表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第一章 地球来訪編
12/136

第十二話 彼女の語る推理

お読みくださりありがとうございます。

ブックマーク、評価してくださった方ありがとうございます!

少しでも楽しんでいただければ幸いです。

その日、家に帰ったがアリスは部屋からおかえりと声を掛けてきただけで出てこなかった。ちょっと寂しいなという気持ちと昨日の件で何かまだ考え込んでいるんだろうと思うとすごい気になった。


 部屋で着替えをして義手を取り付けると、リビングに行きソファーに横になった。


しばらくするとアリスが部屋から出てきて来たので起き上がると俺の隣に来て座った。


「「・・・・」」


お互い無言の時間が続く、気まずいので俺は今日学校であった出来事などをアリスに話した。あえて昨日の話題は出さない、必要であればアリスから言ってくれると思っているからだ。


 「で、そいつが就職どうすんだ?って聞くんだよ。日本だと義手の事隠して無いといけないだろ?めんどうだから異世界とか行けたらなーって話しになって」


 アリスは時折言葉の意味がわからない所を聞いてきながら、こちらを見て話を聞いてくれた。

次第にいつもの雰囲気に戻り、アリスの顔にも笑顔が戻ってきた。


 「ねえ、トーヤは異世界とか興味ある?行ってみたいと思う?」


 「そうだな、義手の件もあるけど魔法を折角覚えただろ?なのにこの世界じゃそんなの使ったらすぐ目立って面倒なことになりそうだし」


 アリスの質問に俺は軽く答えたが、実際この数ヶ月心のどこかに思っていることだ。

折角アリスのおかげで義手が手に入り、以前のような生活に戻ることも可能だが事あるごとに聞かれるだろう、それが面倒なのだ。


 だけど、両親の事や姉の事を考えると俺が異世界に行くというのも難しい。せめて両親が亡くなったという事実だけは確認してからでないと動きが取れないのだ。もし両親が生きていて帰ってこれる時になって帰る場所が無くなっていたらと思ってしまう。

 姉の事もそうだ、異世界に行った場合には俺が行方不明という事になってしまうし、この世で姉だけが一人過ごさなくてはいけないだろう。彼氏か旦那でもいれば違うのだろうけど両親が行方不明になった辺りからそんな浮いた話は聞かなかった。


 「まあ、異世界行くなら両親の事がケリついて、姉も同意したら・・・・かな?」


 きっと俺はこのとき複雑な顔をしていたのだろう、アリスが俺の頭に手を乗せ撫でてくれた。

年下の彼女に撫でられるのは気恥ずかしかったが決して不快ではなかった。



 しばらく後、姉が帰宅し三人で晩飯となった。今日はあの後アリスと二人でキッチンに立ち晩飯を作った。

 飯も食い終わり一段落着いた時にアリスから話があった。


 「今夜は魔法の授業はちょっと中止して、お二人に聞きたいことがあるのと、私からもお話したいことがあります」


 きっと、昨日の事だろうと思い俺と姉は頷いた。


「昨日は途中で中断して申し訳ありませんでした。ちょっとお二人から受け取った水晶の魔力パターンが気になって調べていたんです」


 アリスはまず昨日中断したことを謝ってきた、俺は別に気にしていないと伝え続きを促した。


「実は、お二人のご両親を探知魔法で探す際にお二人の魔力パターンを読み取ったのですけれど、その・・・直前に行っていた魔王の近親者の魔力パターンによく似ていたんです」


 俺はアリスが言っている意味がよくわからなかった。ん?魔王の近親者ってのは魔王の親か兄弟のだろう。んで、それに俺と姉の魔力パターンが似ていた?共通性があったってことか?


 「えっと、具体的にどの程度似てたの?まさか全く一緒ではないでしょ?」


 「そうですね、全くの他人では無いかも?程度だったのですが、何といっていいのか・・・遠い親戚くらいには?ですね」


 俺と姉は両親以外の親戚は知らないし、それこそ異世界では親戚など居るはずがないんだが。

俺と姉とアリスも困惑しながらしばらく唸っていた。


 「ねえ、アリスちゃん?もしかしてだけど・・・うちの両親って異世界から来た可能性がある?とか?」


 姉が突拍子も無いことを言った、いや確かに可能性としてはあり得るのか?

 「もしくは私達が両親の本当の子ではなく、異世界から漂流してきたという可能性もあるけど、私達はお父さんによく似た顔立ちだからそれは無いと思うのよ。そうなるとお父さん若しくはお母さんのどちらか、でなければ両方とも異世界人の可能性はあると思わない?」


 「アキさんの想像と同様の推論に私も達しました。そこでお父様の書斎で何か手がかりになる物が無いかと思い昨日から探していたんですが」


 アリスはそう言い、手帳のようなものをテーブルに置いた。

俺は手帳を手に取りパラパラとめくってみた、そこには最初はわけのわからない文字が書かれ、途中から日本語に書かれていた。


 「なんだ、この落書きみたいなのは?姉さん分かる?」


姉も手に取って捲っていたが、全く見たことの無い文字らしく首を傾げていた。


 「実はそれ、私の世界の文字なんです」


 「「えっ?!」」


 俺と姉は驚いてもう一度手帳を見直した、相変わらず前半は読めないが後半部分は日記であることが分かる。


 「これはトーヤのお父様が書いていた日記だと思います。この前半部分は私の居た世界での言語で書かれていて、どうやら日本・・・この世界に来た直後らしき出来事がつづられています。

 つまり、先程アキさんが推察したとおりご両親は私達異世界から来た人物で決まりなようです」


 「「・・・・」」


 俺は言葉が出なかった、俺の両親が異世界人だって?ということは俺と姉さんも異世界人か?いやでも生まれがこっちならこっちの人間か。いや、でも遺伝子とかどうなってるんだ?学校の血液検査とか引っかかったこと無いぞ?


 俺の脳は混乱していた、姉も色々考えているらしく眉をしかめたり首を横に振ったりしていた。


 「私はこの前半の部分を読めますので、お二人が気持ちの整理がついたら読んで内容をお教えしますけれど?」


 アリスの提案に俺は知りたいような怖いような、妙な感覚のまましばらく黙って手帳を見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ