第百二十八話 新生『侍』
久々に連休が取れたので連日更新です。
ランク昇格した翌日、俺達はギルドへと出向きギルドカードの更新とバトラさんのチーム加入の手続きを行った。受付では騒ぎになると言うのでサブマスターのマリナさんの部屋で話を聞いてもらい、手続きは問題無く終える事ができた。名の知れたAランクチームが一つ引退したことはマリナさんもギルドマスターも嘆いていたが俺達のチームにバトラさんだけでも移った事でギルドとしてはほっと胸を撫で下ろしていたようだ。
手続きが終わった俺達は一度俺達の家に場所を移し、今後の予定を相談することにした。ちなみに、バトラさんは拠点としていた家をリッヒさんとベルチェさんの新居として明け渡したことで自然と俺達の家へと引っ越すことになった。
「なんか、わりぃな。部屋まで用意してもらっちまって・・・」
「何言ってるんですか。バトラさん以外同じ家に住んでるんだから、バトラさんだけ別って方が変ですよね?それに全く知らない仲じゃないし、姉も同じ家に居た方が安心だと思いますよ?」
しきりに恐縮するバトラさんに俺は軽く答える。依頼や旅に出る事を考えれば宿を借りるのは微妙だし、どうせ姉の恋人なのだから問題は無いだろうと提案したのだ。
「あ、でも同じ家だからってアリスにちょっかい出したら俺と姉が物理的に許しませんよ?」
「あ?手出すわけねーだろ!」
そんな馬鹿なやり取りをしながらも家にたどり着いた。昨日会ってはいたが会話はほとんど無かったセバスさん達を紹介し新たに家に住む事になったと説明した。気付いたら大所帯だな。俺と姉とアリス、それにバトラさんセバスさんとメイド姉妹とティアで八人かぁ・・・。あ、フラウも居れたら九人だな。
これだけの大所帯でも部屋がまだ半分は空いてるのがすごいな。最初は大きすぎる屋敷だと思ってたけど、この広さで助かった。半ば自分の部屋は自分で片付けてるからメイド達の労力も足りてそうだし、一応セバスさんに使用人増やさなくて大丈夫か尋ねたけど問題ないそうだ。
「お子でも出来ない限りは現状の人員で対応できますぞ!」
セバスさんの余計なひと言で姉とアリスの顔が真っ赤だった。微妙な空気になったが一先ず食堂でお互いのギルドカードを出し、能力の再確認を行うことにした。
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名前 トーヤ・イガラシ 年齢 20
ランク A
P A 600(総合的な身体能力) INT 100(魔法の威力) M P 1000(魔力の総量)
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名前 チアキ・イガラシ 年齢 23
ランク A
P A 200 INT 250 M P 3500
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名前 アリスティア・ローゼン・フレイア 年齢 18
ランク A
P A 75 INT 450 M P 4000
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名前 バトラ・ファング 年齢 34
ランク A
P A 750 INT 350 M P 4500
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名前 フラウ・ボウ 年齢 60
ランク A
P A 15 INT 500 M P 5500
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こうして見ると一番能力的に優れているのはやはりバトラさんのようだ。俺もだいぶ強くなったとは思ってたけどバトラさんは純魔人族なだけあって強さが半端じゃない。俺より身体能力も魔力も多いって凄いよな。
姉は前衛も後衛も器用にこなす中衛の立ち位置となってた所為もあってか伸びが均等だ。恐らく他のAランクとかも姉に似たステイタスじゃないんだろうか。アリスとフラウは流石にINTとMPが半端じゃなく高い、アリスの訓練場で見せたメテオを見ればINTの高さも納得だ。
「というか、フラウって六十歳だったの?思ったよrイテ!」
思わず呟いた俺の顔面に向けてフラウが蹴りを放ってきた。余り痛くは無いんだけど鼻っぱしに当たったせいで地味に響いた。
「女の子の年齢に触れるなんてトーヤ最低」
「妖精族は長寿ですから、フラウも人族で見ればまだ十代くらいですよ?」
不用意な発言をした俺に対し、姉から冷たい視線を浴びせられアリスからはフォローを貰った。バトラさんは我関せずという面持ちで静かにコーヒーを飲んでいた。
「ごめんごめん、ちょっと驚いただけだったから。ごめんな?フラウ」
「全くだよ!ボクはまだ若いんだからね?フェアリーの郷でもボクより若い人あまり居ないんだから!」
謝る俺に対してまだ怒っているのか、フラウは頭の上で飛んではねてる。俺はフラウを摘まむと頭から降ろし、アイテムボックスから蜂蜜を一瓶出すとフラウへプレゼントした。
「もう!今回だけなんだからね?今回は蜂蜜に免じて許してあげる!」
蜂蜜の瓶を貰ったフラウは怒った口調のままだが、蜂蜜が嬉しかったのか頬が緩んでいた。
ちょろい。
「さて、前衛が俺とバトラさんで、姉貴が今まで通り遊撃と後衛の守りだね。フラウとアリスは後ろから魔法攻撃って役割でいいよね」
「そうだな。あと、俺は両手剣をメインで最近は使ってるから大物の相手は任せろ。逆に小さいのには小回りが利かないからトーヤとチアキが前に出て欲しい。あと、俺の事は呼び捨てでいい」
俺の発言にバトラさんが補足してくれた。それと呼び捨てで良いと言われたので今後は呼び捨てにすることにしよう。
「了解、あれなら義兄さんって呼んでもいいけど?」
「うるせぇ!それはまだ早い」
俺がからかうとバトラさんは俺の肩をバシッと叩き突っ込みを入れて来た。姉をちらっと見ると満更ではなさそうに頬を染めてあらぬ方向を見ていた。