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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第一章 地球来訪編
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第十四話 彼女と魔王の行方

お読みくださりありがとうございます。

 この数日、日記を読んだり他に資料が無いか書斎を探したりしていたが、残念ながらこれといった物は見つからなかった。やはり俺達に見られると困るからどこか別な場所にでも隠しているのだろうか?


 そして、この世界に両親がいるかどうかの探知魔法も行ってみたが、やはり反応は無かった。

異世界にいったか、死んだか・・・死ぬような親じゃないからな、異世界への探知魔法に賭けよう。


 特に進展の無いまま土曜日になった。今日は姉の会社も俺の学校も休みなので時間がある。

だから異世界への探知魔法をついに行うことになった。


 「同一世界への探知魔法と違い、今回の魔法は魔力の消費が桁違いに大きい事が予想されます。ちなみに異世界への魔法の発動は過去例がありません。ほぼオリジナルの魔法になるので失敗する可能性もあります」


アリスが何時に無く緊張しているのがわかる。


 「これだけ精度の高い魔方陣とこの数ヶ月で魔力量があがったお二人が居ても、恐らく一回が限界だと思います。同一世界に対する探知と違い数回に分けれません、ですので反応があっても地域を特定することは困難で、もし反応があったらあちらへ渡って探すしかありません」


 アリスの説明が続く、こっちの世界で探知魔法を発動させたときには大まかに位置が特定できる方法を取っていた、複数回別な地域に発動することによるによる特定方法だ。


 しかし、異世界へ時空を越えて魔法を飛ばすだけでも難易度が高い。アリスがこっちの世界に飛んだ時に用いた時空魔法を応用したらしいが、開発者の魔王を越えたんじゃないか?アリスが優秀過ぎる!


 「では、何時ものように座ってください。今回はお二人に全ての魔力を出し切ってもらいます。枯渇状態になって意識を失うかもしれませんが、ご両親を見つける為でもあるので協力してください。」


 「アリス、そんな事気にするな。意地でも親父らは見つけないと気が済まないんだ。全力で魔力出し切ってやるぜ?」


 俺と姉は顔を見合わせて笑い、アリスへ頷いた。アリスも固い表情だが僅かに微笑んだ。


 「では、発動します!」


 アリスの合図で俺と姉は渾身の力で魔力を放出した!ぐんぐん自分の中の魔力が失われていくのが分かる。

 魔力の総量から言って、先に魔力が枯渇するのは俺だ。だが意地でも姉と一緒に枯渇するくらいまで出してやる!


 自分の限界を迎えたのが分かる、だがそれでも体の中から全て出し切るつもりで魔力を放出し続けた。一分も経たない内に意識が混濁し、気を失った。



 どのくらい経ったのだろうか?俺は朦朧とした意識が徐々に覚醒していくのを感じた。


どうやら倒れていたままの状態だったようだ、周りを見ると姉とアリスが周囲に倒れていた。


 「アリス!姉貴!大丈夫か?!」


 俺が声を上げると二人は苦しそうな顔をしながら唸った。よかった、徐々にだが意識が戻ってきているようだ。

 俺は姉とアリスをそれぞれソファーに横たえ、洗面所から濡れたタオルを持ってきて二人の額に乗せてやった。


 「ん・・・・あ、トーヤ」


 アリスの意識が戻ったようだ、ボーっとしながら俺の顔を見上げて来た。

次の瞬間、はっ!と一気に意識が覚醒し叫んだ。


 「トーヤ、鼻から血がでてます!」


言われるまで気づかなかった。魔力を限界以上に出した事で体に負荷でもかかったのだろう。


 「大丈夫だよ、ちょっと頑張りすぎた」


俺は努めて明るく返事をした。そろそろ姉も意識が戻りそうだし顔でも洗ってこよう。



 俺が顔を洗って戻ってくると、姉もアリスも起き上がっていた。姉が声をかけてきた


「十夜、気を失ったのが私とほぼ同時だったわよ?」


 俺はちょっと頑張りすぎたと笑って言って姉の隣へ座った。


「お疲れ様でした。お二人のおかげで魔法は成功です」


 アリスも嬉しそうだ、でも無茶はしないでくださいと多少叱られたが。



「結論から言うと、向こうの世界に魔王・・・お二人のご両親と思われる反応がありました!」


 アリスが大きな声で結果を報告した。俺と姉はなんと言えばいいのか少し躊躇ためらったがアリスに「おめでとう」と伝えた。


 「アリスの苦労が報われたな、一度こっちの世界に来ていなければまさか魔王が元の世界に戻って来ているなんて誰も気づかなかっただろう」


 俺はアリスに気持ちを伝えた。そう、アリスがこっちに来た事は無駄では無い。向こうでいくら調べても隠れているであろう魔王など探しようも無いし、あちらではここで作成したほどの精度の魔方陣なんて作れなかったのだ。


 「そう言って貰えると嬉しいです。最初こちらの世界に飛んだときは愕然としましたが、お二人に会えたおかげでなんとかやってこれました」


 「アリスちゃんも大変よね~、うちの両親なんかに振り回されて」


 姉がしみじみと言った、そうだな、うちの馬鹿両親が駆け落ちなんてしたからアリスが大変な目にあっているんだ。だけど・・・


 「だけど、そのおかげでアリスに会えた。それだけは馬鹿親に感謝だ!」


俺はアリスに会えた事が本当に嬉しかった、この数ヶ月一緒に居て大分好意も持っているしな。

 アリスは俺の言葉を聞くと顔を赤らめ、慌てたように手をふった。


 「あ、いえ。それは私もトーヤと会えてよかったと思っていますよ?本当です!」


 なんだろう、姉がすごいニコニコしている。


 「十夜、アリスちゃんに告白でもしてるのかしら?私の見てる前で大胆ねー」


 「な?!」


 姉にからかわれた!いや、さっきの台詞は違うんだと慌てながらもアリスも会えてよかったと返してくれたことが嬉しかった自分が居た。


 夕方、飯を食い終わった二人を前に俺の気持ちを言った。


 「姉貴、実は親父達を探しに俺も異世界に行きたいと思っているんだ」


姉は黙って続きを促した。


 「アリスのおかげで義手も手に入った、今までと同じ生活を送ることも出来なくは無いんだけど、どうしても周囲の目が気になる。説明も大変だしな?

 だから、親父の件が無くても異世界に行きたいと最近思ってた。だけど、今回親父達が異世界に居ると分かって躊躇ってた気持ちに整理がついた」


 俺は最近思っていた事を言葉にして姉に伝える、そして姉の事だけ残していけない事も伝えた。


 「俺が居なくなると姉貴だけがこの世界に残されちまう。それだけが気がかりで・・・」


姉は黙って聞いていた。俺の言葉が止んでもしばらくそのまま黙ってこちらを見ていた。


 「十夜、高校だけは卒業してから行くでしょう?そこだけは譲らないわ。あちらに永住するかもしれないけれど、こちらに戻って来る可能性があれば学歴だけは残しておかないとね」


 そうだな、あと3ヶ月もすれば卒業だ。それからでも十分だろう、俺は頷いた。


 「それに私のことは心配しなくていいわ、私も行くから!」


・・・・は?今なんて言った?


 「私もお父さん達を探しに異世界に行くっていったのよ!どうせ今の会社に居ても先がしれてるし?転職しようかなーって思ってた所なの!」


 まさかの姉の発言で俺の頭はショートしていた。姉も異世界に行くつもりだったとは思わなかった。いや、恐らく俺の言葉を聞いて俺に気を使わせないように今決めたのだろう。


 この後三人で話し合い、俺が卒業する翌年の三月に異世界へ旅立つことになった。


アリスは捜索を急ぐのでは無いかと心配したが、大丈夫だと笑顔で言ってくれた。そして、


 「トーヤとまだ一緒にいれるんですね?!私嬉しいです!」


この後俺とアリスの顔が真っ赤になって姉にからかわれたのは内緒である。

そろそろ異世界に行きます。どうしても前振りが

長くなってしまいました。

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