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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第二章 異世界訪問編
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第十六話 彼女と異世界の学院

この十六話から異世界編に突入です。

お読みくださりありがとうございます。


 時空転移にはアリスの用意した魔法と魔方陣を用いた。アリスが地球へと来た時は魔力の枯渇で気を失ったと言っていたが、元の魔方陣を改良していたようで、特に魔力が枯渇するような事はなかった。


 転移中に神様に会ったりとか、一人だけ別な所へ飛ばされるような事もなく至って普通に転移が終わった。やはり小説のようにはいかないのだと少し残念だ。


 転移して最初に見えたものは、埃だらけの部屋だった。広さは教室くらいだろうか?


「ここは何処だ?転移って成功したの?」


アリスに尋ねると、アリスは頷き


「はい、ここは私がトーヤの世界に行く時まで研究をしていた学院の研究室です。・・・多少というか、かなり汚れていますが・・・。しばらく使われて居ないのでしょうか?」


 アリスがテーブルの埃を指で触りながら言った。アリスが時空転移を発動した時までこの研究室には5人程度の魔術師が入れ替わり出入りしていたらしく、本来であればアリスが居なくなってからも転移の研究が継続されていたはずである。


 「私が異世界に行ってから何か事情が変わったのかもしれませんね、学院長のところへ行って尋ねてみなければいけませんね」


 幸いにして、窓からの明かりは入っており夜というわけでは無いようだ。今なら学院の関係者なら所定の部屋に居るだろう。


 「あ~俺達の事はなんて説明する?面倒になりそうならここに残ってアリスを待っててもいいけど?」


 全くこの世界の事を知らない俺達は下手にトラブルに巻き込まれても対応が出来ない。まして、服装がこの異世界の住人から見て異質である可能性もあり、変に目立つかもしれない。


 「そうですね、ここに残して行くのも不安なのですが・・・。これだけ使われていない状態なら今更誰かが入ってくることも無いでしょうし、私が一先ず学院長へ挨拶と経過報告をして来ます」


 アリスはそう言い、俺達は頷いた。アリスは教室から出ると迷うことなく歩いて行った。幸い、周囲に人は居なかったようだ。俺達は研究室から出るような事はせず、研究室内を見渡した。


 研究室は高校の教室くらいの広さだろうか?壁に向けて机が寄せられ、中央に魔方陣が画かれている。こちらの世界に来るときに用いた転移魔方陣と酷似している。


 「アリスちゃんはこれを使って、私達の世界に飛んだのねー」


姉が感慨深げに呟いた。そうだな、俺達とアリスが出会う切欠となった魔方陣だ。これが無ければ出会うことも無かったのだろうなと俺も頷いた。


 「しかし、なんでこの部屋が使われなくなったんだ?研究が打ち切られたのかな?」


俺はこの部屋に来てからずっと疑問に思った事を尋ねた、姉はしばらく考えていたようだが


「恐らく、アリスちゃんが転移しちゃった事が原因だとは思うのよね。アリスちゃんアイテムボックスに資料とかも持って私達の世界に来ちゃったでしょ?研究が続けられなかった・・・とか?」


 成る程、一理ある。ともかく、こちらの世界の事は最低限しか学んでいないので下手に動けない。


 こちらの世界に来るまでにアリスから学んだことは、言語、一般常識、通貨の事である。

言語はアリスへ言語複写の魔法を掛けて直接理解した。あとは一般常識だが、一般的に日本で罪と言われる事は異世界でも罪らしい。問題は日本より刑罰が重いという点だろうか、重罪を犯すと手配書で指名手配され、冒険者や各町のギルドや警備兵から追われるらしい。そして奴隷に落され重労働に使役されるか、死罪となる。


 通貨はエルという単位となっており、貨幣で流通しているそうだ。

それぞれ銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、白金貨となっておりレートは次の通りだ。


銅貨  =1エル   (日本円で100円)

大銅貨=10エル  (日本円で1,000円)

銀貨 =100エル  (日本円で1万円)

大銀貨=1,000エル (日本円で10万円)

金貨 =10,000エル (日本円で100万円)

白金貨=100,000エル(日本円で1千万円)


 見事に10進数で分かりやすいと思った。これは数百年前から各大陸、種族共通となったらしい。 

理由は交流が盛んになり、めんどうだからというだけの話らしいが・・・。

物価は普通の食事が一回5~10エル、宿は20エル~100エルが普通の宿らしい。

100エルも払うような宿だとお風呂もあるらしく、一般の家や安い宿では風呂は無いらしくお湯でタオルを濡らして拭くだけとなるようだ。

 

 それにしても、アリスは遅い・・・。もう一時間くらい経っているのではないか?


「アリス遅いね?何かあったのかなぁ」


俺は不安になり姉に尋ねると、姉は頭をぽんと叩き


「落ち着きなさい、半年も行方が分からなかった人が突如戻ってきたのよ?その状況説明とか考えたら一時間でも短いわよ。むしろ半日くらい覚悟してたほうがいいかもね?」


 姉はそう言い、アイテムボックスから水筒とサンドウィッチを取り出し俺に手渡した。


「しばらくかかると覚悟して、先に何か食べちゃいましょう。そのうち私達の説明まで終われば呼び出しがかかるはずよ?」


 姉に促され、俺はサンドウィッチを頬張った。若干埃っぽい部屋だけど、出るわけにもいかないので大人しく部屋の中で食べた。


 

 それから二時間くらい経過しただろうか、不意に部屋の外が騒がしくなってきた。

俺は読みかけの漫画をアイテムボックスに戻し、やっとかという思いで扉のほうを向いた。


 「トーヤ、アキさん。遅くなって申し訳ありません!」


 扉を開けて入って来たのはアリスだった。その向こうには上等なローブを着た初老のお婆さんや複数の鎧を着た人たちが立っていた。


 俺はアリスに気にするなと返事を返し、状況がどうなったかと尋ねた。


 「学院長にこの半年の説明をして、異世界でお世話になったお二人を伴い帰還した、と説明をした所です。詳しい話は後でしますので、先に学院長を紹介しますね?」


 学院長と言われたのはやはり初老のお婆さんだった。それが鎧を着た4人に囲まれて部屋に入ってきた。


 「初めまして、言葉はわかるかしら?」


 落ち着いた声で、顔には柔らかな笑みを浮かべながら聞いてきた。俺達は頷きそれぞれ返事を返す。


 「初めまして、俺はトオヤ・イガラシと言います。何分礼儀には疎いもので失礼がありましたらご容赦ください」


 「同じく、チアキ・イガラシです。アリスからご説明ありました通り、異世界人という事になります」

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