表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何度でも君と  作者: 星川過世


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/13

最終話

 学校を出た。

 「あー、腹減った。牛丼食いたい」

 優輝はすっかり元の感じに戻っていた。しかしどこか憑き物が落ちた様なすがすがしい顔をしている。

 

 俺達の関係は、どうなるのだろう。

 お互いに恋愛感情が無いことがわかった。なら、交際は終了だろう。

 元々友達だった訳ではない。今から友達になれそうかと言われると微妙だ。

 優輝との関係を手放したくない、そう思っている自分に驚いた。

 あの頃の自分を知っているから、一緒に居て楽。

 あの頃に戻れる気がするから、一緒にいて楽しい。

 それだけじゃない気がした。

 掴みどころがなくて、いつもベタベタしてきて、俺と同じであの頃に置いていかれたままの、でも俺より強く生きようとしている今の優輝と、もっと一緒に居たい。

 コイツと居れば俺ももっと強く生きられるんじゃないかなんて、結局利害でしかないのかもしれないが。


 「なぁ稔」

 「ん?」

 「俺さぁ、今から将来の夢探すわ」

 昼間の太陽を浴びて、あるいは俺の気持ちの問題で、優輝はキラキラと輝いて見えた。

 「いいじゃん」

 夢を持つのはいつからでも遅くない。ましてや優輝はまだ二十歳だ。

 やはり優輝には、夢を追いかける姿が似合う。

 「だからさ……稔も、手伝ってくれる?」

 「え?」

 不安そうに俺を見つめている。あの頃の優輝はしなかった、今の優輝の表情。

 「だ……だめ?」

 「いや……いいけど」

 優輝の顔がほころぶ。

 その顔を、愛しいと思う。

 もしかしたら俺はもう、とっくに。

 「俺一人じゃ、前に進めるか不安なんだ。でもお前となら、進める気がする」

 「なんだそれ。俺も、進めてないのに」

 「うん。だから一緒に」 

 優輝の手が俺の手を軽く握った。

 

 俺も握り返した。今度はちゃんと、過去に連れて行かれないように。

 そして二人で一緒に、今に追いつけるように。


 「稔」

 「なに」

 「ちゃんと俺と付き合って」

 「......うん」

 優輝がはにかんだように笑って俺を見た。

 「良かった。振られるかと思った」

 思い返せばなんだかんだ一回も言ったことのなかった言葉が、自然と口から零れた。

 「俺さ、お前のこと好き」

 優輝の目が見開かれる。

 「......になるかも」

 あるいは、もう好きかも。

 「“かも”かよ!」

 優輝が噴き出して、俺も笑った。

 「優輝は?」

 俺の言葉に虚を突かれたような表情になり、少し考える素振りをする。別に好きでも好きでなくても良かった。ただ優輝の口から聞きたかった。

 おかしいと思ったのだ。事なかれ主義の俺が、わざわざ自分から関係を悪くするようなことを言うなんて。俺はただ、コイツの口から。それは甘えだけではなくて。

 「……好き」

 そう言ってからわざわざ強調するように言う。

 「“かもしれない”」

 大して面白くもないのに二人で大笑いしながら歩いた。

 久しぶりにこんなに笑ったかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ