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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第六章 覚醒編
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閑話 ララとリンの両親

長い間更新せず申し訳ありません。

新章に入るまえに一話だけ閑話を書きました。

 更に一月ほど経ち、メイドの三人を入学させる時になって初めてララとリンの両親に会う事が出来た。一年以上離れ離れだった両親が突然現れた事にララとリンは驚いていたが、これは俺が考えて婆ちゃんに頼んでいたサプライズプレゼントだからだ。




 「なあ、婆ちゃん。ララとリンの両親って今何してんの?」


 姉と二人で婆ちゃんの所へお茶しに来ていた俺はずっと聞くタイミングを失っていた事を婆ちゃんに尋ねた。


 「どうしたの?突然に」


 「子供が二人学院に入るんだし、入学式とかは親に見て貰ったほうがいいと思うんだけど」


 俺の学校の行事には両親が揃って来てくれていた。唯一行方不明になってからの高校の卒業式だけは姉が代理だったが。大きくなってからはそうでもないが、小学生とかの時は両親が揃って出席してくれたのはとても嬉しかった記憶がある。ララとリンも両親に見守られて入学式をした方が嬉しいのではないかと思ったのだ。


 「俺らの家に雇う時に訳ありっぽかったから今まで触れなかったけどさ。あの年頃の親が一年以上不在で会いにも来ないって異常だよね」


 俺の言葉に婆ちゃんはハァとため息を吐いて事情を説明してくれた。


 「彼女達の両親は二年ほど前にちょっと学院のお金に手をつけたのよ・・・」


 彼女達の両親はもう十年以上前から学院に勤務していた教師だったらしい。勤務態度は良好、生徒からも同僚からも評価が高く誰もが羨む程のおしどり夫婦だった。それが二年前に学院の金を着服したのが発覚し捕縛されたという。


 「下の子、リンちゃんだったわね。その子が七歳の時に重い病にかかったらしいの。それで治療費の工面をする為に学院のお金をね・・・。相談してくれれば手助けも出来たのに、発覚してしまえば他の職員の手前見逃す訳にもいかないわ。取り残される二人の面倒を見るくらいしか私に出来る事は無かったのよ」



 二人は素直に罪を認め、労働奴隷として開墾の労役に服しているとの事だった。


 事情があるとは思っていたけど、まさか奴隷堕ちしているとは。話し終えた婆ちゃんは困っていた二人に気付かなかった事を悔やんでいるように見えた。

 さて、どうしようか・・・。


 「婆ちゃん?労働奴隷の刑期ってあとどのくらいなの?」


 「既に二年経過しているから、あと三年という所かしら。それがどうかした?」


 俺は婆ちゃんに一つの提案を持ちかけた。




 学院の入学式前日、ララとリンの前に姿を見せた両親。父親がレクトさんで母親がミレットさんという。突然姿を見せた両親に驚きながらもララとリンは飛びつくように抱き着いた。普段はそんな素振りを見せなかった二人だが、やはり寂しかったのだろう。暫く泣きながら感動の再会を果たしていた。


 そんな親子四人を見ながらティアは俺にしがみ付くように顔をうずめた。ティアの両親は既にこの世に居ない、事情をよく知っていたにも係らずティアを同席させたのには俺なりの思惑があった。


 落ち着いた頃合いを見て全員を事前に借りておいた部屋へと案内した。婆ちゃんは入学式の準備で忙しいので今回参加は出来ないが、既に許可を得ている。


 「さて、レクトさんとミレットさんでしたね?子供たちの前なので細部は省きます。今お勤めの職場だとララやリンと会えなくてお互い辛いでしょう?ですので、俺達の家の使用人へと転職して頂きたいと思っています」


 事前に両親の二人には婆ちゃんから話を通して貰っているので、細部をぼかして言ってもちゃんと通じる筈だ。


 「雇い主の俺達は暫くの間家を不在にするのだけど、執事が居るとはいえ女の子三人だけだと何かと困ることもあると思うんですよ。そこで、三年で良いので家に雇われて貰えませんかね?当然、契約の三年が過ぎてからお二人がどうなされようと自由です」


 俺の言葉にレクトさんとミレットさんは涙を流しながら頻りに頷いている。リンやティアは良くわかっていないようだが、ララだけは俺の言った意味を理解したようで驚愕の表情で俺を見つめて来た。


 「ご主人様、それって・・・」


 「そう。ひとまず三年契約にはなるけど二人が一緒に家で過ごす事になるね。ああ、それと今の職場より待遇を良くする代わりにこの子・・・ティアもララとリン同様に接して貰いますが良いですか?」


 俺の言葉にレクトさんとミレットさんは頷く。


 「はい、トーヤ様には何とお礼を言ったら良いのか。ティアちゃんもよろしくね?」


 「ティア。この二人がお父さんとお母さんの代わりとなってくれる。今は気持ちの整理がつかないかもしれないけど、仲良くするんだよ?」



 「うん・・・」



 俺の言葉にティアは少し悩みながらも頷いてくれた。


 


 「しっかし、トーヤも思い切った事を考えたわね」


 入学式も無事に終え家に帰った俺がセバスさんやバトラさん達に事の顛末を説明していると、姉が深く溜息を吐きながら言った。


 俺は罪を犯し奴隷となったレクトさんとミレットさんを国から購入したのだ。これにより、刑期はそのままだが所有者が自由に奴隷を扱うことが出来るようになる。奴隷といえども人として扱わなければならない規則があるので、性奴隷や虐待などは禁止されている。

 当然、二人も奴隷を購入するにあたってかなりの金額にはなったが、留守にする間家を守ってくれると思えば高すぎる金額では無かった。


 それに、ララとリンもだがティアにも甘えられる存在がまだまだ必要だと思っていたから丁度よかったとも言える。


 これで三年後刑期が終えれば二人は自由になって、晴れて親子で暮らせるだろう。ティアはこれからの関係次第だが、お互い良い関係が築けたならば養女にしてもらう事も視野にいれてもらっている。


 


 「さ、これで当分留守にするのに心配事も無くなったし。俺達も旅に出る支度をしようか」


 俺の言葉に皆が頷いたのであった。

更新しないにも関わらずお気に入りから削除しないでいた皆様に深く感謝と更新が滞ったお詫びをいたします。

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