表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/27

14.季節外れの転校生になりました。

今日から虹花学園に通います。

弟と妹はバイオリンをやめたようです。やっぱり、あの教え方ではやめてしまうのは無理ないですね。

正直なところ、バイオリンを習って途中で挫折したのに、どうして自分が有名バイオリニストになるような子どもを育てられると思ったのでしょう。 不思議でなりません。

私が有名になったことで、母に数ヶ月だけしか日本に戻れないことは知っているけど、これからも残ってくれないかと言われました。私は、「所長に訊いてみればどうですか?」と言いました。彼は、もちろん断るでしょう。私がそういうと無駄だと悟った母は不貞腐れて機嫌が悪くなりました。ここに来る前に所長には、「ユキの母が日本に残るよう言うだろうから、私に訊くよう言えばいい。断っておく」と言われたのです。なんでも、子どもを有名バイオリニストにして自分がついて行き目立ちたい性格の奴だからと。そんなことで、目立てるのでしょうか? 私にはわかりません。


転校初日なので、妹に職員室まで連れて行ってもらいます。と思ったら、弟もついて来ました。家から学校内の職員室に行くまで、弟と妹から母と花咲桃香の愚痴を聞きました。特に、花咲桃香は「あなたたちのお姉ちゃんを追い出したのは、私なんだから感謝してよね」と言ったそうです。電波ヒロインと化した花咲桃香とがっつり付き合わなくてよかったという意味では感謝してもよいかもしれません。私は、原作の乙女ゲームでは彼女の親友兼サポートキャラですからね。


職員室の扉を開けると、「こっち~、こっち~」と手を大きく振った人に呼びかけられました。高橋椎菜さんです。

「初めまして~秋月優希。担任の高橋椎菜よ~。よろしく~。うちの弟、元気でやってる~?」

「はい」

「数学の担当をしているの~」

「その怠惰が服を着ているような態度は、××みたいですね」

「あってる~。なんで、教師なんてなっちゃたんだろう~」

「精神的に疲れるわりには安月給で、やたら競争率が高いのにどうやってなったんですか?」

「その言い方だと××だったりする~? ふふふ、気力と根性だよ~。そ・れ・に、ヒロインに会いたかったからに決まってるじゃない~。もう、後悔してるけど~」

「そうです。××です。やはり、流行の電波系性悪ヒロインだったからですね」

「そうなの~。でも、どうして優希をあの件で選んだんだろう~。日本本部のあの人なら、即反対しそう~」

「ウォルター・ジョーンズが説得したそうですよ」

「あ~、あの人~。千匹狩りの魔王様だもんね~。あっ、もうすぐ、朝のHRだ~。行こう、行こう~。忘れないうちに言っとくね~、ヒロインとは一緒のクラスじゃないよ~」

「それは、安心です」

と言って、職員室を出ました。


教室まで着くと、「呼ぶまで、ここで待ってて~」と言って先に高橋先生は今日に入りました。

「みんな~。今日は、季節が外れちゃった転校生が来るよ~。さ~、入って~」

と言われたので、教室に入りました。

「自己紹介よろしく~」

「秋月優希です。よろしくお願いします」

「他にはない~?」

「ないです」

「じゃあ~、六条さんの隣に座って~。六条さん、手を挙げて~」

「彼女は友人なので、わかります」

「そうなの~? んじゃ、手を挙げなくていいよ~」

今日の連絡事項を言うと、高橋先生が出て行きました。


お昼時間は、真紀さんと鞠乃さんと食べることになりました。

「授業中とHRでは、高橋先生が別人で驚いたでしょ?」

「そうですね」

「なんか、授業になるとスイッチが入るんだって。それにしても、転校生なのに見事に質問攻めにあわないわね」

「それは、私たちがいるせいではないでしょうか?」

「そうですね。私はそういうのが苦手なので、構わないのですが...」

「あんたはそういう子よね」

と呆れたように鞠乃さんが言いました。真紀さんも同意しています。

正直なところ、将来的に関わりそうにない人たちの愛想を振りまくなんて、コミュニケーション能力が高くない私に必要ありません。嫌われようが、気にしませんし。

「今頃の転校って、花家はないえ関連ですの?」

「私たちの家の者たちたちかなり怒ってたもんね。婚約は向こうの家から申し込んできたくせにって」

花家はないえたちは、現在の当主の時に急激に力を付けたけど、六条と一条は、旧家の名家ですからね。...四条と九条には、他の花家はないえから婚約話がいかなかったんですか?」

「断ったんだって。私たちの家には何のメリットもない婚約話だもの」

「名家としての家の格が欲しいだけですものね」

「なら、どうして六条と一条は婚約を受けたんですか?」

「考えた末のことだと言ってましたわ」

「花咲さんが来るまでは問題がなかったもんね。で、優希はなんでこの時期に来たの?」

「六条と一条の現当主に頼まれたからですよ。九条のおばあ様には『やっぱり、こうなった』と呆れられていましたが。表向きは...そうですね、花家はないえ当主たちの息子の温情のため、次期当主としてふさわしいか見定めると言うところでしょうか」

「うわっ、難易度が鬼になった」

「私を推薦したのは、九条のおばあ様ですけどね」

「さすが、九条のおばあ様はやり方がえげつないわね」

「でも、彼らは難易度が下がったと思って安心しきっていますわね。なにせ、年齢が変わらない女の子が判断していると思っていますから」

「無知って怖いわね。私なら、優希が判断していると知った時点で次期当主の座から降りるわよ」

「そうですわね。こう見えて、どうでもいい人は切り捨てますし」

「むしろ、うちのお父様より割り切った考え方してるのよ」

「使えない奴なら、切り捨てた方が早いじゃないですか。いりませんよ、そんな人たち」

「中身と外見があってないわよ。今は容姿を」

と続きを言おうとした時に、私と真紀さんは国語辞典を同時に鞠乃さんの頭を叩きました。

「それは言わない約束ですよ」

「空気を読むべきですわ」



当初は、高橋椎菜さんのサポートに頼ろうと思ったのですが、あの人は乙女ゲーム以外に関しては怠惰力を発揮しそうな感じです。

なので、この件関しては学生である真紀さんと鞠乃さんを巻込んでしまいましょう。そうした方がよさそうです。

一条鞠乃の台詞が、「中身と外見があってないわよ。今は容姿を」で遮られましたが、「中身と外見があってないわよ。今は容姿をわざと落としているからといっても」と言おうとしました。

主人公の容姿設定は、可憐な美少女。

現在は、おさげにして黒ブチ眼鏡をかけています。

ちなみに、主人公が転校初日に質問攻めにあわなかったのは、美少女二人組に囲まれて、周りが声をかけにくかったから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ