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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第五章 探索編
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第百十一話 ヒュドラ戦開幕

前話から投稿が滞っており、申し訳ありません。

いつもの時間ではないですが一話あげときます。

 洞窟が見えるかどうかの位置で俺達は足を止めた。ここから先は斥候のチームのみが進み、ヒュドラが現れると俺達に連絡が入るようになっている。狂戦士のチームと戦乙女のチームには斥候チームから回復魔法を使える術士を数名同行させることになっている。俺達は洞窟内の監視なので何時ものメンバーのみだ。


 「では、これよりヒュドラ討伐作戦を開始する。なお、最初の一体を倒しきれない内に洞窟内のもう一体が出てきた場合は俺達片翼チームで抑える事になる。全員が無事で終えるよう健闘を祈る!」


 バトラさんの号令により狂戦士チームと戦乙女のチームから離れて俺達は洞窟の裏手へと回った。途中、洞窟が見える小高い丘を通った際洞窟の方を見ると、洞窟の周囲はヒュドラに倒されたのか木々が折れて広場になっているのが見て取れた。ヒュドラの巨体だと移動する度に道が作られているのだろう、洞窟を中心に放射状に道が出来ていた。


 「ヒュドラは目の届く範囲に獲物を見つけると衝撃波を放つ。それで気絶させた後捕食するんだが、これが結構広範囲での。あちこちに木が倒れて広場になっている場所が見えるじゃろう?あれは食事を捕った跡なのだよ」


 お爺ちゃんが俺達の後を着いてきつつ説明してくれた。確かに10m超えの巨体でどうやって食事するんだろうと思っていたので納得だ。因みに、巨体に似合わず気配を隠したり音を立てずに移動することが得意なようで気付いたら射程内に入られていることもあるそうだ。


 そんなヒュドラの情報を聞きながら洞窟へと500m程の距離へと近づいた。ここで待機しつつヒュドラが現れたならば洞窟前まで移動する予定だ。

 暫くすると洞窟からヒュドラが現れた。話には聞いていたけど実際見ると威圧感が途轍もない、俺はゴクリと唾を飲み込んだ。ヒュドラは頭上までが3m程で体長は聞いてた通り10mくらいに見える。蛇を太くしたような胴体に、巨木のような太い首とドラゴンのような頭が四つついていた。四つの頭がそれぞれ周囲を見渡すと俺達とは反対の方向へと向かって移動を開始した。


 「よし、洞窟前まで移動するぞ」


 バトラさんの合図で俺達は洞窟へ向けて移動した。ヒュドラは気付いたら1km以上離れていた、あの巨体の割には驚きの速さだ。俺達は離れていくヒュドラを遠目に見ながら洞窟へと近づいていった。

 洞窟前へとたどり着いた時にはヒュドラは目で確認できない所まで離れていったようだ。あっちは狂戦士チームと戦乙女チームに任せるとしよう。俺たちは洞窟の中が見える位置に移動すると体を動かして準備運動をしつつ状況の変化を待った。


 十五分くらい経過した辺りで遠くから轟くような咆哮が聞こえてきた、次いでヒュドラのブレスなのだろう炎のようなものが木の隙間から少しだけ見えた気がした。


 「どうやら始まったようだ。洞窟内の奴がでてくるかもしれん、後衛職は散開!直接攻撃は俺とトーヤ、バックアタックでリッヒとチアキだ。後衛はベルチェが指揮しろ!」


 バトラさんと俺は洞窟の正面から50m程離れた正面に走った。片翼のリッヒさんと姉は洞窟の入り口から左右に別れて身を顰める。俺に向かって来た場合に背後から強襲する為だ。

 アリスとフラウ、そして片翼のベルチェさんは俺と姉からみて三角形の位置に移動した。これはブレス攻撃などの範囲攻撃が来ても巻き込まれないようにする為の位置取りだった。


 それぞれが位置に着いて身を顰める、出てこなければそれに越したことが無いんだがと思いながら緊張で冷たい汗が頬を伝う。先ほど見たヒュドラと同じくらいの奴が出てきたら俺たちが戦わなくてはならないのだ。バトラさんにすら敵わない俺で足を引っ張らないか不安だが今出来るのは全力で戦う事だけだと自分に言い聞かす。


 二度目の咆哮が背後から聞こえた。最初に聞こえた奴よりも長い咆哮だ、隣に居たバトラさんをチラっと見るとニヤりと笑っていた。


 「どうやら向こうはこちらが押しているようだ、今のは苦痛であげた咆哮だろうな。っ?!トーヤ来たぞ!」


 バトラさんが表情を引き締めて前を向いた。俺もつられて前を向くと洞窟の奥に光る眼が見えた。一対いっつい・・・三対・・・四対・・・五対?!洞窟から出て来たヒュドラには首が五本生えていた!四つ頭じゃなかったのかよ!俺は心の中で罵声を上げる。一番人数の少ない俺達で五つ首なんか相手に出来るはずがない。俺はそう考えてつい浮き腰になってしまった。バトラさんはそんな俺を見て声を上げた。


 「トーヤ!五つ首だがよく見ろ、動きが鈍いようだ。恐らく産卵した直後で調子が悪いんだろう。それに俺達で足止め出来なければ二体が合流してあっちが全滅だ。俺達で抑えるぞ!」


 バトラさんの言葉に少し落ち着いてヒュドラを見直す。確かにヒュドラの動きは最初の一体に比べて非常に遅い。分の悪い戦いになるかもしれないけど俺達でやるしかないんだと自分を鼓舞して身体強化の魔法を発動する。


 ヒュドラは俺達に気付き首を億劫そうにもたげると、低く唸り声を上げる。俺とバトラさんは剣を構えると先手必勝とばかりにヒュドラに向けて駆けだした。


 ヒュドラの頭の内、二つが大きく口を開いた!ブレス攻撃だと分かったのでバトラさんと反対側に分れ散開した。俺達が居た場所に炎と氷のブレスが放射された、大きく地面を焦がし氷の塊が地面を抉る。どうやら氷のブレスは氷塊を叩きつけるタイプのようだ。あれならよく見れば回避は余裕そうだった。

 俺達はヒュドラの目前まで迫ると剣で胴体に斬りつけた。身体強化のお蔭か俺の攻撃もヒュドラの厚い皮を切り裂いてダメージを与える事が出来たようで傷口から鮮血が噴出してきた。

 バトラさんはこのままヒュドラに対して攻撃を続ける、俺は一旦下がってバトラさんに対して攻撃しようとする首に向けて攻撃を繰り出す。


 数発攻撃を叩き込むと背後に居たリッヒさんと姉が尻尾に向けて攻撃を開始したようだ。首の一つが背後を向いたので俺は剣へと魔力を流し込みその首へと振るった。


 「『空斬』!」


 背後へと向いた首の付け根に俺の魔法が撃ち込まれる!すると柔い部分に当たったのか根本から大きく裂けると首は力なく地面へと倒れこんできた。


 「トーヤ、その首を完全に切り落とせ!」


 それを見たバトラさんからの指示が飛んできた。俺は身体強化を全開にして首元に出来た傷に一撃を叩き込む!二発、三発と打ち込むと首を切断することができた。

 首を一本落とされたヒュドラは大きく咆哮を上げる。首が一本無くなった瞬間、ヒュドラから感じていた威圧感が大きく減ったことに気付いた。どうやら首一本無くなる毎に大きく全体の力が落ちたようだった。


 「よし!油断はするなよ?その調子で一本ずつ落としてしまえ!」


 「はい!」


 俺はバトラさんの言葉に大きく返事をした。油断は出来ないが俺でも首の一本を落とせた事で自信が湧いた。俺達へと向けられる残り四対の眼に対して負けじと睨み返した。

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