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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第二章 異世界訪問編
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第三十八話 彼女と爬虫類討伐3

本日三話目の投稿です


 ドガッ!と音を立ててアリスが真横に吹き飛ぶ!俺は頭が真っ白になった。次の瞬間怒りで我を忘れリザードマンに突っ込んだ!


 「姉貴、アリスを頼む!!」


 俺はそれだけを姉に叫び、リザードマンを三匹同時に相対した。姉も片腕が折れているだろうがそれでも頼れるのは姉しか居なかった。全力の身体強化でリザードマンに切り付ける、だが流石はBランクの魔物だ。俺の攻撃を剣で簡単に受けやがった。

 俺はしばらく回避に専念し、隙をうかがうことにした。三匹同時はいくらなんでも無茶だという意識もあったが、アリスが殴られたのだという怒りの感情が俺を駆り立てる。

 苦手な放出系魔法を使ってでも隙を作り出そうとするが、俺のたいして強くない魔法では簡単に鱗で防がれてしまう。数回打ち合っても全く隙が見出せない、焦りが強くなってくる。


 バキン!嫌な音を立てて俺の剣が半ばから折れた。どうやら向こうの剣のほうが上等だったらしい、俺は予備の剣をアイテムボックスから取り出しつつ考える。


 (このまま打ち合ってもまた剣を折られるだけだ、くそ!もっと高い剣用意しとけばよかった)


 俺は打ち合うよりも受け流す事にし、ひたすら時間を稼ぐ。アリスはどうなったのか、姉は治療をしているのか?全く二人を見る余裕が無い俺にはとても長い時間に感じた。


 「十夜!アリスは無事よ!」


 待ちに待った声が後ろからかけられた!よかった、無事だったという思いとアリスをあんな目に遭わせたこいつらに死をもって償わせるという闘志が再び湧き上がる!


 「姉貴!来れるか?!」

 「もちろん!絶対許さないわ!!」


 俺の問いかけに怒りの声をあげる姉。やはり姉も怒っているようだ、半ば家族のアリスにされた仕打ちは倍返しすら生ぬるい。


 姉が横に並ぶ、槍で目で追えない程の連撃を繰り出す。流石のリザードマンもこれには気圧されたようだ、僅かだが隙ができた。

 俺は右手の義手で全力の突きを放つ、狙いは脇腹だ、僅かでも鱗が薄いであろう場所をさっきまでの切り合いで目星を付けていた。ドガン!と凄い音を立ててリザードマンの脇腹に義手が突き刺さる!どうやらオリハルコンはリザードマンの鱗を破ったようだ。

 今度は俺が作った隙を突いて姉が槍での突きをリザードマンの目に向けて放った!ザシュ!っと音を立てて目から頭蓋を突き破り槍が貫通していた。

 どれだけの力入れてたんだろう?苦手な身体強化を限界まで上げていたのだろう、何時もの姉の力では考えられない程の力の乗った突きだった。


 一体のリザードマンが後ろに倒れる。二匹は仲間が倒された事に驚いたのだろう、攻撃の手を止めて倒れた一体を目で追っていた。次の瞬間、俺達の後ろから炎の槍が数本飛んできて一体のリザードマンを貫いた!


 俺達は後ろを見ると、上体を起こしたアリスが片腕を突き出してこちらを睨んでいた。


 「アリス、無事だったか!」


 俺はアリスが生きていたことが嬉しくて叫んだ。


 「十夜、感動は後!ラスト倒すよ?!」


 姉の言葉で意識をリザードマンに戻す、俺の義手での連撃で隙を作り姉が炎の槍を作り出す。


「「『炎の槍フレアランス』!!」」


 姉とアリスの声が同時に荒野に響き渡る、俺がサイドステップで横へと移動すると俺が居た場所を通って二筋の魔法がリザードマンを内部から焼いた!

 

 「アリス、怪我は?!無理するな!」


 俺は倒れるリザードマンには目もくれず、一目散にアリスへと駆け寄った。

アリスは脱力したのか、地面へと崩れ落ちた。アリスを抱きかかえるとアリスは「油断しました」と呟いた。

 少しすると、姉がリザードマンに止めを刺してこちらへと歩いてきた。


 「アリスちゃん、かなり危なかったわよ。内臓へもダメージが出てたみたいで・・・」


 姉の言葉に愕然とした、やはり危険な状況だったんだ。あれだけの威力で飛ばされれば即死していなかっただけ運が良かったのかもしれない。


 「?」


 アリスが自分の顔にかかった水滴に気付き目を開けた、アリスの目には涙を流している俺が映った。アリスは俺が泣いている事に驚き、直ぐに謝って来た。


 「トーヤ、ごめんなさい。心配掛けてしまいました。もう大丈夫ですから、ね?」


 俺は守りきれなかった自分が情けなくて、アリスが助かった事が嬉しくて涙が止まらなかった。最悪の結果にはならなかった、それだけが救いだった。次からはもっと上手くやればいい、絶対アリスを守れるだけの強さを手にいれて絶対に守り抜くんだと固く心に誓い、もう一度アリスを見た。


 「アリス、俺のほうこそごめん。守りきれなかったのは俺の力不足だ、もっと守れるくらい強くなるから、アリスが生きていてくれて本当に嬉しい」


 俺の言葉が嬉しかったのか、アリスは頬を染めて目を閉じた。


俺はアリスへ誓いの口付けをそっとしたのだった。


 暫くして、アリスも少し動けるようにはなった。俺はアリスを背負い馬車へと戻ることにした。姉は俺とアリスの周囲にある雰囲気に近づくのが憚られたようで、倒したラミアとリザードマンの討伐部位を集めていた。姉も片腕折れたりと重傷だっただろうに悪い事をした、後で謝ろう・・・。


 馬車へと戻ると御者の男が俺達を見つけ手を振った、アリスが背負われているのを見て慌てていたが、俺が経緯を話すと安心したようだ。


 「帰りはゆっくりと走らせるんで安静にさせてください」


 御者の男が気遣ってあまり揺らさない様に走らせてくれたお陰でその日の野営あたりには大分アリスの調子も戻ってきたようだ。


 「アリス?調子が戻ってきたなら俺の膝の上に抱かれていなくてもいいんじゃないか?」


 馬車で横たわっていたアリスが調子が戻ってきてから俺の膝で抱きかかえられていた。俺は別に心地よいので良かったが、御者と姉の視線が痛いのだ。


 「だって、トーヤにこれだけ堂々と甘えられるなんて今だけじゃないですか♪」


 アリスは上機嫌だ、俺はアリスにそっと耳打ちした。


 「帰ったら宿でたっぷり甘えさせるから、さっきから姉の視線が痛いんだよ・・・」


 説得するとしぶしぶ納得したのか、大人しく馬車の中で横になった。

顔を反対側に背けて「約束ですよ・・・」と言ったアリスが可愛すぎて早く帰って宿に行きたかった。


 王都へと戻ってきた俺達は姉にアリスを任せて先に宿へと戻ってもらい、俺だけ冒険者ギルドへと報告へ向かった。受付にはマリナさんが居た、マリナさんは俺がBランク討伐に向かった事を聞いていたようで、俺に声を掛けてきた。


 「お帰り、トーヤさん。話は伺っていますよ?Bランクのリザードマン討伐に出ていたとか。どうやら無事のようですが、他のお二人は?」


 俺はマリナさんに事の経緯を話し、討伐部位を見せた。マリナさんは表情を険しくしながら聞いていたが、俺が話し終わるとほっと溜息をついた。


 「無事で何よりですわ、お怪我を負われたアリスさんとチアキさんにはお大事にとお伝えください。では、達成成功となりますので報酬の5,000エル(50万円)となります。また前回お話したように今回の達成の内容を見るにランクアップのお話が近々行くと思いますので後日連絡させていただきます」


 俺はお礼を言ってギルドを後にした、早く宿に帰ってアリスを看病しなければ!

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