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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第五章 探索編
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第百六話 強制依頼3

 「おう、全員揃っているな?これから作戦の詳細を伝える!」


 ギルド長のガドンさんはそう言いながら部屋に入って来た。俺たちは雑談をやめると備え付けられている椅子に慌てて座った。そういえばBランクの人達と挨拶すら出来てないな・・・。後で挨拶しておこう。


 「問題の北部へ斥候に行っていたBランクのチームから報告があった。南下してくる魔物達の背後からはBランクの魔物が推定二十!そしてその原因となったのは北部の山脈に新しく住み着いた魔物がいることが分かった」


 ガドンさんがそこで一旦言葉を切る、Bランクが二十体だけならこの国の冒険者の半数も居れば狩れる数だろう。Cランクでも十人も居ればBランク一体はなんとか狩れるだろう。そしてこの場にはBランクが三チームも居るし、斥候に行っている二チームも合わせれば十分可能だ。


 「・・・そして、北部の山脈に住み着いたのは、ヒュドラのつがいだ」


 その言葉が聞こえた瞬間、部屋の内部の空気が凍った。俺のチームだけが意味を理解できなくて周囲をきょろきょろと見てしまった。誰の顔を見てもその顔には驚愕や絶望感といった表情が浮かんでいる。因みに驚愕の表情がAランクの面子、絶望感がBランクのチームの人達だ。

 この緊張下でヒュドラって何?って聞ける状況では無いよな。名前から想像するなら九つの頭を持つ竜だよな、日本での八岐大蛇も似たような物だっけか?あれは八つの頭か。


 「ヒュドラはAランクの魔物だが、それがつがいとなると脅威度はSランクになる。幸いヒュドラ自体は南下する気配は無いが放置することも出来ん。卵を既に産んでいる可能性もあることから討伐の緊急性が求められる。Aランクの皆は引き続き討伐戦にも協力して貰いたいが、Bランクには強制はできん、自分の力量を見極めて参加する者以外は退室してくれ」


 ガドンさんの言葉に室内にざわめきが聞こえる。当然討伐に強制参加だと思ったのに選択できるとは思わなかった。Aランクの人達は当然だなという風に肩を竦めている人も見られる。


 「勿論、断ったからといって罰則は無しだ。代わりにBランク以下の魔物の討伐には当たってもらうがな。参加してくれたら報酬はしっかりと約束しよう!」


 続くガドンさんの台詞を聞いて他のBランクの面々は暫くチーム内で相談しているようだ。俺たちもどうするか相談しようかとも思ったのだが、如何せんヒュドラに対する知識が足りないのでガドンさんに尋ねる事にした。


 「あの、ヒュドラ自体がAランクの魔物というのは分かったんですが。俺たちBランクが参加して太刀打ちできるものなんですか?」


 俺の質問にガドンさんは頷き説明をしてくれた。


 「そうか、お前さん達はBランクになったばかりだしな。ヒュドラは四つの首を持つ竜種だ。当然Bランクが数人挑んでも勝てる見込みはほぼゼロだ。だから基本はAランクと合同で当たって貰い、AランクとBランクのチームが組みになって一体に挑んで貰う積りだ」


 ガドンさんの話をまとめると、基本のアタッカーはAランクのチームが当たり、俺たちはバックアップのようだ。後方から回復などの支援魔法や、遠距離からの魔法攻撃などを担当する。但し、ヒュドラにもブレスなどの攻撃手段があるので安全では無いとの事だ。

 俺たちが悩んでいるとバトラさんが俺達に声を掛けて来てくれた。


 「トーヤ、もし参加するなら俺たちと組まないか?多少付き合いはあるし連携も取りやすい。お前らの実力も合宿などを通して理解しているしな。それにチアキの安全も考えれば同じチームで居たほうが安心するんだが」


 俺はバトラさんの話を聞いて納得する。他のチームも悪い人ではないだろうが互いの能力も分からない状態で行くよりも楽だと思う。俺はアリス達へと振り向き、今の話を踏まえて相談することにした。


 「どうする?バトラさん達となら連携も取りやすいし俺は参加してもいいかなと思うんだけど」


 「そうですね、ヒュドラ・・・竜種との戦闘はワイバーン以来ですね。単独では無謀ですけど、バトラさん達とならいいんじゃないでしょうか?」


 アリスは賛成のようだ、俺は姉に顔を向ける。


 「そうね、バトラと一緒なら私は問題無いわよ。危険な竜種らしいしバトラ達だけ行かせるのも怖いし・・・」


 どうやら姉は危険な魔物相手にバトラさん達が挑んでいるのを街で待っているのが不安らしく、可能なら一緒に行きたいらしい。俺も同じ立場だったら同じことを思うだろうからそこに異論はなかった。最後にフラウを見ると、目をキラキラとさせて「ヒュドラ見たい!」とアピールしていた。これは聞く必要もないな。


 「ガドンさん、俺たちは参加します。そして可能であればバトラさん達と同じ組にしてほしいんだけど?」


 「参加してくれるならそれくらいの融通は大丈夫だ!ただし危険度は高い依頼だからそこはちゃんと認識しているな?」


 ガドンさんは再度確認をしてきた。危険はちゃんと認識しているとは思う、依然リザードマン相手に死に掛けたりした記憶が蘇ってくるが、今度こそ油断なく強敵と立ち向かえるのではないかという思いの方が強かった。


 結局、Bランクのチームの三組は全て参加という事になった。色々と葛藤はあったようだがBランク成りたての俺たちがあっさりと参加を表明したので逆にやる気が出たようだった。

 申請通り、俺たちはバトラさん達『片翼』と組むことになり、他の人達もAランクと一緒に組みを作った。

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