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狩り

今日は2話投稿です

狩りの許可を取り付けた翌日、家の庭にて俺は護衛の騎士と相対していた。


「お久しぶりです、レオヴェルス様」

「お久〜」


一人は眼鏡をかけた知的な25くらいの男性でもう一人が少しギャルっぽい20歳くらいの女性である。


「おい!ジェシカ、なんだそのいい加減な挨拶は!」

「別にいいじゃ〜ん。もう真面目くんだねぇネム君は」


知的な男性がネムで黒髪を七三に分けていて騎士団内では堅物だと揶揄されているが、仕事外だと不真面目(ジェシカ談)である仕事のメリハリが激しい男だ。


そして金髪ギャルっぽい見た目の女性はジェシカ。実は元貴族なのだが貴族特有のマナーなどが嫌いで貴族をやめて狩人をしていたところウチの騎士団長がスカウトして騎士団に所属している。


まぁ、生来の自由奔放ぶりからネムとは良く仕事中は喧嘩している。じゃあ、仕事外だとどうかと言うとすんごく仲がいい。

何を隠そう彼らは恋人関係で1年以上付き合っているらしく伯爵領では有名なバカップルである。


「まあまあ、ネムさん、俺は気にしてないから」

「流石レオ様、どこかの堅物とは違って器が大きい〜」

「いえ、レオヴェルス様、これは騎士としてのマナーですので。後私にはさん付けは不要です」

「むっ!私マナーとかきら〜い」


はぁ…プライベートでは意気投合する癖に仕事中だとこうなるんだから困ったものだ。


「とりあえず、早く狩りに行こうよ」

「そうだよネム!時間が勿体ないよ」

「誰のせいだと…はぁ、まあでもこれ以上レオヴェルス様の時間をとるのも申し訳ないですし、行きましょうか」


そうして俺たちは伯爵領の近くの森の中へ入っていく。


「ところでレオ様、今回は猿狩りですよね」

「ええ、狼などはまだ駄目と父上が」

「妥当な判断でしょう。レオヴェルス様は才能があり、鍛錬も積んでいますが、実戦経験は騎士との軽い模擬戦のみですからね」


これから行う狩りは模擬戦と違い、場所は整地されておらず、敵だけでなく周囲も警戒しないといけないからね。


ちなみにこの世界、ラノベとかで言う魔物という存在はあまり現れない。

言うなればこの世界の魔物は台風や地震などの自然災害に近い。一箇所に蓄積された魔力を動物が取り込むことで魔物になったり、長年生きた動物が突然進化をして魔物になったりと、様々な方法で魔物はうまれるが、その数自体は少ない。

ただし、その分魔物の強さは非常に高く、雑魚敵代表のゴブリンですら兵士が殺されることが多々ある。


そのため魔物防止のために野生の動物を狩る狩人という職があり、狩人はギルドによって統括されている。


今回俺が狙う猿はニホンザルより大きく気性がとても荒く、人間をよく襲う。

ちなみに、この世界の野生生物は皆気性が荒く、繁殖力も高い。


「森の深くまで入らなければ大丈夫と思いますが、最近魔物の発生が増えているんですよ〜」

「そうなの?」

「ええ、今月だけでゴブリンの群れが2件、オークの発生が1件です」

「うわっ、それは多いね」


魔物の発生は不規則的だが伯爵領だけで3件の魔物の発生は確かに多い。


「だからヘトヘトでさあ〜レオ様の護衛で訓練免除されてラッキーでした」

「⋯ジェシカ、帰ったら模擬戦するか」

「え?!ちょっとネム!それだけは勘弁して!」


そんな感じで森の中へと進むと…


「⋯レオ様」

「うん。いるね」


木の上に2匹、下に1匹猿が現れた。


「流石に初戦で3対1は厳しいでしょう、木の上の猿は我々が駆除します」

「うん⋯お願い」


そう返事しながら俺はナイフを構える。

素振りはしているがまだ子供の体なため刃渡り30cmくらいのナイフを今回は用意した。


「キィ!キィ!」


相手の猿は1mあるかないかのサイズでこちらに威嚇してくる。


⋯正直緊張してる。前世では生き物を殺すという行為をあまりしてこなかったからどうしても気後れしてしまう。

だが、俺は強くなる。あいつらを守れるように、俺がためらえば殺されるのはこっちだ、覚悟を決めよう…


「悪いな、恨みは無いが…殺させてもらう」


そうして俺は猿との距離を詰める。


「キィ!」


猿がこちらに腕を伸ばして爪で引っ掻こうとしてくる。

それに対して俺は転がるようにして腕を掻い潜る。


「キキィ!」


猿がこちらを見失ってる隙にこちらが後ろからナイフで斬りかかる。


「ふんっ!」

「キィィ?!」


斬った…が浅い、少し腰が引けていた。


「ギィ!!」


猿がこちらを殺意を込めて睨みつけてくる。

その時…


「キィィィ?!」

「キィ?!」


別の所から猿の悲鳴が聞こえてきた、おそらくネム達が殺したのだろう。

それに気を取られて俺の前にいる猿が俺から目を離した。


「仲間を心配したんだろうが、悪いな。隙だらけだ」

「キィ?!」


その隙に俺は前へ駆け抜け猿との距離をゼロにする。


「じゃあな、多分お前のことは忘れない」

「キィィ!」


ナイフを胸に刺したことで猿が一瞬暴れたが、すぐにぐったりと力を失った。


「ふぅ…」

「お疲れ様です、レオヴェルス様」

「あぁ、ありがとう」

「レオ様やりましたね〜」

「ですが少々汚れ過ぎです、それに頬に傷が…」


ああ、汚れは転がった時のやつで、頬の傷は猿が最後に暴れた時のやつだな。


「早く洗いましょうか」

「そうだね」


野生動物の爪はちょっと病原菌とか怖いからね。


「にしても初めてにしては全然物怖じしなかったですね〜」

「でも、初めの攻撃は怖かったね、模擬戦ではない攻撃方法で避け方がダメダメだったし、背中の切り付けも腰が引けてた」

「殺せるだけ大したものですよ。大体の貴族令息はあそこまで動けないですから」


その後も2匹程猿を殺したが、改善点は減るどころか増える一方だった。


その後は家帰って夜、ベットの中で俺は今日のことが頭から離れない。


「ラノベの主人公みたいにはいかないな…」


まぁでも、あいつらと一緒に進む未来のために俺は強くならないといけない。

例え、主人公のような劇的な力がなくても自分が望む未来を手に入れてみせる。


そのためならどんな苦労でも…









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