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緑茶はさっぱりしてるのに  作者: 三日月


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プロローグ 緑茶はさっぱりしてるのに

「緑茶はさっぱりしてるのに」


 そう思ったのはこってりとした家系ラーメンを食べたときだった。


 高1の春、入学式が終わった後に僕は何気ない友達の誘いではじめての家系ラーメンを食べに行った。


(りょく)ー!ラーメン食い行こうぜ!ここらへん美味いラーメンがあるらしいぞ?」


 元気な声で僕に声をかけたのは小学生の頃から仲の良い三鶴(みつる)(こう)だ。

 元気な航がいつも話してくれて段々と仲良くなり今となっては同じ高校を目指した大親友だ。


 食券を買い席につくとすぐに熱々のラーメンが届く。 

 今まで食べたことがなかった系統のラーメンは、とても美味しかった。


「美味しいね。これが家系ってやつなのか。」


 僕がそう言うと航も強く頷く。


「美味いだろ家系!食べに来て正解だったろ?」


 自信げに言う航に僕はすぐさまツッコむ。


「航も初めてでしょ!」


 楽しく話しながら食べ進めていく。

 こってりしたスープには緑茶がよく合う。

 この店が水ではなく、緑茶を置いてくれていたことを感謝するばかりだ。


 そんなことを思っていると奥の方から大きな声が聞こえてくる。

 怒鳴り声と感じるほどの鬼気迫った声だ。

 誰かと口喧嘩しているようだ。

 収まったかと思うと「ごちそうさまです!」と力強く言い放って帰っていく。

 人間関係はギスギスと重たいものなのだと再確認させられる。


「緑茶はさっぱりしてるのに」


 つい僕の口から出てしまった言葉に航は笑う。



「今の怒鳴り声を聞いて出てくるのが緑茶とか緑は本当に緑茶が好きだな。」


「緑茶は美味しいからね。」


 食い気味に僕が言う。


「緑は変わらないなぁ。」


 航はそう言いながら美味しそうにラーメンを啜る。


「ごちそうさまでした!」

 

 そう言って店を出ると航が変なことを言う。


「そういえばさっきの怒鳴ってた人、俺達と同じ高校の制服着てたよな?」


「嘘でしょ?」


 僕はすかさず返す。


「見た感じそうだったけどな?」


 航は思い出しながら言う。

 

「顔が少し見えたくらいだから、全然気づかなかったな…」

 

 僕も思い出してみる。

 

 早速、高校への不安ができたかもしれない。

 そう思っているともう駅だ。

 家まではいつもどうりの日常だった。


 帰って考えてみるが、 怒鳴り散らす女の子など関わることもないだろう。

 そう思いながら僕は高校生活への期待を膨らませる。


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