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再会
「十年ぶりかしら…。」
薄暗い喧騒の中、たやすく門を開き心に触れてくる声だった。
「10年と4ヶ月だ。」
そうタバコをくわえると、彼女はそっと火を差し出した。
「タバコだけは相変わらずなのね。」
「変わらねぇよ…。」
煙の先には一本のボトル、龍のラベル1973。
そう、何も変わっちゃいない。
「変わったわよ…。子供みたいな目して。」
カウンターの奥からもれた笑いに被せるセリフが見つからない。
「マスターもそう思うわよね。」
「…わ、私からは何とも…。」
笑ってんじゃねぇかよ。
一気にグラスを空け、彼女に差し出した。
「会計よろしく。」
「ちょっ、冗談じゃないわよ!ボウモアなんてあたし払えないからね!」
「女ひとりでこんな店来てるのに?」
してやったつもりだった。
が、ため息と共に見せたその顔は、悲しみに満ちていた。




