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7.自称ヒロイン(笑)日記

今更なこと~その2~

本作では乙女ゲームが日本発で、他国に進出している設定です。

【アリスティア・ウェルヴァーの日記ー私の乙女ゲーム攻略記~一部抜粋】



4月1日 晴れ

今日、ふと気付いたの。

教育係と同期をはじめとした私の周りにイケメンが揃ってるって。

これって、大好きな乙女ゲームと同じ状況じゃない。

もしかして、私がこの世界のヒロイン? きっと、そうよ。

これから、彼らを攻略しなくちゃ。 待ってて、私の恋人たち。



5月1日 晴れ時々曇り

今日は、武器を取得する日。

武器が人を選ぶらしいけど、私は選ばれるわ。

だって、ヒロインだもの。

同行者は、クリスとソウと邪魔者LとA。邪魔者Lは私を嫌っているの。

きっと、羨ましいのね。邪魔者Aはよく知らない。

武器取得は思ったよりも、カンタンだったわ。ヒロイン補正かしら。

私が終わってすぐ後に、ソウが武器が作り出した空間から出てきたわ。

だから彼にヤキモチを焼かせたくて、武器取得で不安になったと思わせてクリスに泣きついたの。これで、嫉妬してくれるはず。

そして邪魔者Aが出てきたら、邪魔者Lが山を降りると言って、ソウとAと降りて行ったわ。おかしいよ。ソウは私が好きなはずなのに。きっと照れてるのね。

大丈夫だよ、私は分かっているから。



7月7日 晴れ

今日は、初任務。

今まで訓練で頑張ってきたんだし、成果を発揮しちゃうぞ。

それで、おかしなことが起こったの。

武器取得したグループで初任務を行うはずなのに、所長によってソウとは離れ離れになっちゃった。

これは、ソウに好かれるためのイベントだわ。

私が邪魔だなんて言ってるけど、足手まといになる邪魔者Aを庇ってるのね。やさしいところが素敵。それに、私がいると私が気になって、任務に集中できなくなるものね。かわいいところがあるんだから。

攻略対象の攻略は後残すところあなただけ。必ず攻略してあげるから待っててね、ソウ。



【アリスティア・ウェルヴァーの日記ー私の乙女ゲーム攻略記~一部抜粋~ー】終了




「なんですか?この妄想日記。脳味噌がお花畑としか思えないほど、、吐き気がする思考ですね」

「ひょっとして、ママ秘蔵の乙女ゲームをしたからこうなったのかな?」

「ならないから。普通、ならないから」

「じゃあ、お姉ちゃんは普通じゃないの?」

「一番のツッコミどころは、自分と同じような状況はアルバイト先の女の子のほとんどが当てはまるということですね。アリスティアさんクラスの美少女はそれなりにいますよ。なぜ、自分が乙女ゲームのヒロインだと思ったのでしょう?」

「やだ、こんなこと考えてるヒロイン。こんなのに攻略されたくない」

「でも、これっていいのかな? お姉ちゃん、この人たちに恋してないよね?」

「するわけないじゃない。攻略対象者なんて言ってるぐらいだし」

「人の気持ちを弄ぶ時点でいけないですよ。ゲームでなく、現実なんですから」

「止めないといけないよね」

「無理ですよ。自分で自覚しない限り、嫉妬してると思われるだけです」

「傍観して、嘲笑うくらいしかできないでしょ。ところで、この攻略された攻略対象者って周りでどう思われてるの?」

「アリスティアさんに、攻略されるまでは女の子に人気がありましたよ。乙女ゲームなら攻略後も騒がれるでしょうが、実際は違いますね。徐々に距離を置かれて、彼らに関わらないようにしてます。近づきたくないのでしょうね」

「姉さんの日記を読む限り、この攻略対象者はチョロイよね。実際、こんな簡単に恋には落ちないでしょ。ここが乙女ゲーム世界って思っても仕方ないんじゃない?」

「それは違うんじゃないかな」

「乙女ゲームの攻略対象者って、ゲームの中だから魅力的に映るのであって、実際に付き合うとなると遠慮したい人種ですよね? アリスティアさんはそこのとこどう思っているのでしょう」

「よくいえば攻略するってことだけど、やってることはストーカー行為だよね。ある意味、犯罪行為じゃん」

「やっぱり、お姉ちゃんを止めないとまずいんじゃないかな?」

「気になることは美少女系ヒロインのお約束、料理が暗黒物質ダークマター。やはり、これがないと真の意味で始まらないですよね。彼女の料理の腕前は?」

「はじめてお菓子を作った日に、ママがお菓子作り禁止令を出したけど」

「あの時はほんとすごかったよね。家族全員で生死の境を一週間さまよったし」

「そうなのよ。見た目だけはものすごく極上品。だけど、一口食べただけであの世の入口に入りそうになったわ。材料は人が口にできる食べ物のはずなのに、できたものは言葉にできないほど意味不明な味になっていたのよ。入れたはずじゃない材料が入ってる感じもするし」

「『ウェルヴァー一家殺人未遂事件』なんて、報道されそうになったし」

「警察が事情を聴くまで勝手な報道はしないようにマスコミを止めてくれたおかげだよね」

「一家で生き恥をさらすとこだったの」

「それはすごいですね。でも、それなら攻略対象者に暗黒物質ダークマターを食べさせたらどうでしょう? きっと、その時だけ味覚障害になって暗黒物質ダークマターを食べてくれるかもしれませんよ」

「だめだよ」

「そうだよ。お願いだからそれだけはやめて」

こうして、彼女たちは私にアリスティアさん作の暗黒物質ダークマターを攻略対象者(蒼さん除く)に食べさせよう計画を阻止しようとしました。

今回は諦めますが、まだ諦めたわけではありません。

彼らには、散々迷惑をかけられています。いつか必ず、奴らに暗黒物質ダークマターを食べさせようと思います。

私は絶対に諦めません。今ここで決意を新たにするのでした。

「シャーロット&グレース・ウェルヴァーの設定」

双子の姉妹。アリスティア・ウェルバーの妹。

彼女の作るお菓子こと暗黒物質ダークマターがトラウマになっている。

気の強い方が、双子の姉のシャーロット。気の弱い方が、妹のグレース。

姉のアリスティアが、『自称ヒロイン(笑)』になってから、母秘蔵の乙女ゲームをプレイするのをやめた。

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