第三十四話 彼女へプレゼント
お読みくださりありがとうございます。
更新時間が仕事の影響でズレました、申し訳ありません。
しばらく露店を見ながら街を散策した、分からない事はアリスが教えてくれるから助かるが文字もそうだがこの世界の事を覚えないといけない。なんでもアリスに頼り切ってしまうのは嫌だった。
装飾品を売っている店があったので中に入ってみる事にした。店内には髪飾りからネックレスなどあらゆる装飾品が揃っている、値段も様々だ。今日はかなり稼いだしアリスに何か買ってあげるのもいいかもしれない。
「アリス、何か気に入ったのがあったらプレゼントしたいんだけど」
「え、いいんですか?私お父様以外の男性からのプレゼントなんて初めてです!トーヤ一緒に選んでくれます?」
アリスは嬉しそうにそう言いながら、俺の手を取って店内へと進んで行った。
しばらく一緒に見ていると店員が話しかけてきた。
「彼女さんへのプレゼントですか?もしくはペアでご用意している物もありますのでお尋ねください、ペアですと指輪かブレスレットがお勧めです」
店員は聞いても居ないのに商品の説明を始める、俺の苦手なパターンだな・・・。俺はじっくりと選びたい派なんだけど、この手の店員が勧めるのは値段が高い奴とかメインにされるんだよね。
俺は話を適当に聞きながら商品を見て歩く、しかしペアか・・・アリスとペアとかいいかもな。
「なあ、アリス?アリスが欲しい奴の他に、その・・・ペアのリングとかどうかな・・・、嫌だったらチーム三人でのお揃いの何かでもいいんだけど」
俺は照れながらも勇気を出して言った、アリスはペアリングを想像しているのか頬を染めている。
「いいですね!ペアとか恋人って感じがして一度してみたかったんです!チームでのお揃いのはアキさんと三人でまた今度選びに来ましょう」
アリスが乗り気なので俺達は指輪とブレスレットのペアコーナーを見て回った、指輪だと宝石を埋め込んだタイプか普通のリングしか無い、あっちの世界みたいに細かい細工などは出来ないのだろうか?ブレスレットになると表面に様々な絵が彫られていて動物や幾何学模様だったり竜が彫られている物もあった。
しばらく見ていると、アリスが一つのブレスレットを指差し言った。
「トーヤ、これなんてどうでしょうか?材質がミスリルで魔法の威力や抵抗力もあがるらしいですよ?」
アリスが選んだブレスレットは表面に何も画かれていない無地の奴だった、え?可愛いとかそういう選び方じゃないの?実用面重視なのか・・・。
「アリス、こういうのは実用面より可愛いとかそういうので選ばない?」
「いいえ、これは後から頼んで彫金して貰えるんですよ?ただの金属の物を付けるよりは何か効果ある物に彫って貰ったほうがいいと思うんです」
あ、そうなのか。あとで模様彫ってくれるのね・・・、知らなかったとは言え何か恥ずかしい。
結局、ミスリルのブレスレットをペアで購入した。絵柄はアリスが向こうの世界で好きだと言ったイルカにした。ちなみにこっちの世界ではアリスは海を見た事が無いらしい、だからこっちの世界にもイルカに似た生物がいるかどうかは知らないそうだ。
ブレスレットの他に俺のチョイスで髪飾りとネックレスを買った。冒険中は髪飾りは着けれないので街を歩くときなどに着ける為の物だ。
アリスは上機嫌で店を出た、かなりの出費になったがこの笑顔が見れるなら安いものだと思ってしまう自分が居る。店を出ると俺の腕にアリスが腕を絡めてきた、ブレスレットを見ながらニコニコとしている彼女がとても可愛くて照れながらもそのまま腕を組んで宿へと戻る道を歩いた。
「おう、兄ちゃん見せ付けてくれるじゃねーか」
突然声をかけられて前を見ると、いかにもガラの悪い奴らが道を塞いだでいた。冒険者か只のチンピラか分からないが、こういうベタな展開は止めて欲しいもんだ。
人数は五人か、体格はがっしりしていて喧嘩慣れしてそうな奴らだ。腰にショートソードを持っていて、チラチラとアピールしている。
色々と言っているが、ようは「見逃して欲しければ女と金を置いていきな」だ。テンプレ過ぎて呆れてしまうが、アリスを置いていけという言葉だけは許すわけにはいかない。
よし、一度言って見たかった台詞でも言ってみるか。
「俺の女に手を出そうとするなら、骨の一本や二本覚悟しろよ?」
チンピラどもは俺の台詞に怒り襲って来た、前から二人、両サイドからと後ろからも一人と囲んできた。俺はアリスを引き寄せ、お姫様抱っこの状態で上へと飛ぶ、身体強化の魔法を使ったので人一人を抱えても余裕で男達の頭を飛び越した。
少し離れた所に着地した俺はアリスに離れているよう指示し、呆気に取られてる奴らへと駆け出した。後ろを見せている奴の脇腹に左のボディーブロー、右の義手で頭を掴んで別の男へと突き飛ばす、結構勢いがついたらしく当たった男は仲良く5mほど吹き飛ぶ。
残り三人に成った時点でチンピラどもが剣を抜いた、俺は義手で剣の腹に全力の手刀を叩き込む、あっさりと一人の剣が半ばから折れた。剣を折られた事で動揺したらしく、襲ってこない。
「これ以上やるならその剣と同じ状態になるぜ?」
我ながらカッコつけ過ぎだろうか?言ってから恥ずかしくなる。
だが、効果は抜群だったらしく男は倒れてる奴を抱えつつ逃げていった。
「「「「「おおーーーーー!!!」」」」」
どうやら野次馬が出来ていたらしい、住人が何人か俺へ感嘆の声を上げる。やばい、かなり目立ったようだ。
「すごいね、お兄さん。あいつらこの辺りで悪さしてるゴロツキなんだけど、皆迷惑してたんだ!ありがとうね!」
どうやら感謝されているようだ、あちこちで問題を起こしているらしい。もう少し痛めつけてもよかったかな?そんな事を考えているとアリスが俺へ駆け寄ってくる。
「トーヤ、ありがとう。格好よかったよ!」
そう言って抱きついてきた。それを見てまた周りが囃し立てる。照れ臭かったが、アリスに格好良いと言われて嬉しかったのと、抱きつかれて柔らかいものがあたっていたのでしばらくその状態でいた。
少しすると騒ぎも収まってきたので俺達は宿へと戻るべく歩みを再開した。
アリスへのプレゼントも買い、ペアのブレスレットも手に入れた。そして格好いい所を見せる事ができて、今日はアリスに良い所が見せれたので俺は上機嫌で宿へと帰った。