第二十話 彼女と冒険者ギルド
お読みくださりありがとうございます
ギルド長の紹介が無かったので加筆しました。
万屋を出て俺達はギルドへと向かった、正直300万とかアイテムボックスが無ければ持ち歩くなんて怖いよな!アイテムボックスの魔法覚えててよかったと思うわ。
しかし、これで当面の資金は出来た。家は学院長が用意してくれるとしても維持費はかかるだろうし、色々細かい物を準備しなければならない事を考えれば金はいくらあっても困らない。
そうこうしている内に俺達は冒険者ギルドの建物の前についた。ここで登録すればついに冒険者としてのデビューか・・・。テンプレだと登録の時に絡まれるんだっけ?
俺は「ごくり」と唾を飲み込んだ、すると姉に気付かれた。
「どうしたの十夜?あーあれでしょ!登録時に絡まれるテンプレって奴?想像してるんでしょう。私が絡まれたらちゃんと十夜が助けなさいよね?男なんだから!」
「いや、普通に姉貴も組み手なら俺といい勝負じゃねぇか!押し付けるなよ?!」
打撃系の武術では俺のほうに軍配が上がるが、組技系では姉もいい勝負をする。あと長物を持たせると俺でも下手すりゃ負ける・・・。俺は素手か持っても刀くらいだからな、リーチで負けるんだ。
「女性を守るのも男の甲斐性でしょ?アリスちゃんだって十夜に守られたいわよねぇ?」
「え?あの、いえ、・・・・そうですね」
アリスが顔を赤くして頷いた、姉貴めアリスを出汁に使うのはずるいぞ!
「は?アリスは守るに決まってるだろ?でも姉貴は別枠だ!」
「なんですって?!ちょっと聞き捨てならないわね。あれなら絡まれる前に私がちょっと揉んであげましょうか?」
俺と姉の口論がヒートアップして来た頃、冒険者ギルドの入り口から一組の男女が出てきた。男のほうが俺達に向かって怒鳴った。
「お前ら、ギルドの前で何騒いでやがる!用が無いなら邪魔だからどっか行け!」
男は俺と姉の肩を掴んで来た。俺達はかなりヒートアップしていたせいで肩に手を乗せられた瞬間、反射的に男に向かって反撃してしまっていた。
俺は掴もうとしていた男の手を払い、一瞬で体を沈めての足払いを決めた。男は体制を崩し上体が後ろに傾いた瞬間、姉が鳩尾に当身を入れた!
クリーンヒットしたらしく、男は白目を向いてズドン!と重い音を立てて仰向けに倒れた。
「「あ・・・」」
俺と姉はそこで正気に戻りやってしまった事を理解した。一緒に居た女性がそれを見て叫んだ。
「ギルド長ー!」
・・・え?この俺達の一撃で沈んだ人ってギルド長だったの?
俺達はゆっくりとアリスの方を向くと、アリスが諦めた顔をして上を見上げていた・・・。
「イテテ・・・、とりあえず事情は分かった。あと謝罪も受け入れる。活きのいい奴が入ってくれるのは大歓迎だが、問題ごとは今回だけにしとけよ?」
ギルド長をすぐさま助け起し、ギルド内へ運んで介抱した。ギルド長はすぐ意識を取り戻したので俺達はすぐさま謝った。ギルド長は鳩尾を擦りながら一緒に居た女性から回復魔法を受けていた。
「「本当に、申し訳ございませんでした!!」」
俺と姉はもう一度深々と頭を下げて謝った、これでギルドに登録が出来ないとか言われたらどうしようもない。
幸いギルド長も大事にする気が無いようで「もういい」と許してくれ、自己紹介をした。
「俺がファレーン王都の冒険者ギルド長、ガドンだ」
「ギルド長、本当に申し訳ありません。こちらはトーヤとチアキといいます。
実は二人は学院長のお知り合いでして、詳しい事は学院長からの推薦状に書かれております」
アリスも一緒に謝りつつ俺達をギルド長に紹介してくれた、そして書状を渡した。
しばらくして落ち着くとアリスが渡した書状をギルド長が読み始めた。ギルド長は読むに従い顔を顰めていった。
「レイネシア婆さんの紹介か、しかも厄介な事情抱え込んでるな。まあいい、普通に冒険者として活動する分には拒まねぇから登録は許可する」
学院長はある程度ギルド長には情報を開示しているのだろう、しかも学院長への呼び方を聞くにある程度親しいようだ。
「ギルド長は学院長とお知り合いですか?」
「あ?当然だろう。ギルド長ともなると上の方にもしょっちゅう会うんだよ。特にレイネシア婆さんは昔から世話になってたからな、頼みとあれば断れねぇのよ」
それもそうか、俺と姉は納得した顔で頷いた。それにギルドへの登録も問題無く行ってくれるようだ。
「さて、普通ならギルドに加入する際には数日間の研修を受けて身体能力や戦闘技術なんかもきっちり調べてからなんだが?お前達は婆さんのお墨付きと学院主席のアリスの譲ちゃんも一緒だ、軽く水晶で見るだけで訓練は除外とする」
ん、数日間研修があるって話は初耳だけど免除してくれるならラッキーだな。
「いいんですか?助かりますけど」
俺が聞くと、ギルド長は顔を顰めながら
「ふん、不意を突かれたと言っても元Aランクの俺を伸したお前達だぞ?戦闘技術なんぞ研修受けさせんでもわかるわ」
へぇ、ギルド長って元Aランクだったんだ。Aって確かかなり強いって話だったよな?
「そこは、重ね重ね申し訳なく・・・。では、すみませんが登録手続きをお願いします」
姉の言葉にギルド長は頷き、職員に手続きを促した。俺達は一旦別室に案内され、ギルドカードを作る為に水晶で能力調査をする事にした。
結果、特に問題も無く俺達のギルドカードが出来上がった。ちなみにアリスも半年間更新していなかったので一緒に手続きをして貰う事にした。
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名前 トーヤ・イガラシ
年齢 18
ランク D
▼(任意で隠す事ができる)
P A 180(総合的な身体能力)
INT 60(魔法の威力)
M P 500(魔力の総量)
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名前 チアキ・イガラシ
年齢 21
ランク D
▼(任意で隠す事ができる)
P A 70(総合的な身体能力)
INT 120(魔法の威力)
M P 1000(魔力の総量)
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名前 アリスティア・ローゼン・フレイア
年齢 15
ランク D
▼(任意で隠す事ができる)
P A 50(総合的な身体能力)
INT 170(魔法の威力)
M P 1500(魔力の総量)
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あれ?なんか皆能力あがってないか?というか全員ランクD?