11.ヒロイン(笑)と取巻きたちを引き離してみました。
取巻きたちは次第にヒロイン(笑)が、自分たち以外の男性と話をしないかどういう行動をしているのか監視をするようになりました。そんなことをされているにも関わらず、普通に彼らに接しているヒロイン(笑)はずいぶん図太い神経をお持ちだなと思いました。正直言って、これで攻略対象者だから攻略していると思い込んでいるなら、ドン引きです。彼らの気持ち悪い行動に気付いていないのでしょうか。もはや、私は取巻きたちを見るだけで拒否反応が出ます。
それに任務中に一切、ヒロイン(笑)に戦わせなくなりました。これは、彼らの任務の監視役として行った時に、はじめて知ったのです。蒼さんとリリーによれば、これは最近始めたことらしい。私は監視役なのに、取巻きたちが任務に参加しないのを文句を言ってきたので、彼らを叩きのめすついでに魔物を退治しました。監視役という意味さえ、分からなくなっているのですね。残念です。
以前の時にはイライラして分からなかったのですが、冷静に見てみると彼らがいなければヒロイン(笑)は普通に戦闘能力があるんじゃとこの時に思ったのです。私の心の平穏のために、取巻きからヒロインを引き離そうと思いました。
私はそれを実行するべく許可を取るために所長室に向かいました。所長室に着くとお師匠様とリリーもいます。
「私はあの気持ち悪い生物を我慢できません。ヒロイン(笑)と取巻きたちを引き離そうと思います」
「そうですね。あんな取巻きを見るのはもう我慢の限界です」
「確かに。人間というカテゴリに入れたくないわね。気持ち悪すぎて」
「一応、人間なんだが」
「所長が何気に一番ひどいですね。フォローを入れるつもりで止めを刺しています」
「それはともかく、ユキはどうするつもりですか?」
「最終兵器、ヒロイン(笑)の美形な幼馴染を投入したいと思います。恋愛の王道は、幼馴染ですよ。気配り、フォロー、理解者そしてなによりヒロイン(笑)限定の下僕体質」
「そんなことできるのか?」
「どう見ても、あのヒロイン(笑)は取巻きたちを恋愛対象に見てないですよ。でないと、監視されて平気で対応はできないでしょう? 私なら、殺しかねません。ヒロイン(笑)は、超人か何かですよ」
「ヒロイン(笑)の身代わりの生贄はどうするのよ」
「組織内で募集すれば出どうでしょうか?」
「無理でしょ。あんな奴らに誰も関わりたくないわよ」
「よし。現在の各地に散らばっているスカウト員全員に全力で新たな生贄を探させよう」
そして、募集要項を話し合った結果
一.多分、美少女?
二.取巻きを調教できる
三.イケメンよりお金が好き
四.取巻きたちをはべらしたらクビ
五.暗黒物質を作れる
「五は難易度が高いと思うのですが、お師匠様」
「そうですか。アリスティアが作れるので、探せば作れる人がいると思ったのですが」
「無理です。ヒロイン(笑)が作れると知ったのは偶然なんですよ。あの人はある意味天才です。 ものすごく簡単な料理でも、暗黒物質に変化させるんですよ」
「五は却下だな。 一~四で、探させよう。それで、ヒロイン(笑)と取巻きはどう引き剥がすんだ?」
「次の任務で、私が監視役でヒロイン(笑)と幼馴染様で任務をこなしてもらいます」
「ちょうどいいのがあるな。ユキ、今から二人に声をかけて行け」
「分かりました」
私は所長室を出て、ヒロイン(笑)一行を見つけました。ヒロイン(笑)にまとわりついている取巻きを叩き潰してして、ヒロイン(笑)とマイケルさんのもとに向かいました。
マイケルさんは、訓練室の一つシュミレートルームにいました。
「これから、アリスティアさんと一緒に任務についてもらいます。私は、監視役として同行します」
「ユキは、何もしないのか?」
「任務には参加しませんが、監視するだけですよ。何もしないわけではありません。はじめから監視役だって言ってるじゃないですか、分かりませんでしたか? それも仕方ないことかもしれませんね。取巻きたちが、監視役の意味さえ分かっていませんでしたから」
「アイツらと一緒にするなよ」
「しても仕方がない発言をしてから言わないでください。馬鹿ですか」
「ごめんなさい。でも、アリスティアは大丈夫なのか?」
「私はそれを見極めるための監視役ですよ。任務に参加したらい見れないじゃないですか」
「もう、私は大丈夫だよ。みんな過保護なんだから」
そして、任務地についてマイケルさんとアリスティアさんは準備を始めました。
ピクニックをするのによい場所だったので私はレジャーシートを広げて、リュックから飲み物とサンドウィッチを取出し、観戦の準備を終えました。
「おい、なんだその観戦する状態は」
「ただ、監視役をするのはつまらないじゃないですか。取巻きたちがいるとここまでゆっくりできませんよ」
「否定できない...」
「奴らのいない、この開放感をを満喫したいんですよ。それぐらい、許して下さい」
「その気持ちわかる。うん、なんて言うかホントにごめん。ゆっくりしてください」
「あのさ、もう始まるんだけど」
「そうですね。危なくなったら、助けに入ります。それまで、頑張ってください」
「必要ない。大丈夫だよ」
そう言って、戦うヒロイン(笑)は助けに入るのが不要なくらい奮闘してました。これなら、何とかいけそうです。それに、下僕体質の幼馴染のフォローが的確で思ったよりも早く終わりました。簡単な任務だけとはいえ、収穫がありました。あとは、うまく取巻きたちを引き離せるかですね。
戦い終えたヒロイン(笑)は、達成感いっぱいの顔をしていました。もう、ヒロイン(笑)とは呼べないですね。これからは、心の中でも『アリスティアさん』と呼ぶことにします。
私は、任務を終えたマイケルさんとアリスティアさんのためにティータイムの準備を始めました。本日のお菓子は、アリスティアさんが好きなスイーツショップのマカロン。美味しそうに彼女は食べています。用意したかいがありました。
戻って、所長に本日の成果を報告をすると満足そうに頷いた。そして、彼は取巻きたちを長期任務に出したと言いました。これで、時間稼ぎをして例の件を選ぶと言って、終始上機嫌でした。