヤ、チアキ、待っていたわ。以前話してくれた学院への体験入学の件なのだけど、そろそろ家の方が落ち着いたと思って声を掛けさせてもらったわ」


 学院長室へ通され、お婆ちゃんに呼んだ理由を説明された。生活が落ち着くまで待っていてくれたようだった、早速パンフレットを手渡され説明を受けたが先程アリスから聞いた内容の通りだった。


 「それで、期間は一ヶ月くらいを目処にどうかしら?生活費については安心してね?指名依頼として冒険者ギルドには連絡してありますから、ちゃんと報酬を渡すわ」


 どうやらお婆ちゃんは俺達のチームを指名した依頼を冒険者ギルドに出したようだ、どうも身内贔屓っぽくて困るな。


 「お婆ちゃん、気持ちは嬉しいけど贔屓っぽくて余り気が進まないんだけど。生活に困っていないからそういうのは・・・」

 「あら、勘違いさせたようね。確かに二人に学院を体験して欲しい気持ちもあるけれど、こちらにも丁度いい事情があるのよ。最近一部の学生が先生の言う事を聞かなくてねぇ、実力はあるのだけどそれが原因で増長してるようなの。だから学院主席であるアリスティアとそのチームメンバーの二人に世間の厳しさを教えてあげて欲しいと思っているの」


 成る程、長くなった鼻を折れと・・・。しかし俺達よりそいつらが強い可能性は無いのだろうか?

俺が懸念に思った事を尋ねると、お婆ちゃんが首を横に振った。


 「あなた達は『片翼』に選ばれて合宿に参加できる程度の能力は持っているわ、うちの生徒はたとえ優秀だと言われても冒険者の能力に比べると数段階落ちるの。それはアリスティアが経験してみてよく分かっているでしょう?主席とは言え、卒業したからと冒険者で生き残れる程甘くなかったはずよ」


 アリスは隣で頷いていた。確かにそうか、魔法がどれだけ上手く使えてもそれを生かす状況作りや総合的な判断は経験でしか培われない。大学を卒業しても職場で即戦力に成らないのと一緒か。俺達はお婆ちゃんの提案に頷いた、そういう事ならギブアンドテイクだ、俺達は学院で今度に役立つ事を学びながら生徒の鼻を折る、そして給料を貰える。


 必要な書類はお婆ちゃんが準備しておくそうなので俺達は来週からでも学院へ通う事に決めた。屋敷から通うので寮の必要は無いし、制服といっても私服から被るローブくらいなので直ぐ準備できるそうだ。


 話がまとまったので俺達は問題児という学生をこっそりと見せて貰う事になった。授業を行っている教室の中で教師が黒板の前で授業をしている。大半の生徒はまじめに受けているようだったが、その中に数人おしゃべりをしている奴らがいた。

 教師は時折注意をしているようだが、「そこは既に知っている内容だ」とか「俺達には必要の無い知識だ」などと反抗的な返事を繰り返している。

 成る程、あれでは教師が可哀相だ、周りの生徒にも悪影響がでるだろう。他の教室も周り数人チェックをしてからこの日は学院から屋敷へ帰る事にした。


 「さて、入学までにあいつらへの対策でも考えておくか。定番なのは俺達の入学と同時に絡んでくるのが予想されるな、逆に優秀だと紹介して貰って嫌でも絡んでくるようにお膳立てして貰うか」


 俺達は屋敷へ戻ってから問題児の対策に頭を捻るのであった。


 翌日、冒険者ギルドを尋ね俺達宛ての指名依頼が来てるか確認した。お婆ちゃんは既に手配を終えていたようで問題無く依頼を受ける事ができた。

 内容は、学院に一ヶ月入学し学院側の懸案事項を解決する事、詳細は学院長より通達があるという。報酬は長期の依頼の為、頭金で一人あたり1,000エル(約10万円)、成功したと判断した場合のみ一ヵ月後に2,000エル(約20万円)という内容だった。


 ギルド職員にこの値段が適正なのか確認すると、Cランクという事と依頼が一ヶ月としては安い部類に入るらしい。確かに一ヶ月俺達が依頼を受けるとこの数倍は稼ぐからな、だがギルドマスターが事情を知っている為、受領したそうだ。


 ギルドから戻りセバスさんとメイド姉妹に学院へと通う依頼を受けたことを報告する。当分昼間は不在にする事が多くなるからだが、日曜にあたる日はこの前決めた通り屋敷で過ごす予定だ。


 「という訳で、昼間ほとんど居なくなる。なので必要な家事が終わったら残りは自由時間とするから、街へ行くなり部屋で休むなり自由にしてていいよ」


 そう言いセバスさんには留守中に業者等の対応があると思うのでかなりの金額を預けておく。


 「了承致しました、判断を仰ぐ事態が発生した場合は学院長経由でお知らせ致しますがよろしいですかな?」

 「一応、毎日帰っては来るけどね。緊急のときはその方法で連絡ください」


 こうして屋敷のほうも問題なく段取りが組め、入学当日を迎えるだけになった。

読んでくださっている方ありがとうございます。


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