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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第三章 修行編
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第四十三話 魔素の森

 夜の間は何事も無く朝を迎え、みんなそれぞれで体を解している。


「今日は転移魔法で狩場へと移動する!B~Cランクの魔物がいるエリアだから油断するなよ?Bランクの奴は俺達で処理するが、俺達が戦う所もちゃんと見て自分と何が違うか考えろ!」


 どうやら『片翼』のベルチェさんは空間魔法が使えるようだ、アリスに尋ねると昨晩聞いていたようで中距離への移動までは出来るそうだ、アリスのほうが空間転移だけなら長距離や時空転移まで習得しているので上のようだが。


 アリスも空間転移が使えるので二人で協力して俺達を順に狩場へと転移させる。転移した先は鬱葱とした森の中だった、周囲にある空気が嫌に重く感じる。


 「この周囲は魔素の森といって、通常より魔力が濃い。だから通常のエリアよりも固体の戦闘能力が高い奴がでてくる、他と同じ見た目だからと騙されるなよ?基本的にはランクが一つ上がってるものだと思え」


 へぇ、空間の魔力が高いとそんな現象が起きるんだな、俺は関心しながら周囲を警戒する。どうも周囲の魔力が高いせいか気配がいつもより感じられない、なんというか耳に靄が掛かっている感じだ。バトラさんにその事を言うと、


 「そうだ、自分の感覚が通常より鈍く感じるだろう?その状態で感覚を研ぎ澄ませていると通常のフィールドだと今までより気配を掴む能力があがるぞ、頑張ってみろ!」


 俺達はチーム毎に配置に着く、その時『十字架クロス』のリリルというエルフから悲鳴が上がった。何事かと思ってそちらを見るとリリルはびっくりした表情で説明してくれた。


 「気配探知の魔法使ったんですけど、周囲に広がること無く弾かれてしまって・・・」


 どうやらこの魔素の森では気配探知などの探知系は阻害されるようだ、今までの習慣で使ったのだろうけど、今の時点で気付いてよかった。

 それからの行進は至難を極めた、今まで使っていた気配探知が使えず自力で気配を探すも全くといって周囲を探れない、そして突然に魔物が襲い掛かってくるのだ。


 体感的に2~4時間くらいだろうか?かなりの距離を休みながら行進する、倒した魔物は狼のような物から熊のような動物系、ゴブリンやコボルトの亜人系と多岐に渡った。俺達は全員疲弊していた、毎回奇襲を食らうようなもんである神経が磨り減っていた。


 「ほれ!もうちょいでこの森の聖域がある。そこなら襲われる事がないからそこまで頑張れ!」


 『片翼』のリッヒさんが俺達を励ます、この人ちょくちょく俺達のフォローしてるよな。チームでも苦労人に違いない・・・。そんな事を考えて進むと、突然目の前の森が開けた!眩しい光が空から降り注ぎ、どこからともなく滝の音が聞こえてくる。


 そこは幻想的な景色だった、今まで魔物が絶え間なく襲ってくるような薄暗い魔素の森から出たからというのもあるのだろうが、光に溢れ清浄な空気で溢れていた。・・・ん?清浄?この空間はさっきみたいに濃い魔力が感じられない、逆に魔力が薄く感じるほどだ。


 「気付いたか?ここは魔素の森の中と対称的に魔力が薄いんだ、普通のフィールドから見れば若干薄いくらいだが魔素の森を通ってここに来るといきなり空気中の魔力が半減したように感じるだろうな」


 リッヒさんが俺達に説明してくれた、何故かは知られていないが魔素の森の中にはこのような空間が複数存在しているらしい、そして魔力が薄すぎて魔物が近寄らないのだとか。


 「さて、さっきまで魔素の森で疲れただろう。ここで暫く休憩する。今後はここを拠点に周囲の森での狩りを繰り返すからな」


 バトラさんの言葉を聞き、俺達は崩れるように地面へと座り込んだ。俺も姉も、アリスもかなり限界のようだった。アイテムボックスから水筒を取り出し咽へと流し込む、やっと生き返った。魔素の森だと休憩を取っても全然休めた気がしなかったからだ、この聖域は本当に落ち着く・・・。



 この後、一時間の休憩と数時間の魔素の森での戦闘とを繰り返し、これが合宿最終日まで続いた・・・。途中、何度かBランクの魔物が出てきたので『片翼』メンバーに任せて俺達は見学していたが、やはり『片翼』は強かった!俺達はリザードマンに苦戦して何とか倒した程度だったのだが、彼らは全く違った、敵の攻撃を一撃も受けることなく、常に敵を翻弄して倒していった。

 この時現れたのは下位のワイバーンだった、飛行してくるので厄介な敵なのだがリッヒさんとベルチェさんが弓と魔法で遠距離から叩く、それも常に移動しながらなのだ。リッヒさんなんてワイバーンの直接攻撃を避けながら弓を放っていた、なんというか良く出来たアクション映画のようだった。

 そして、やはりというかバトラさんは全く予想外な戦い方だった。足元に魔法で足場を作りながら空中戦を行っていたのだ!地面から土の柱を出したかと思えば、空中で何も無いところを壁のように蹴って反転したりと全く何が起きているのか理解できない戦い方だった。


 「あれは、風属性の魔法?体に風を纏っているのかしら?いえ空間自体を操って壁を作っているの?」


 アリスや姉も見上げながら必死に解明しようとしていたが、理解が追いついていないようだった。下位のワイバーンとの戦いも五分もしない内に終わり、地面へと奴の身体が落ちてきて終了となった。すごい・・・全く別次元の戦い方だった、俺もいつかあんな風になれるのかと不安になる。俺達が見ていると『片翼』メンバーが俺達へと向けて戻って来た。


 「どうだ?Aランクが少しでも理解できたらいいんだが。お前達も遠からずこの世界へとたどり着くだろう、決して慢心するなよ?俺達ですら足元にも及ばないのがSランクの人達だ。常に向上心を持て、慢心するな、上には上がいることを理解し常に努力し続けろ」


 バトラさんのこの言葉をしめとして俺達の合宿の終わりとなった。

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