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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第二章 異世界訪問編
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第三十五話 彼女は俺達の先生

更新遅くなりました。

なんとも納得がいかず何回も書き直してました。

 宿へと戻ると学院へ行っていた姉も戻っていたようだ、食堂でお茶をしながら今日の出来事を話す事にした。アリスと買ったお揃いのブレスレットを見せると、何時もなら囃し立ててからかうのに今日は黙ってブレスレットをみている。暫くすると溜息をつき、


 「十夜も順調にアリスと愛を育んでいるのねー・・・、私にも好い人できないかしら・・・」


 俺は何も言えなかった、両親が行方知れずになった辺りから姉の周囲に異性の話は出てこなくなった。そんな余裕が無かったのだろう、その責任は姉に頼りっぱなしだった俺のせいでもある。


 「アキさんも冒険の合間に出会いがあると思います!そうしたなら四人で冒険にでるのもいいかもしれませんね」


 黙った俺の変わりにアリスがそう言った。そもそも冒険者である必要性も無いのだ、商人とか学院の教師もありだろう。


 「姉貴の理想の相手ってどんな感じ?」


 俺が尋ねると手をパタパタと振って答えた。


 「別に職業に拘らないし、顔とかは好きになった人次第で変わるからー」


 教師とかお婆ちゃんに頼んだら誰か紹介してくれないかな?付き合うかは当人次第だけど出会いくらいは用意してあげたい。俺は自分が十八年彼女が出来た事が無いのにそんな事を考えていた。


 結論の出ない会話だったので俺達は話題を変え、今後の予定を相談することにした。


 「当面、昨日の蜂の稼ぎがあるから急ぐ必要は無いんだよな。この世界の文字を覚えるのも必須だと思うんだが」


 俺がここ数日思っていることを二人に伝える、姉もそれは大事な事だと同意してくれた。


 「流石に学院では文字は教えて無いんですよね、その辺りだと修道院とかになりますけど、お二人の歳で文字が全く読めない方は居ないので・・・」


 アリスは事情を知っているからいいが、他の人に突っ込まれると異世界人であるとばれてしまうかもしれないな。だとやはりアリスに教えて貰うのが一番か。


 「一応、本屋に行けば平民に伝わる程度の歴史と文字の書物はあると思いますので、明日にでも買っておきましょう」


 この世界は割りと識字率も高く本も全く平民に出回らないという訳では無いようだ。

活版印刷でも作った人でもいたのかな?手書きだと非常に大変そうなんだが、アリスに聞いてみる。


 「魔術学院や修道院などで模写してるんですよ、平民の方への教育は数代前の国王が定めて指示したそうです」


 手書きかよ!だとするとやはりそれなりに貴重という事だろう。


 時間を見て文字と歴史をアリスから教わる事に決まり、今日はお開きとなった。

それぞれの部屋に戻ってから俺は気付いた! ・・・明日の予定決めてなかった・・・。


 翌日、9時頃に俺が起きるとアリスは食堂へ降りていたが姉はまだ部屋にいるようだ。

俺はアリスに今日はどうするか尋ねた。


 「今日は午前中に本を買ってきますので、午後からお勉強にしましょうか?正直、日本語を覚えるのに比べればこの世界の文字なんて楽勝です!」


 アリスは向こうの世界での事を思い出したのか頭を抱えて叫んだ。向こうに居た半年、文字を覚えようと努力はしたのだが、ひらがなとカタカナそれに漢字と複雑な言語に文字の習得を諦めた経緯がある。確か日本語は世界で一番難解と言われてたっけか?


 「まあ、日本語より簡単っては言うけど俺英語も駄目だったからなぁ」


 「英語は割りと簡単でしたよね、全く日本で書く機会無かったですけど・・・」


日本語が無理と嘆いたアリスに姉が英語を教えていた、すると数ヶ月である程度の英文は読めるようになっていた。・・・日本で英文書く事も読む事も出番が無かったので無駄だったが・・・。


 「姉貴は簡単に覚えそうだけど、俺は厳しそうだな。アリスは何か厳しそうなイメージだし」


 俺がからかうとアリスは頬を膨らませてもう、と拳で軽く頭を叩いてきた。


 「何を朝からイチャコラしてるのよ~」


 背後から声がかかる、振り返ると姉が起きて来たようだ。また微妙なタイミングで起きて来たな。

姉はまだ少し眠いのかぼーっとした表情でそれ以上何も言わず宿の人に飲み物を注文している。


 「さっきアリスと話していたけど、今日は文字の勉強するって事になったんだが、姉貴も習うよな?」

 姉は俺の言葉にこくこくと頷いている、だめだなまだ寝ぼけているようだ。


 この後、姉も含めて遅めの朝飯を食べアリスは本屋へと出かけて行った。俺は宿の裏庭を借りて少し鍛錬をし、姉は身なりを整えるといって部屋に戻っていった。


 昼になって戻ってきたアリスの部屋でこの世界の文字を習うことになった。

文字は各種族同一で、せいぜい方言のような訛りがあるかどうかくらいらしい。言葉じゃなくて文字にも訛りってあるんだなと尋ねると、同じ意味でスペルが一文字違うという程度らしいので慣れると問題なくわかってくるらしい。


 俺はアリスに教わり文字を一つずつ覚えていく、生活に最低限必要なスペルやお金の表記の仕方など順に覚えていく。ちなみに、通常であれば俺の頭のレベルでは覚えれないと思っていたのだが、魔法の身体強化を少しいじって脳の知覚を活性化させるようなイメージでかけると驚く程記憶力が良くなった。


 この魔法は『知覚上昇パーセプション』と名づけたが、視覚・聴力・味覚などの感覚と記憶力や判断速度などの脳の機能を上昇させるブースト魔法だ、通常の身体強化が肉体の能力を上昇させるのに対しての脳の能力を上昇させるようなイメージだ。

 俺は放出系の魔法は全然駄目だったが、肉体強化系はこの半年ずっと訓練したり効率化を図ったりと特化していた。その副産物として便利な魔法を編み出したようだ。

 この魔法をアリスや姉に話したら呆れられた。


 「普通、新しい魔法とかって優秀な魔術師が半生や生涯を掛けて編み出すものですよ?それをたった半年で、しかも感覚の一部だけじゃなく脳の記憶力すら上げるなんて・・・」


 「十夜、そんなに自力での勉強が嫌だったの?このくらいの言語ならそんなに掛からず覚えれるでしょうに・・・」


 アリスからは賞賛とも呆れとも取れるお言葉を頂き、姉には馬鹿を見るかのような可愛そうな目を向けられた・・・。折角の新技披露だったのにあまりな扱いじゃないか。


 ちなみに感覚の一部を上昇させる魔法なら獣人族が得意らしいし、魔族は反則級な強化が出来るらしいので俺は魔族の血を引いてるからだと無理やり納得させた。

 あと、この魔法は元の記憶力を上昇させるけれどそれでも姉の記憶力には負けていた。


魔法使っても姉の記憶力に負ける俺って・・・。

お読みくださり、ありがとうございます。

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