番外編 その1 私のお姉ちゃんー秋月華憐 視点ー
妹の名前が決まったので、妹視点となりました。
私の一つ年上のお姉ちゃんはほとんど家にいませんです。
きっかけは、虹彩市の幼稚園に通ってしばらくたった時のことでした。
幼稚園に通い始めて二日目に、ものすごく顔を歪ませた子の命令で他の子たちがお姉ちゃんに石を投げつけてきましたです。先生が来たら、顔を歪ませた子はさっきとは別人としか思えない子に顔を変身しましたです。それから数日間続いたのですが、ある日ものすごく尖った石を顔を歪ませた子がお姉ちゃんに投げつけたのです。お姉ちゃんの頭からものすごい血が出てきました。それを見た私と湊君が、大声で泣いてそれで先生が駆けつけてきましたです。
私と湊君が泣きやんで落ち着いたときに、先生に何があったか聞かれました。
お姉ちゃんがあの女の子にずーっと苛められていたこと、石を投げつけられて血がたくさん出たことを話しましたです。先生は驚いていました。「あの子がそんなことをするはずない」と。
後日、先生が他の子から聞いた結果、昨日私が話したことが事実と分かり、ママとパパとあの女の子のパパとママが呼び出されましたです。あの女の子の名前は、花咲桃香というそうです。桃香のパパとママは青ざめて土下座して謝っていました。ですが、桃香は嘘をついて謝ろうとしなかったので、私は「嘘つき。嘘つき。ずっと嘘をついていいと思わないことですよ」と言ったら、桃香は自分が責められておかしいと泣きながら逆切れしてきました。それを見た周りの大人たちは、桃香を庇いだしましたです。「仲直りさせればいい」、「優希がきっかけを作ったんだから、優希が我慢すればいい」などとパパとママが言いましたです。おかしいです。お姉ちゃんは何もしていないのに。いきなり、桃香がなぜかお姉ちゃんを苛めだしたのに。湊君と一緒になって、パパとママに言ったのですが聞く耳を持ちませんです。そして、お姉ちゃんのお見舞いにかこつけて、桃香を許すようにさせようと相談していましたです。
翌日、お見舞いに行くとお姉ちゃんが目を覚ましていましたです。私と湊君はお姉ちゃんに抱きついて嬉しくて泣いてしまいましたです。そして、次の日に先生とパパとママは嘘くさい演技をして桃香を許すよう仕向けました。ですが、お姉ちゃんは「顔も見たくないし、関わりたくない。やるんなら、私以外でして」と拒否して追い出しました。
正直言って、私はママが桃香の味方をするのにビックリしました。ママは、私と湊君よりもお姉ちゃんが好きなのです。お姉ちゃんは、ママ語を話せます。ママはパパがいない時はママ語でお姉ちゃんに話しかけて私たちを無視するのです。これを知った、パパとママのおじいちゃんとおばあちゃんはものすごくママに怒りました。それに対してママは「私は悪くない」とものすごく怒りましたです。その後、お姉ちゃんはママがママ語で話しかけても、いつもの言葉で返してママ語には無視です。それで、お姉ちゃんはママに頬を叩かれていました。叩かれた跡を見たママのおじいちゃんとおばあちゃんはママに「家の中でママ語をしゃべるの禁止令」を出したのです。パパにも言われてママは泣きながら不機嫌な顔をして「わかった」と言いました。
数日後、お姉ちゃんはアメリカという国に行くことになると知らないおじさんが来て説明しましたです。そのおじさんは、ママと幼馴染のドン・シルヴァーマンと名乗ったのです。ママは、そのおじさんから渡されたプリントを見ると青ざめて黙ってしまいました。おじさんはママがお姉ちゃんと私と湊君にしてきたこと、ここ最近の花咲桃香がお姉ちゃんにしたことの幼稚園ぐるみの黙認したことを上げ、これ以上ここに置いておけないから引き取ると言ってきました。ママは反抗しようとしたのですが、おじさんが何かママの耳元で囁いて黙らせてしまったのです。いつも、我儘ばかりいうママをおとなしくさせるなんてすごいです。ママは半泣き状態のまま、お姉ちゃんがアメリカに行くことを同意しました。
それから、お姉ちゃんは夏休みの数日間だけ帰ってきます。私と湊君は帰ってくる数日前からすごく楽しみにしています。今日やっと、お姉ちゃんが帰ってくるようです。私は玄関から入ってくるお姉ちゃんに飛びつきました。お姉ちゃんは私を抱きとめて頭を撫でてくれます。湊君は私が先にお姉ちゃんに抱きついたのに不満顔でしたが、私がどいた後すぐにお姉ちゃんに抱きついていましたです。ずるいです。
お姉ちゃんはママが、私と湊君のお世話をしない分、お姉ちゃんがものすごくかまってくれてさびしい思いなんてしたことはありません。何故アメリカに行ったか訊くと、「花咲桃香が湊と一緒にいようとする。だけど、私がいないとうまく湊と話しかけられない」と言っていました。よくわからないことを言ってるように思ったですけど、桃香が「サポートキャラさえいなければ、湊君は私の物。私って、天才。これで、逆ハーレムも完璧よ」とか謎のことを言っていたので、そのことと関係があるのでしょうか?
私と湊君は、桃香が近づいてきても無視しています。あの子のせいで、お姉ちゃんがアメリカに行くことになったのに。
お姉ちゃんは暑いのが苦手なので、家の中で私と湊君とたくさん遊んだ後、アメリカに行きましたです。
その時にお姉ちゃんは私が高校一年になった頃、数ヶ月間家に帰ってくるって言いました。もう少し先ですが、楽しみです。
早く、高校生になりたいと思いましたです。
ママ語は、英語のことです。
主人公は、母親が英語で話しかけても弟と妹がいる時は適当にあしらっています。