番外編 その3-2 そして少女は夢から醒めるーアリスティア・ウェルヴァー 視点ー
日記と違うところがありますが、日記は母親好みに話を盛っているからです。
あの日記は、事実と違います。
ママからアドバイスを受けて、顔のいい男の人たちの攻略をしていった。正直、ここまで順調にうまくいくとは思わなかった。ママの乙女ゲーム脳でここまで出来たのが不思議。でも、中々うまくいかない人がいました。その人は、一緒に訓練を受けているソウ。彼は、攻略者の人たちとうまく言えないけれど、雰囲気が違うような感じがする。
もうすぐ実践に入るけれどその前に、武器取得するためにどこかの洞窟まで行きます。魔物を倒すには、そこで武器を取得しないといけないようです。でも、ソウと日本の女の子はそんなこと関係なしに、魔物を倒してしまいます。
エヴァが、「あの二人だからできるだけ。普通は、できないわ」と言ってた。
私の恋人たちが心配してくれるけど、みんなと一緒に戦いたいからと言えば武器の取得を納得してくれました。それでもやっぱり心配していて、恋人たちの代表としてクリスがついて来てくれることに。本来は別の人が同行者だったのですが、クリスが私のために無理を押し通したと笑顔で言ってました。正直なところ、かなり引いた。それを聞いた時の私の顔が引き攣っていなかったか心配です。
魔剣を取得するため洞窟に行く日がきました。
クリス以外の恋人たちが一度はついて行くことを諦めたのに、やっぱり心配だからついて行くと言って行きたがったのですが、宥めることで何とか諦めてもらいました。私のことを嫌っているリリーが同行者なので、どんなイヤミを言われるのかと不安になります。それを防ぐために、諦めてもらうことに必死でした。
道中、リリーは女の子にセクハラをしようとして、女の子に蹴られたり踏まれたりしていた。それでも、ニヤニヤして嬉しそうな笑顔を浮かべて気持ち悪かったです。その時に、「幼女からの愛のある制裁。私のような奴の世界ではご褒美です」と鼻血を垂らしながら恍惚な表情をして言っていました。それは違うと思う。愛はないと思う。私は聞かなかったことにした。そのことを聞いてしまった女の子とソウは顔を青ざめさせて、どこかに全力で走り去っていった。私もそうしたかったけど、クリスがいるので頑張って全力で諦めた。
洞窟に着くと、女の子とソウは先に来てぐったりしていた。
この洞窟はどことなく冷たい感じがするような気がする所です。
洞窟の中央の台座に3つの水晶が置かれていた。この水晶に触れて、自分の適性を知り、武器を取得するようです。
私は無理やり自信があるような表情を作り、ソウは緊張し、女の子は気楽そうでした。
武器が創り出したという空間に入ると、目の前に子犬がいて「あなたがぼくのもちぬし。もう、かえってもだいじょうぶだよ」と言われたとたん、元いた洞窟に戻されました。えぇっ? 早くない? こんなに早くできるものなの? とビックリしてしまいました。すぐ近くの水晶が置いている台座の横を見ると、リリーが寝ていて、「ああ幼女、私の幼女、愛してる...私の恋人、ちょっと待って。幼女も愛しているけど、あなたの方をが愛してるの。見捨てないで。でも、幼女も好き」と涎を垂らしながら顔を赤らめ、思い切り踏みつけられたようなところを愛おしそうにさすりながら寝言を言ってました。それを見た私は恐くなり、近くにいたクリスに泣きつきました。私がリリーに対する恐怖で抱きついていると、頭を撫でてくれた。落ち着いて周りを見ると、他の人がいない。クリスが彼らは先に下山したと言って嬉しそうに、「少しの間は、誰にも邪魔されず二人きりだな」と言った。
初任務は武器所得時のグループでするはずだけど、リリーとクリス以外の恋人たちと行くことになった。初任務での私の出番はなかった。その後の任務も、恋人たちが私が戦わないでいいように頑張りすぎて、私の出番がない。そのことを内心不満に思いながら過ごしていたら、魔物対策課の建物の中で幼馴染のマイケルを見た。どうやら、私が心配でここまで追いかけてきたらしい。任務をまともにしていないとはいえ、緊張しっぱなしの状況だったので、すごく嬉しい。安心した。
それに、あの女の子ユキっていう名前の子だけど、「気分転換にお菓子作りをしてみてはどうですか?」と訊いてきたの。家では禁止されてるから、すごく嬉しかった。恋人たちが最近、重く感じてきたのでいい気分転換になりそう。
マイケルとエヴァがいるから大丈夫だけど、私に対する恋人たちのストーカー行為と束縛が激しくなって、しんどくなってきた。エヴァにそのことを昼食時に食堂で相談すると、「ユキに相談してくるわ。彼女なら何とかしてくれるから」と言って、食堂を出て行きました。マイケルは不安になっている私の手を「大丈夫だ」握ってくれました。
数日後、恋人たちはどこかの国へ長期任務に旅立ちました。これで、束縛されずに済む。
これからは、私がする任務にユキが監視役として着くそうです。でも、彼女は本当に手を出すでもなく危ない時以外は監視するだけだった。
なんでも、「戦闘中に命令されるとイラつくんですよね。それに、戦闘中に命令に頼ってたらいざとなった時困りますよ」と。なので、手を出さないようにしてるそうです。ユキとソウは、一人で過剰戦力と言われるくらいだし。
数年後、元・恋人たちは女王様のような感じの人につき従って帰ってきました。
「私じゃなくてもよかったのかな」と言うと、ユキは「クリスティーンが、アリスティアさんに手を出さないように、時間をかけてじっくり調教したので大丈夫ですよ」と言いました。 調教ってなに? 一体何をしたんだろう。
ユキが、日本に長期任務へ向かう日がやって来た。あの子が監視役になってから、任務に不安を抱くことなくやってきたので、これからが心配。でも、日本本部が困っているので行かなくてはいけないと言っていた。
ユキを見送るのにマイケルと飛行場までついて来た。マイケルと恋人同士になった後で、元・恋人たちが戻ってきたので彼らが私によりを戻そうとか言わないかユキは心配しているようです。大丈夫だとあの子自身が言ったのですが、やはり心配そう。
マイケルは「そんなことさせないから大丈夫だ」というと、彼に本当に大丈夫だと約束させて、飛行機に乗り込みました。
数ヵ月後にはここに戻ってくると言ってました。
ユキが戻ってくるまで、もうちょっと強くなって心配かけないようにしようと思う。
アリスティアが、リアル・乙女ゲームをやめると母親に告げた時に母親は怒り狂います。
母親と気まずい状態が続く中、彼女を心配したマイケルがそのことをエヴァと主人公に告げると、すぐにウェルヴァー家に向かいエヴァと主人公は笑顔でアリスティアの母親を脅します。彼女は、「もう二度としない」と娘に約束しました。
後日、アリスティアがマイケルと付き合っていると心配している父と妹に告げると「やっと、付き合うことになったのか」と母親の洗脳が解けたこと、マイケルの思いがやっと通じたことを喜びました。
ちなみに、アリスティア母は拗ねて実家に家出中。