この世界と魔法について
転生してから五年後…
五年間である程度この世界について学ぶことができた。
転生した俺の名前はレオヴェルス・グリュナーク。
髪は暗めのアッシュグレーで顔は父親に似て将来イケメンの部類に入りそうな顔つきである。
俺の家名であるグリュナーク家は伯爵位であり、王都の比較的傍に位置する。
そして、この国はヴァルムガルト王国と呼び、1000年以上もの歴史を持つ国である。
この国は大陸の西側に位置しており、西にエルドアシア聖国、北にネテリ魔法国とゼフィルネア帝国が、東にはノクセア共和国、南は海と面している。
エルドアシア聖国とは同盟、ネテリ魔法国とノクセア共和国とは中立、ゼフィルネア帝国とは敵対関係にある。
それとこの大陸の南西の方には島があり、そこは海賊や闇ギルドなど無法者の住処とかしており、そのためこの世界では海貿易がそこまで盛んではない。
そしてこの世界、意外と文明が進んでいた。何でも過去に現れた賢者が急速に文明を進めたらしい。
紙や鉛筆もどき(黒鉛とは別の異世界特有の物質)などからマヨネーズや菓子類など。
俺では知識チートが出来ないくらいにまで文明が発展していた。
おそらく、この賢者も転生者だったのだろう。
それとこの世界では転生者はあまり歓迎されていないらしい。
過去に転生者が色々とやらかしてしまい、それから転生者は忌み子と呼ばれ忌避されている。
そのため俺は現在やり過ぎない程度に暮らしている。今の俺は他の子より少し落ち着きのある賢い子供程度にしか思われていない。
そして今のところ俺は彼女たちと再開していない。
そもそもとしてこの五年間ほとんど家の敷地から出させてもらっていない。何でも貴族の子は10歳の時に王都で大きなパーティがあり、それまではあまり子供を見せたりはしないらしい。よく分からんが。
そのため、俺は現在魔法の習得を目指している。
この世界、魔法を扱えるのは基本的に貴族であり、平民でも魔法が使えたら名誉貴族となれるくらいに魔法の価値は高い。
そのため魔法の習得のための魔法書も貴重な物で男爵家だと持っていない魔法書があるくらいに貴重である。
我が家は伯爵家であるため全種類の魔法書が揃っている。
この世界の文字や言葉、そして魔法文字などを二年掛けて覚えて4歳から魔法の習得に取り組んでいるのだが…
「まずもって…魔力ってなんだ?」
魔法の習得の第一ステップとして魔力を認識するということがどの属性にも必要であり、今現在俺はそこに躓いている。
両親に聞いたところ、父上「自身の感覚を研ぎ澄ませれば自ずと認識できるよ」母上「勝手に認識できるようになるわ」とのこと
領兵に聞いても意見がバラバラであった。
そもそも魔力の認識は10歳から12歳までにできるようになるのが普通で天才と呼ばれる人でも8歳くらいだという。ちなみに、うちの両親はその部類である。
考えた末、父上のアドバイス通りに自身の感覚を研ぎ澄ますことから始めた。
ランニングや腕立てにスクワット、剣の素振りから瞑想まで必死に努力してきた。そして更に一年過ぎて、遂に…
モヤァ
「···ん?!い、今のは…」
一瞬、ほんの一瞬、瞑想し、自身の感覚だけに集中していた時なにやら今までに感じたことの無いモノが体を巡っているのを感じた。
「ははっ!ようやく…ようやくだ!」
二年間目指し続けたステージにようやく片足を踏み入れた。
それから俺は更にトレーニングを続けた。前より瞑想の時間を増やし、より明確に自身の魔力を認識するために取り組んだ。
明確に魔力を認識できるようになれば、魔力を自身の身体の一部と認識できるようになるくらい常に認識することを目指し、そしてまた一年が過ぎた。