第二十七話 彼女とチーム名
体調崩し更新遅いです。
出来るだけ毎日更新を続けたいと思っています。
宿に戻ると姉も帰って来ていたようだ、買った服を眺めながら何処か不満気だ。
「姉貴、どうしたんだ?いい服無かったの?」
「そうなのよねー、何と言うか質素?作りも甘いし生地買って自分で裁縫したほうがいいのかしら?もしくは貴族御用達とかの高級店いくしかないのかなぁ」
どうやら服が平民用の質素な物しか無かったのでご機嫌斜めだったようだ、俺も周りの人を見ていまいちダサいという印象は受けていた。今は俺も姉も(ついでにアリス用もだが)向こうの世界から服はたくさん持って来ている。俺は当面買う予定は無いがやはり女という生き物はお洒落には煩いんだろう。
「アリスも貴族なんだしそういう店とか知ってるんじゃないか?最悪は学院長からどこか店教えて貰うとかな」
俺は服飾店教えて貰うのに学院長頼るのも何か違うと思いつつ姉に返事を返す。
「ま、それは後で考えましょう、今すぐ服が無くなるわけじゃないし。それで十夜のほうはどうだったの?アリスちゃんとデートしてきたんでしょ?」
姉が服を畳みながら俺達に言葉を投げた、するとアリスは聞いてくださいよ!と口止めしていたにも関わらず姉に全てを喋った。・・・当然姉の機嫌が悪くなってくる、だから口止めしたのに・・・。
「十夜?デートで闘技場とかって何考えてるの?!もう少しムードあるところとか選びなさいよ!」
「「そっちかよ(ですか)?!」」
俺とアリスの高速突っ込みが発動した!すると姉が笑いながら「デートには突っ込まないのね」と言う、最近の俺とアリスへ絡むのは何なんだろうな、俺の事より自分の相手見つけるほうが先だろうに。
「デートは置いといて、怪我については自己責任でしょ?アリスに心配掛けたのは許せないけれどね。あと二度と体の一部を失うような事になっていたら許さないからね?」
顔は笑っているが目が笑ってない。無事に帰ってきたのだからそこまで言わなかったのだろう、これで大怪我の状態で帰ってきていたら怒られるか泣かれていただろうな。
「まあ、怪我した事と無茶したのは反省してる。二度と姉貴を泣かせるような怪我はしないようにするよ。アリスも心配掛けて悪かった」
俺は二人に対し謝った、アリスはまだ少し怒っていたが姉はわかればいいのよと笑っていた。
それにしても、確かに二人で歩くには闘技場は無かったなと反省はした次は別な所にいこう。
「それに、盗賊ギルドと繋がりが出来たのは幸運ね、このチームは三人だから盗賊系は出来ないしね。そういえば十夜、チーム名ってどうするの?」
チーム名か、親父達に名前が伝わり易いのがいいよな?元の世界に関する名称とかそんなものがいいんだろうか、それとも名前をそのまま使うのがいいのか?
俺達はチーム名を考えることにした、それぞれどんな名前がいいのかとあれこれ案を出す。
・五十嵐をいじった『嵐』
・向こうの世界をイメージ『地球』
・日本をイメージ『武士』
・名前そのまま『十夜』『千秋』
・・・名前のとこは中二病っぽいな、却下だ。
散々悩んだ結果、『武士』にする事に決めた、親父達も時代劇とか見てたし分かるだろう。明日にでも冒険者ギルドに行って登録する事に決め、俺達は晩飯を食べに食堂へと向かった。
チーム名も決まって食事をしていると、学院長からの使いがやってきて姉に手紙を渡していった。どうやら住む家が決まったから都合がよければ明日にでも学院に来て欲しいそうだ。
こっちの世界に来てからまだ三日くらいしか経ってないのにもう見つけたらしい。
「思ったより早かったな、まだ三日だろ?もうしばらくこの宿に住むのかと思ったけど」
俺が率直な感想を言うと姉も頷いた。だが、アリスが俺達の考えを訂正した。
「いいえ、例え住む場所が決まったとしてそこから一度改装が入りますから住むのは半月か一月後くらいが普通ですよ?」
どうも俺達が家を気に入ったとして、その後に要望を聞いての改装を行うそうだ。また庭がある場合は手入れなどにも時間がかかるし、長く空き家の場合使われている魔道具の魔石の交換などかなりの手間がかかるらしかった。
そういうもんか、と思いながら俺達は晩飯を食い終わり部屋に戻る。
翌朝、俺達は学院へと赴いた。丁度通学中の生徒などがちらほらと見受けられる、どうやら制服などは紺色のローブらしく日本風の学生服では無かった。女生徒も全員同じような服装なので何か寂しい気がした。
俺は受付に学院長への面会を頼み、時間が出来るまで学院を案内して貰うことにした。
教室の外から授業風景を見学したり、外や演習場での魔法の授業を遠くから見せてもらった。俺はこの前卒業したばかりだったから特に感じなかったが、姉は懐かしいわねと感慨に耽っていた。
「この学院では八歳から入学可能でして、王族から貴族、平民の方まで幅広く通っています。才能さえあればアリスティアさんのように飛び級での進級も可能ですし、能力次第で王宮や魔術師ギルドへの就職も出来ますから、皆さん真剣に能力の研鑽に励んでいるんですよ」
案内してくれた二十台の女性教師の言葉にやはりアリスは優秀だったんだな、と改めて思った。どうやら飛び級できるのは五年に一人いるか居ないからしい。