第四十二話 合宿初日
本日分です、更新遅くてすみません。
「さて、まずはお前らのギルドカードを更新しておいて貰う、合宿が終わった時点で再度更新して合宿に入る前よりどの程度成長したか比べるからな!」
『片翼』のバトラさんの指示によって俺達七人はギルドカードを最新の状態へと更新する。俺達は前回の更新から数日しか経ってないのだが・・・。更新した結果数日前よりそれぞれ能力が上がっていた。
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名前 トーヤ・イガラシ
年齢 18
ランク D
▼(任意で隠す事ができる)
P A 250 >70up(総合的な身体能力)
INT 65 >5up(魔法の威力)
M P 650 >150up(魔力の総量)
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名前 チアキ・イガラシ
年齢 21
ランク D
▼(任意で隠す事ができる)
P A 85 >15up(総合的な身体能力)
INT 150 >30up(魔法の威力)
M P 1200 >200up(魔力の総量)
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名前 アリスティア・ローゼン・フレイア
年齢 15
ランク D
▼(任意で隠す事ができる)
P A 55 >5up(総合的な身体能力)
INT 190 >20up(魔法の威力)
M P 1900 >400up(魔力の総量)
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俺はやはり魔法があまり得意では無いようだ、身体能力ばかりが上がっていく・・・。姉とアリスは魔法の威力と総量の伸びが高い、この数値を合宿後どの程度伸びたかの基準にするらしい。
『十字架』のメンバーは数値こそ見ては居ないが、どうやら俺達と同じDランクらしい。この合宿を受けたら晴れてCランクになるのだと言う。体育会系の俺としてはライバルが居るのは嬉しい、単独だとどうしても張り合いが無いからな。
ギルドカードを更新した俺達は早速『片翼』のメンバーに案内され王都の外へとやってきた。今日はチームとしての連携の訓練をするらしい。当然、連携だけでなく個々の能力を上げたり判断能力を鍛えたりと絶え間なく訓練するらしい。
初日の今日は魔物との戦闘時の連携や立ち居地、注意する点などを座学で教えられた。『片翼』のメンバーがそれぞれ、前衛・中衛・後衛のグループに俺達を分けての講義となった。
「前衛は兎に角相手の注意を自分に引く、後衛に敵を抜かせるな!あと突出しすぎるな、常に後衛の位置を確認しながら位置取れ。自分の戦闘力と相手の力量を見誤るな!」
前衛職であるバトラさんはやはり教えてくれる内容も体育会系だった、身振り手振りを交えながら俺とライアン、トルチェを相手に教えてくれた。言葉だけでなく小石を地面に並べてのフォーメーションの説明や、突発的な敵の出現に対するフォロー等教えてくれる内容は多岐に渡った。
一通り説明が終わると、あと・・・と言葉を続けた。
「同じチーム内にお前らの女か親兄弟が居る奴はいるか?仲間よりも自分の身内が危機に陥った時のほうが判断が狂う事がある。これは仕様が無い事だが、そんな時こそ冷静になれ。自分の身内ばかりを優先するとチームは崩壊する、当然女は助けたいもんさ・・・だが女を助ける為に仲間は犠牲では出来ねぇ。そん時が必ず来る・・・、だから常に覚悟だけはしておけ。
まあ、安心しろ俺がお前らに教えるのは誰も犠牲にしないで生き残る為の知恵だ。それに全体を守れるくらいの力・判断力だな!」
バトラさんの言葉に俺は表情を暗くした、ついこの前アリスを失いかけて敵に突っ込んだばかりだ。俺のチームは身内しかいないから誰が優先というわけじゃないが、下手すれば三人とも共倒れだったのかもしれない。
俺はバトラさんの言葉を真剣に受け止める。誰も犠牲にしないで生き残るための知恵・・・か、理想論なんだろうけどそれを現実にするだけの力を求めてこの合宿に参加したのだ、バトラさんの持っている知識、判断を可能な限り吸収してやる。
この日は座学だけで夕方になったので一旦講義は終わった。この場でキャンプをしながら野営時の夜の心構えなどを教えて貰う予定だ、あとは親睦を深めるためだと言っていたが『片翼』のベルチェさんがバトラさんに「酒が飲みたいだけなんじゃないの?」と突っ込みを貰っていた。
キャンプの準備をしながら姉やアリスに講義の内容を尋ねると、大筋俺がバトラさんに聞いた内容に近いものだった、立ち居地や振る舞いなどで異なる点はあるが基本生き残る術について教わったそうだ。
キャンプが始まり、野営の順番も決めた。まあ、王都のすぐ近くなので魔物なんてほとんど来ないのだけど・・・。それぞれに『片翼』のメンバーが一人ずつ、それに俺達二チームから二人ずつ分かれての構成となった、俺とライアン、トルチェという両手剣使いだけは三人になったが。
全体で飯を食い野営での注意点を教えられる、当然と思っていた内容もあれば気付かなかった事などもたくさん教えて貰った。中でも驚いたのは『探知魔法』に引っかからない魔物がいるという話だった。王都周辺には生息していないが、上空から襲ってくるような魔物は探知が遅れるそうだ。また上位の魔物でAランク以上は探知に引っかからない魔物が稀にいるそうでその対策についても講義として教えてもらった。
「簡単なのは罠を張っている事だ、簡単なワイヤーと鳴子でもいい何もしないよりはだがな?あとは魔法に頼らず五感と直感で感じる事だ、探知魔法があるからと油断していると周囲に気を配らない奴が多い。そうじゃなく常に周囲の音、気配、臭いに気付くようにならないと駄目だぞ」
確かに探知魔法は便利だからと頼ってしまっていた、俺達は真剣に話を聞いていた。気配の感じ方なども個人差はあっても全員できるようになる筈だというのでこの四日間の中で教えてもらう事となった。
色々と座学で教えてもらったが、やはり自分の知識と能力ではこの世界で生き残る事は難しかったのだと痛感する。だが、この合宿が終われば俺は更なる高みへと行く事ができるのだと理解できた。
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