番外編 その6 この世界のヒロインは私ー花咲桃香 視点ー
電波っている女の子の思考で、バッド・エンドです。
苦手な方はスルーしてください。
私は、この世界のヒロイン花咲桃香。
お肌がツヤツヤ、唇がプルプルなものすごくかわいい超絶ヒロイン花咲桃香なの。
私は、愛されるためにこの世界に転生したの。待っててね、未来の恋人たち。みーんな攻略してあげるからっ。
これは、乙女ゲーム「虹色に彩る恋の花」の世界。私は愛されヒロイン。この世界の中心。私を中心にこの世界は回っているの。正直、ゲームでの私が理解できない。サポートキャラの秋月優希が親友ってこと。ネットでは、ヒロインよりもサポートキャラが人気なんだよね。私より人気があるんだよ、信じられない。それに、私が一番好きな攻略キャラ秋月湊を攻略する上で、一番邪魔なの。本当っ、信じられないんだからっ。何がサポートキャラなのよ。ちゃんと、サポートキャラって意味を調べてから来なさい。私がヒロインなの。そこのとこ分かってるの?って感じ。
幼稚園に入れば、秋月優希に遭うことになる。あんたの好きにはさせない。ぜっーたい、追い出してみせるんだからっ。彼女は途中から幼稚園に入ってきたから、石を皆で投げつけて、追い出そうとしたの。でも、中々幼稚園に通うことをやめてくれない。ヒロインが追い出そうとしてるんだから、黙って、追い出されなさいよ。ヒロインの言うことが聞けないの? 本当に、役立たずなんだから。あんたがいると、逆ハーレムができないし、湊君も私の物にならないんだよ。コイツが来てから思い通りになることが少なく、私はイライラしっぱなし。
そんな時の物凄いチャンスがやってきた。秋月優希が、私の投げつけた石で大怪我をしたの。しばらく、幼稚園を休むと先生が言ってたわ。私、天才っ。私、最高っ。私の天才ぶりが発揮された出来事ね。どうしよう?私がすごすぎて、褒める言葉が見つからないわ。これで邪魔ものがいなくなって、湊君と距離を詰めるチャンスだわ。幼馴染の晃君はしばらくほっといても大丈夫。彼って、ものすごくチョロイのよ。楽勝なんだから。乙女ゲーム期間に入ったら、晃君はほっといて他の攻略対象者を攻略しようと思ってるの。チョロイ奴はほっといても、大丈夫だよね。なんたって、皆から愛されるヒロインが愛してあげるんだもの。きっと、喜んでくれるわ。
私が秋月優希を病院送りにしたことで、両親が幼稚園に呼び出されたの。そしたら、秋月優希の両親に土下座して謝りだしたわ。信じられないっ。あなたたちはこの世界のヒロインである私の両親なのよ。そんなことする必要がないわ。私がやることはすべて正しいのよ。そしたら、信じられないことに秋月優希の妹、名前は何だったかしら?覚えてない。とりあえずそのモブが、私のことを責め出したの。馬鹿じゃないの。ヒロインを責めるなんてお門違い。ホント、馬鹿ね。あなたの両親は私の味方をしてくれたわ。そして、周りの大人たちで秋月優希が私を許すよう仕向ける相談をしたの。当然よね、私がヒロインだもの。愛されているんだわ。
後日、私が謝ってあげて許してもらう予定だったんだけど、あの女、それを断ったのよ。何様のつもり?
数日後、秋月優希は彼女の両親によって外国に追い出されたの。当然よね、だって私が謝ってあげるのを拒否したんだもの。
湊君と遊ぼうと思っているんだけど、うまくいかない。きっと、超絶ヒロインの私が好きで照れてるのね。でも、安心して。照れてるのが分かってるから、そんなの気にしないわ。
高校に入ると様々なタイプの攻略対象者を順調に落としていった。心に抱えた闇を払ってあげてるから、当然よね。みんな私に愛されることを喜んでいるんだもの。
そして、とあるパーティーで皆から嬉しい発表があったの。なんかすごーく偉い人たちの集まったところで、皆の婚約者として紹介されたわ。一人になんて決められない。皆を愛してるから。
でも、湊君と晃君は攻略されてくれない。おかしいわ?この私が愛してあげるんだから、不満はないはず。この際、この二人は無視してもいいかな。
季節外れの転校生がやってきた。あの邪魔者、秋月優希だ。ソイツは、ライバルキャラの六条真紀と一条鞠乃がいて近づけない。また追い出してみせるから、覚悟なさい。ヒロインの本気を見せてあげる。
そう意気込んでいると私の攻略した攻略キャラが私のために動き出した。秋月優希を追い出す気だ。頑張って、私のために。
でも、予想外のことが起きた。秋月優希の断罪の場で、私と攻略キャラが学校を追放されたのだ。そして秋月優希は、私が退廃ルートに入ったと言った。ハーレムなのになんで退廃?退廃ってなによ?
コイツの言ったSPとやらに、どこかの一軒家まで連れて行かれた。
そこで出迎えたのは、花京院椿の姉だという楓。もはや彼女の眼は私たちを見ていない。
そして彼女は言った。
「優希ちゃんからの伝言を伝えます。『花咲桃香さん、おめでとうございます。あなたの望んだ、退廃ルートに入りました。この家で一生、攻略対象者様と過ごすことになります。この家から出ることはできません。お気を付け下さい。これが、あなたの望んだ結果です。だだし、今まであなたが主導となってやってきたゲームですが、これからは攻略対象者様が主導になります。どうか、ご自愛ください』以上です」
そう言うと私たちを見ずに去って言った。
えっ? 私はヒロインなのになんでこんなことになってるの? 一生ここから出られないってどういうこと? 監禁? これからは攻略対象者が主導ってまさか...。
私はこんな結果なんて望んでない。私は前世の分まで愛されて、幸せになりたかっただけなの。 みんな、そんな目で私を見ないで。 今までのように愛して欲しいだけなの。 どうして、それができないの? やだっ、そんなことやめて。 みんな、お願い、やめて......
これから、ヒロイン花咲桃香はムーンかノクターンな展開が待ち受けています。
作者は、ムーンかノクターン的な物が書けないのでここで終了です。