9.うまくことを運ぶには、見取り図が必要です。
自分には関係ないと高を括っていたのが悪かったのでしょうか、とうとう年貢の納め時が来たようです。「アリスティア・ウェルバーと迷惑な仲間たち」と任務を組まされることになりました。いつも、リリーや蒼さんの奴らと組まされることへの愚痴を聞いていたのですが、目の前で本当にされるとイラつくものですね。今度は私が、リリーと蒼さんに愚痴を聞いてもらおうと思います。前世があり、精神的に大人のつもりでいたのですが、ものすごくイラつきます。前世よりも、気が短くなっているようです。こういう時には、前世があろうが全く関係ないですね。
このイラつきと思いを魔物たちに向け、良心を捨てて躊躇いなく切り裂くいていきます。グロかろうが無視です。
そのことに取巻きたちが私に文句を言ってきます。他にも「遅い」「とろい」「もっと早くしろ」「このままじゃ、足手まとい」だの言いたい放題です。自分たちは、ヒロイン(笑)を守るばかりで何もしない癖に。私はムカついたので、魔剣を長剣から短剣二本の姿に変え、魔物たちを切り刻むと同時に骨ごとぶった切った肉片を短剣を利用して、取巻きたちに投げつけました。それを避けきれずに、取巻きたちは肉片塗れです。非常に汚い姿になっています。
終わると取巻きたちが文句を言ってきたのですが、「なにいっているんですか、なにもしていない役立たずども。一度、死んでみます? 今なら、すぐに地獄に送って差し上げますよ」とリリー曰く背後から死神が見えるような笑顔で言いました。そうすると、取巻きたちは顔を青くして「申し訳ございませんでした」ときれいな土下座をして謝ってきました。
移動のために飛行機に乗りました。
取巻きたち用に、私は座席にビニールをかぶせます。
その後も、私を見るとカタカタと震える取巻きたちを無視してて機内でティータイムの準備を始めました。
お菓子はアリスティアさん作 暗黒物質で、紅茶は睡眠薬入りイングリッシュ・ブレックファスト・ティーです。もちろん、私の分は別口で用意済みです。
飛行機での移動中に次の任務地の資料を読みます。すると、
「この任務はアリスティアがいるのに危険すぎる。回避すべきだ。今すぐ戻ろう」とクリスさんが言いました。他の取巻きたちも同意しています。危険すぎる任務なら拒否権もありですが、これはないだろうと思いました。私ひとりがいれば、十分ですしね。
私はお菓子を進めながら、
「そうですね。とりあえず、アリスティアさん作のお菓子を食べてからにしませんか? 断って戻るにしても、それくらいの時間は十分にあるはずです」
「そうだな」
と言って、取巻きたちはアリスティアさん作の暗黒物質を食べて気絶し、アリスティアさんは紅茶を飲んで眠りに入りました。これで当分、静かになります。
私はそれらを片付けてから機長室に行き
「私は次の任務地で下してください。他の方たちは魔物対策課アメリカ支部までお願いします」と言って、席に戻りました。
それにしても馬鹿ですね。取巻きたちによる馬鹿な行動のストレス発散場所を私が逃すはずないじゃないですか。
私はリュックに次の任務地のビルの見取り図と必要なものを入れました。
任務地に着いたところで私は飛行機から降り、ビルのある場所まで歩いていきます。この任務が危険なのは、ビル内の巨大金庫に数十人の人が立てこもっているから。取巻きたちには無理でしょうね。大事な大事なお姫様を守りながらできることではありません。助けを待っている人をいざとなれば、迷わず見殺しにするでしょう。彼らの日ごろの行動を見れば、そう思っても仕方のないことです。
私はビルまでたどり着くと、隣にあるビルの屋上から目的のビルの屋上に移り中に入りました。魔物を蹴倒し叩きのめしながら、見取り図の印のところに超小型爆弾を設置して回りました。魔物が多いので、一気に片をつけるためです。気が付けば、見取り図を落としてしまっていました。どこで落としたのかが分かりません。今から見取り図を探す時間がありませんし、どうしようか迷っていると、
『儂が残りを案内してやるから安心しろ。一階だけだから、大丈夫だ』
といって、残りは魔剣の指示で超小型爆弾を設置しました。
地下にある頑丈な巨大金庫に立てこもっているので、私はそこを目指しました。行く途中で逃げ遅れた女の子がいました。金庫まで一緒に行くよう言ったのですが、妹が迷子になっているので探しているとのことです。なので、私も一緒に探すことにしました。なかなか見つからないと言ったので、隠れ場所として定番の用具室に行くことにしました。そこに行くと、妹さんが隠れていました。
金庫に着いたとき、扉の横にある電話で、開けてくれるように言いました。中に入った時に男の人が、
「魔物対策課の奴か?」と訊いてきたので、
「はい。そちらからすれば年齢と外見が問題かもしれませんが、全く問題ないですよ」
「聞いていた人数じゃないな。他の奴らは?」
「...お察し下さい」と目を逸らし、遠い目をしました。
「聞かなかったことにする」
「ありがとうございます。そちらの人数は揃ってますか? 爆弾を仕掛けたので、爆破したいのですが」
「揃っている。でも、爆弾だけじゃ魔物を始末できないが」
「それこそ、大丈夫です。爆破しますよ」
と言って、爆弾のスイッチを押しました。ある程度の魔物を始末したようですが、生き残りがこちらを襲ってきました。私は、返り討ちにしました。時間としては十五分くらいです。終わった後に、返り討ちされた魔物たちを見た先ほどの男の人は、
「これはやりすぎじゃないか?」と訊いてきたので、
「嫌いな奴らを思い浮かべてやっていたら、ついついやりすぎまして」
「そうか...」とそれ以上訊いてはいけないと悟ったような感じで言いました。
今回の任務は、魔物の脅威から逃れるために立てこもっていた人を救出して連れ帰ることなので、魔物対策課に帰ることにします。
今、来た飛行機に乗ってこの地を後にするのでした。
【取巻きたちの名前がないことについて】
主人公が取巻きの名前を覚る気がないので名前と設定はありません。
(主人公にとってモブ以下の存在)
今後、名前(クリストファー以外)が出ることはありません。