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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
最終章
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第百三十三話 エピローグ

本日二回目の投稿です。

 母さんは四年間の出来事を話し終えると、俺達をじっと見つめて尋ねて来た。


 「お父さんがそんな状態なのは分かってくれた?それでも、会いたい?」


 「愚問だね。俺達は親父と母さんを探しに異世界まで来たんだ。例えどんな状態でも会うに決まってる」


 俺の言葉に姉も頷く。そんな俺達を見て母さんはまた涙を浮かべながら微笑んでくれた。


 「ありがとう。流石私達の子だわ。じゃあ、二人だけ奥の部屋に来てちょうだい。他の方は暫くここに居てくださるかしら?」



 そういえばさっきから俺達と母さんばかり話しをしていた。すっかり黙ったままの三人に謝ると後で改めて紹介すると伝えて俺達は奥の部屋へと移動した。


 扉を開けるとベッドに横たわり、窓の外を眺めている男の姿があった。


 「親父」「お父さん!」



 俺と姉が声を掛けても親父はこちらを向くことは無かった。まさか体だけじゃなく心まで壊れてしまっているのかと俺は愕然として親父を見た。


 「お前達にこんな姿を見られるとはな・・・」



 ぼそっと呟くように吐き出された声は懐かしい親父の声だった。どうやら自分の今の姿を俺達に見られるのを嫌がっていたようだ。ゆっくりとこちらへと頭を巡らした親父の顔は初老といってもおかしくないくらい老け込んでいた。

 魔族である親父ならまだまだ壮年のような顔立ちをしている筈だ。それがここまで老け込んでいるというのを見て、かなり体が弱っているのだと理解できた。


 「親父!」「お父さん!!」


 俺達は再び叫び、親父へと抱き着いた。弱々しく抱き返してくれる力の無い腕の感触に俺も姉も涙が止まらなかった。

 


 再会を喜んだ俺達は隣で待ってくれていたアリス達を呼ぶと、この四年間の事を両親に話して聞かせた。俺が事故で腕を失ったと聞いた時には母さんがびっくりしていたが、魔法で腕を造ったと聞くと逆に親父が驚いていた。

 アリスとバトラの事を紹介すると二人は喜びつつも値踏みするような目線で二人を見つめていた。見つめられた二人は居心地が悪そうに身動ぎしていたけど、最後には認められてほっとしていた。


 フラウの事も紹介し、ユグドラルでの冒険やヒュドラとの戦いの事も話した。二度目の腕を失った辺りでついに母さんが怒った。


 「なんでそんな危険な事をしたの!!」



 数年ぶりに叱られる事に内心喜びながらも母さんの説教を聞いていた。やはり家族っていいよなと思いながらもその晩遅くまで俺達の会話は途切れる事は無かった。



 

 翌日、村人を集めて俺達の事を母さんが紹介してくれた。そこで俺達は皆に一つの提案をすることにしていた。


 それは、時間がかかるが地球へ戻りたいかという事だった。今すぐは無理だが親父が転移してきた地域の座標を特定して数人ずつなら転移で返す事ができるだろうという話を皆にすると、最初は半信半疑で聞いていた村人の中で数人が帰りたいと呟いた。



 「座標の特定も含めて時間がかかります。それまではこの世界に留まって貰うしかありません。この村では流石に研究できないので人族の国のファレームへと移住して貰いたいと考えています」


 俺の説明に村の皆は納得してくれたようで、ファレームへ移住することになった。この世界に残る人でも文化のある暮らしに戻りたいと考えていたらしくて移住には賛成だった。

 残ったこの村は付近の獣族に譲渡し、移動中の食糧やお金を代わりに貰う事にした。


 護衛は当然俺達五人で行い、親父は馬車に寝床を用意してそれに乗せる事にした。



 こうして地球から来た村人十数人と両親を連れて一路ファレームへと帰還することになった。



 ファレームへと戻った俺達は先王である爺ちゃんや国王へとお願いし、十数人の移住の許可を貰い、住居を用意して貰った。定住する人に関しては仕事の斡旋もお願いしたのでいずれ安定した生活に落ち着くだろう。


 地球への帰還を希望した数名に関しては、アリスと親父の知識を総動員して座標を特定することが出来て、半年後には地球へと送還することが出来た。この世界の事は口外しないようお願いはしたが、例え話されても信じて貰えないし干渉する手段は無いのだから問題は無いと思う。



 ファレームへ戻ってきてからの俺達はバタバタしていたが、今は両親と共に家に一緒に住んでいる。フラウの治癒魔法で親父の調子も大分良くなり、落ち着いた暮らしが戻って来ていた。


 そうそう、俺達は結局この世界に定住することに決めた。今更地球へ戻っても大変なだけだし向こうの世界はしがらみが多い。だからこっちの世界で冒険者として生き続ける事に決めた。

 ついこの間もアリスのご両親に挨拶をして結婚の許可を貰ってきた所だ。アリスのご両親は俺が平民だと聞いても、娘が認めた相手ならと立場など関係ないと喜んでくれた。実は王族の縁者ですと後で言ったらめちゃくちゃ驚いていたけどね。



 親父達を探し当ててからもう数年が経つが、俺とバトラとフラウは相変わらず冒険者を続けている。アリスと姉貴はどうしたかって?二人は子供が生まれて家で母親をしているよ。

 家に帰れば愛する妻と子が待ってると思えば頑張れるってもんだ!母さんと親父はゆっくりと過ごしながら爺ちゃんと婆ちゃんらとよくお茶会や食事をしている。離れていた二十年を埋めているのだろう。

最後は駆け足になりましたが、一応の完結となります。

駄作にお付き合いくださった皆様に深く感謝いたします。

活動報告に詳しく書きますので、よろしければそちらも見てください。


次作の不死王の嘆きというのを書いてます。そちらもお読み頂ければ嬉しいです。

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