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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第五章 探索編
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第百二話 ファレームへの帰還

 「フラウが俺たちとチームを組みたいというなら、俺たちとしても是非お願いしたいな」


 俺の言葉にフラウはパァっと表情を明るくした。


 「この三週間フラウと組んでて楽しかったのは俺たちも一緒だよ。明るくて、元気で、当然治癒や精霊魔法についても上手だったし。俺たちは最初妖精族と組むと言われて、連携が上手くいくか不安だったけど。フラウはあっという間に馴染んでくれたし、この三週間は本当に楽しかった」


 俺の言葉に照れているのかフラウは両手を頬に当てて身悶えている。小さいからこんな仕草も可愛いよなと変なところで感心していた。


 「確かに小さいというハンデはあるかもしれないけど、逆にそのサイズによるメリットもあるよね?フィールドはともかくダンジョンだとメンバーが多いと動きを阻害されやすいけど、フラウは飛んだりできるから自由に動き回れるし。あとギルド長も懸念しているのは肉体的な脆さですよね?魔法具による結界など用いればそこまで心配する必要は無いと思うんですよ」


 俺は一気に話したので一旦区切ってギルド長の顔を見た。アメリアさんは俺の話を黙って聞いていたが、小さく溜息を吐くと口を開いた。


 「そこまで双方が言っているなら止める権限は無いよ。でも魔法具などは非常に高価だ。それをフラウに用意するだけのメリットがあると?」


 アメリアさんの言葉に俺は首を横に振って答える。


 「ギルド長、メリットがあるからではなくフラウが大事な仲間だから用意するんですよ。チームメンバーが安全に冒険する為に必要なものを惜しむなんて、三流もいいとこだ」


 俺の言葉にアメリアさんは納得したのか頷いた、そして俺たちが帰る日程に合わせてフラウにも都市間転送魔方陣の使用許可を出すと約束してくれた。

 その時のフラウの喜びようはなかった、羽が取れるんじゃないかとパタパタと飛び回ったかと思えば俺たちの顔に抱き着いてきたりとはしゃいでいた。


 三日後、俺たちがファレームへと帰る日となった。転送魔方陣のある建物にはアメリアさんとフェアリーの長老が見送りに来てくれていた。


 「フラウや、一族を代表し見分を広めてくるのじゃ。そして必ず無事に帰って来て見てきたものを一族に教えておくれ」


 フェアリーの長老がフラウへと語りかけると、フラウが「まかせてよ!」と元気に答えていた。後で聞いた話だが長老も若いころに国を出て冒険したいと思った事があるらしい、やっぱり一族皆好奇心が旺盛なんだなと内心苦笑した。


 「トーヤさん、皆さん。『狂い樹』の件本当にありがとう。これからも調査を続けて少しでも自然を守れるように頑張るわ。皆さんもどうかお元気で」


 フラウと長老の挨拶とは別に俺たちにはギルド長のアメリアさんが挨拶に来た。そして手に三つの白銀に輝くバッヂを手渡してくれた。

 俺がこれは?と尋ねると。


 「先日仰られていたユグドラル国内で自由に動けるようになる証明章です。ユールの街の周囲はもちろん、ほとんどの妖精族から便宜を受けることのできる名誉勲章のような物です」


 「成程、ありがとうございます。また是非ユグドラルに来たいと思いますので、その時は活用させてもらいます」


 俺はありがたく受け取ると、アメリアさんと握手をして別れた。フラウも長老との話が終わったらしく、パタパタと飛んできて姉の肩に止まった。転送用の部屋の扉が閉まり、来た時と同様様々な物資と数人の人族、そして十名ほどの妖精族と共にファレームへの転送が開始された。


 来た時と同様、虹色の輝きが周囲を満たして眩しさに目を瞑る。輝きが収まった時には既にファレームへと転送が完了していた。


 簡単な入国審査の後、俺たちは一か月ぶりとなるファレームの街へと戻って来た。姉の肩でフラウが立ち上がり、「すごーい!」周囲を見ては喜んでいた。俺は喜んでいるフラウを落ち着かせるとまずは家へと帰ることにした。フラウを家で待つ皆に紹介しないとな。


 「あ、ご主人様おかえりなさい!」


 家へと帰るとメイド姉のララが出迎えてくれた。俺がただいまと言って家へと入ると姉の肩に止まっているフラウに気付いたようで驚きで目を見開いていた。


 「ああ、全員食堂に集めて貰えるかな?新しく仲間になった人を紹介するから」


 俺がそう言うとララは一礼するとパタパタと走って皆を呼びに行ったようだ。俺たちは先に部屋へ戻って部屋着へと着替えた。数分もしないうちにララが全員集めてくれたようなので、俺たちも食堂へと移動した。


 「おお、トーヤ殿、チアキ殿、アリス殿。長旅お疲れ様でした」


 食堂に着くとセバスさんが扉を開けて俺たちを出迎えてくれた。俺は食堂の椅子に座ると全員が席に着くのを待ってフラウを紹介した。


 「こちら、新しくチームに入った妖精族のフラウだ」


 「よ、よろしく!ボクはフェアリー族のフラウって言います」


 フラウは緊張しているのか背をぴんと伸ばして挨拶をした。その様子を微笑ましくみつつ、俺は家の皆を順に紹介した。


 「さて、色々と話や土産もあるんだけど。その前にフラウさえ良ければこの家に一緒に住んでもらいたいと思っているんだけど、いいかな?」


 「それは、助かるけどいいの?」


 俺の提案にフラウは少し遠慮しているのか確認してきた。俺としてはフラウを一人だけ別に住まわせるのは無意味だし、同じチームとして一緒にいるほうが何かと都合がいい。それにフェアリーのフラウでは泊まれるような設備の宿は無いだろう、それならこの家をフラウでも快適に過ごせるように改築したほうがいいと思う。正直、フラウのサイズでは普通の扉を開け閉めするだけで大変なのだ。

 そう伝えるとフラウは納得したのか嬉しそうに頷いていた。俺はセバスさんに大工を呼んで色々と改造するように伝える。当面は姉と同じ部屋にでも住んで貰おう、姉もフラウも普段から仲が良いので特に問題は無いようだった。


 そんなフラウをメイド姉妹のララとリンや先月連れてきたティアは目を輝かせて見ていた。


 「ねぇ、お兄・・・ご主人様。フラウさんに触れてみていいですか?」


 ティアが耐え切れないという感じで尋ねてきた。俺がフラウを見ると、フラウは頷いてティア達の所へと飛んでいき、改めて挨拶をしていた。一応羽などを掴んだりしないように注意はしたがティア達は恐る恐るという感じでフラウと握手をしたりと触れ合っていた。


 その晩は皆にユグドラルのお土産を渡したり、フラウが家に住むうえでの希望や注意点などを聞いたりしつつ久々の家の食事を味わっていた。

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