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僕の彼女は異世界人  作者: 藤乃叶夢
第一章 地球来訪編
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第一話 彼女との出会い

初投稿です

よろしくお願いします。


 俺の名前は五十嵐十夜いがらしとおや、今年で十七歳の高校三年生だ。兄弟は三つ年上の姉がいて、二人で借家に住んでいる。趣味は親父から小さい頃から教えられた格闘技、剣術から護身術や合気道まで何でも教え込まれた。

 親父は日本人で格闘技はかなり強かった。母さんは外国人でとても綺麗な人だ。格闘技を習っている事くらいで他は平凡な家庭”だった”。そう過去形だ・・・


 事の始まりは二年前、両親が海外旅行に行ったまま行方不明になった。事件か事故かは不明だが、この二年余り音信普通のままだ。

 殺しても死なないような親父だったから無事だと信じている、銃で撃たれてもなんとかしそうなくらい強い親父だった。いつも「どんな脅威からも好きな女性くらいは守るのが男というものだ」と言っていたから母さんも無事だと思う。

 結局、海外ということで詳細もその後の情報も手に入らず月日だけが過ぎていった。最初の半年は警察も大使館も頻繁に連絡を入れてくれたが、徐々にその回数も減って今では全く音沙汰が無い。


 その後の生活は幸いにして親の預金があり、姉も大学に行かず就職してくれたため俺も高校を辞めずに済んだ。姉は学年でもトップクラスの成績だったから、大学には行きたかったはずだ。だけど、親が行方不明の状態では他に選択肢が無かった。


だが、その半年後今度は俺が事故に遭ってしまった。近所のガキが車道に飛び出したところに車が来て、咄嗟とっさにかばってしまったら俺がかれてしまったのだ。

 ガキの方は軽症だったけど、俺は右腕切断の重症。あの時は姉が泣き叫び逆に俺のほうが冷静に現状を受け入れる事が出来たっけ。姉にはそれ以来迷惑をかけている。俺なんかより頭が良くて大学に入りたかっただろうに就職して俺の面倒を見てくれている。


 右腕を失ったせいで部活の空手部も退部、これでも小さい頃から格闘技をやっていただけあって全国大会に出場が決まってたんだ。だけど事故で腕が無くなったら出場なんて無理だよな・・・。結局、全国大会目前に出場が出来なくなって部にも学校にも迷惑を掛けてしまった。田舎の無名校から初の全国大会出場と盛り上がっていただけに、その反動は大きかった。それ以来先生や部の顧問からは度々嫌味を言われ、クラスからも浮いてしまっている。


 小さい頃から親父に鍛えられ、小中高と部活に打ち込んで来たが隻腕ではどうしようもない。部活を辞めたせいで空いた時間をどこで時間を潰すこともできず、まっすぐ家に帰る日々が続いている。

 他にこれといった趣味が無かった俺はこの腕で特に出来る事も無く、この一年余りは真っ直ぐ家に帰り小説や漫画を読むだけの生活になっていた。

 ちなみに、部活ばかりの生活だったせいで彼女は居ない。友達も付き合い程度はあったのだけど、事故以降殆ど誘われる事も無くなった。



 今日も学校が終わり、他の皆が部活をやってる時間に一人寂しく家に帰っている最中だ。片腕だとパソコンゲームもゲーム機もプレイできないか遊べるソフトが限られる。誰かVRMMOでも開発してくれないかな、そんな事を考えながら家へと続く道を歩いていた。


「ハァ~、この世界は生き難い・・・」


 つい独り言も多くなってくる。最近の悩みは就職活動だ、内申書はともかく隻腕だと通常の会社への就職は厳しい。特に田舎だと更に。今はロボットのような精巧な義手(義腕)があるとどこかの動画で映していたが、一般に流通はしていない。せいぜいマネキンみたいな義手があるだけだった。

 俺は動かない腕があっても邪魔なだけだと思って、医者に勧められた義手は着けていない。


「農家も隻腕だと無理そうだし、そもそも知識が無いしなぁ」


 姉が働いてはいるけど、まさか養って貰う訳にはいかない。姉に迷惑はかけられないし、なにより自分が許せなくなりそうだ。姉もいい歳だし結婚とか考える頃だろう、俺みたいなのがくっ付いていて言い訳が無い。


そんなことを考えながら家に向けて歩いているとどこからとも無く声が聞こえた。


「タスケテ」

「?」


 俺は自分に掛けられた声かどうかも理解しないまま、声のする方を振り返った。

一見見渡した限り声の主は見当たらない、周囲を見渡し声を主を探していると再度声をかけられた。


「ココ、タスケテ」


 あ~やっぱ俺に向けて問いかけてるんだと声の方を向くと、隣の公園と今居る道路の境目の茂みから少女が顔を覗かせていた。カタコトの日本語を喋ってるし、見た目が外人っぽい。


「俺に聞いてたの?」


少女は『こくん』と頷いた。見た目は十代前半だろうか、顔だけ見た限りならそんな感じに見える。


「アナタヲ マッテタ。タスケテ」


「君は誰?というか、なんで俺に声かけたの?」


少女を見下ろしてるのは失礼かなと思い、視線を合わせるために少し屈んだ。


「オネガイ、タスケテ」


 日本語通じてないのかな?とは思う。けど、こちらが問いかけた言葉には反応しているように見えるから、まったく通じて無いわけではなさそう。

その少女をよくよく観察すると少女の恰好が気になった。

 茂みである程度は隠れているものの、髪がくすんだ灰色のような色だった。

眼は綺麗な碧眼で整った顔立ちだ。英国人かアメリカ人かな?


 服装はワンピースのようだが、汚れているようで元の色がよくわからない。はっきり言えば「浮浪者」「家出娘」というような印象だった。


「君と俺とは初対面だよね?いきなり助けていわれても対応に困るよ?」


自分よりは年下に見える少女に俺はできるだけ優しい声で聞いた。

見た目だけで行けば中学生かな?とは思えるが、茂みから覗かせてる姿だけだと背格好はわからない。


「アナタノ タスケテ オネガイ」


じっと、視線を逸らさずそう答えてきた。


「何か困ってるの?でも、助けて欲しいなら大人に言う方が正解だと思うなぁ」


見た目的に整った顔立ちだとは思えるが、何しろ汚れていてみすぼらしい。

外国人ともなると英語が万年評価2(5段階中)の自分には助ける事が出来ないような気がする。


「ホカノヒト ダメ。アナタ タスケテ オネガイ・・・」


『クゥ~』可愛いお腹の音が言葉を遮った。

少女は顔を真っ赤にし、羞恥からか下を向いてしまった。


「いつからここに居たの?親とかどこかに居ないの?」


お腹の音に触れるのは失礼だと思うので、あえて別な質問をしてみる。

飯くらいなら食わせてあげてもいいかな?でもトラブルには関わりたく無いしなぁという思いもある。


「コッチニ イナイ ダレモ。ヒトリ、タスケテ フツカ ココ イタ」

どうやら、こちらの日本語は理解はしているようだ。なんとか意思は通じてるっぽいのでなんとかなりそうだし、家に帰れば語学が達者な姉がいるからまかせればいいか?それにしても、二日間ろくに食ってないのか。


「とりあえず、家が近くだから飯くらいなら出せるよ?助けが必要という言葉の

意味は理解できてないけど、飯くらいなら」


我ながら不用心だとは思う。会って間もない少女を家に連れていくなんて。

でも、逆を言えば知らない男の家に呼ばれれば、普通は男より女のほうが危険度は高いよなー、と思える。


「とりあえず、飯でも食いながら話でも聞くよ。俺みたいな学生に何ができるとは思えないけど、大人に話すにしろアドバイスをするにしろ、とりあえず来る?」


すると、少女は顔を上げ真剣な顔で「アリガトウ!」と言った。


まあ、もう夕方なるし放っておくのもなぁと思いつつ、少女を連れて家への帰路についた。


11/5 大幅に加筆

・格闘技が強いのを両親から親父に変更

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