第三十三話 彼女と三人万屋へ
すいません、風邪を引いてしまいました。
気温が下がってますので皆様も風邪に気をつけてください
遅くなりましたが本日の更新分です
ギルドの用事が終わって外へ出るともう夜だった、やっぱり片道で半日だと徒歩はきついな・・・。屋敷を持った際には馬か馬車でも用意しよう、馬小屋もあったはずだし。
万屋に行くのは明日にし、宿に戻って晩飯を食べようという事になり俺達は真っ直ぐ宿に帰った。
宿に着くと俺は義手を一度外し、アリスに手伝ってもらってお湯を入れたタライで義手を洗浄した。どうやら蜂を殴り殺していた時に蜜や体液などが隙間に入り込み動作が重くなってしまったようだ。
「隙間対策何かしないと毎回これかー、アリス手伝わせて悪いな」
アリスも疲れているだろうにお願いした俺は謝罪したが、アリスは首を横に振り義手を洗いながら微笑んだ。
「いいえ、気にしないでください。このくらい何と言う事もないわ、それにアキさんじゃなく私を頼ってくれて・・・嬉しいし」
「そう言ってくれると助かるわ、明日 万屋の用事終わったら暇になるし一緒に街を散歩しようか」
お礼にというと語弊があるが、デートに誘うとアリスは嬉しそうに笑いながら「はい」と返事をくれた。
「あ、でも闘技場とかはもう近づいたら駄目ですよ?」
釘を刺された・・・。義手の洗浄が終わり二人で部屋から出ると、姉も部屋から出てきた所と一緒になった。俺達を見るとまた姉が含みのある笑みを浮かべている。
「アリスには義手の洗浄頼んだんだ、変な事はしてないからな?早く一階に降りて飯食おうぜ」
何か言われる前に先手を打って否定しておく、でないとからかわれるからな。姉は残念そうな顔をしながら俺達に続いて階下に降りた。なんで姉はそんなに俺達をからかいたいんだろう?
晩飯では今日の冒険の成功を祝ってと、俺とアリスが付き合い始めた事を勝手に併せて祝杯をあげられた。俺は気恥ずかしいので止めろと言ったが姉には通じないようだ・・・。
しばらく食事をしてから明日の予定を姉にも言っておく。
「そういや姉貴、明日だけど万屋の用事終わったら街ぶらつく予定だけど姉貴はどうする?」
「ん~?十夜はアリスちゃんと行くんでしょ?私はそうねー、学院にでも言ってお婆ちゃんに会いに行こうかなー」
姉はお婆ちゃんが好きなようだ、俺も両親以外の親族が出来たのは嬉しかったが姉は昔から同級生とかに言われる「おじいちゃんの実家にいってきた」というフレーズに対して気にしてたからな、やっと出来たお婆ちゃんが嬉しいんだろう。
明日の予定が決まった後はそれぞれ部屋に戻って休む事にした。部屋に戻ってから今日はアリス来ないのかなと期待している自分に気付き恥ずかしくなった。今日はアリスも疲れているのだから休んだに決まっている。俺は明日にはデートできるんだからと気持ちを落ち着かせるとベットに横になり眠りに落ちた。
翌朝、朝食を食べて俺達は万屋へと向かい買取をしてもらった。
店員には蜂の子と蜂蜜の量に驚かれ、空いている人全員で一気に査定をしてもらった。量が量だけに時間がかかると思っていたが、大勢でかかったせいか予想より短時間で査定が終わった。
「えー、今回の買取ですが蜂の子が1,200匹、蜂蜜が巣ごとですが樽で5つですね。合計で7,400エル(約74万円)と成りますがよろしいでしょうか?」
予想外に高い値段に俺は驚いた、その値段の理由を尋ねると店員は気軽に答えてくれた。
「蜂の子は普通に食用品店に卸せます、このサイズですと一匹で2エル(200円)ですから2,400エルになります。また、蜂蜜は貴重なので5樽を精製すれば2樽にはなるでしょう。こちらは1樽50kgとして合計100kgになりますが、卸値がキロあたり50エルになりますので5,000エルですね」
蜂の子は単価はそんなに高くはなかったが、数が居たせいか・・・。問題は蜂蜜が高価だったという事と量がすごいからなんだな。キロあたり50エル(5,000円)は日本だと安売りで買うときの値段だがこれは卸値だ、ということは売りに出すときはキロあたり100~150エルになるだろうから一般の市民だと高くて手が出し難い値段になるな・・・。100ccの小瓶で売っても食事一月分か・・・。
「いやー、蜂蜜は栄養価が高いですからね貴族様達や王宮へも卸していましたが、最近入荷が無かったので助かりましたよ!催促が凄くて上司からも喜ばれます」
店員はとても嬉しそうに言った、なるほど貴族や王族がメインの取引相手なのか。高級でもしかたが無いという事なんだろうな。
しばらく聞いていた姉が店員にお願いをし始めた。
「ねえ、蜂の巣が実はもう少しだけあるのだけど精製だけお願いできないかしら?」
そう言えば蜂蜜が貴重品と聞いた時に買取へ回す以外に1樽姉が確保していたっけ。店員は上機嫌だったので快く承諾し、1樽は別に数日後受け取る事になった。
万屋から出て俺は姉と別れ、アリスと一緒に街へと歩き出した。
しかし、猪のときは8万円で今回が74万円の稼ぎである。たった数日でかなりの稼ぎを叩き出したもんだ。アリスに冒険者ってこんなに皆儲かってるのか?と聞くと首を横に振られた。
「いいえ、最初の猪の時くらいの稼ぎが普通です。チーム辺り500~1000エル、人数で割ると100~300エルが普通ですね。宿に泊まり食事をすれば残る金はその半分くらいでしょうか?ですので殆どの冒険者は毎日か二日に一回は狩りに出ています。昨日もギルドの職員のマリナさんが仰っていた様にCランクチームで受けるような依頼でしたし、規模が予想より大きかったですから。成体が50匹くらいというとCランクチームでは対応できないレベルでしたね」
それを成功させた俺達は運が良かったのだろうか?アリス曰く、後一週間遅かったら成体が100匹越えていて俺達では対処不可能な状態になっていただろうとの事だった。
「運も実力のうちって事かな、だけど俺だけの実力で勝てた訳じゃないって事だから油断しないようにしないといけないな。無茶してアリスを危険に晒したくないし」
俺はアリスと並んで街へと歩きつつ、そんな話をしていた。今回はタイミング良く上手く行ったがもう少し慎重にすべきだったかもと反省点もある。これからの依頼ではもっと慎重に行動して判断を出来るようにならなければならないなと俺は心に決めた。