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転生

女神にいきなりそんな提案をされた。


「はぁ?転生?」

「はい、ラノベとかでよくある転生です」


女神ってラノベとか知ってんだな…

いやそんなことより…


「お前らは転生するつもりなんだな?」

「ええ」「···うん」「はい」


「そもそも私はあんたと18年しか生きてないし…」

「···今度こそお兄と結婚する」

「転生してレオくんとの子供を産みたいです」


なんというか……各々未練があったようで、また目のハイライトが消えてる


「で?柊はどうなの、転生に興味はあるわけ?」

「いやさ、転生してもよ、会えるかわかんねえし…」

「そこら辺のことは私にお任せを。皆様同じ国に転生させます。······まぁ転生して会えるかは皆様の努力次第ですが」


転生······俺もよく小説とかアニメで良く見てきた話だ。

それがいざ自分が体験するとなると…複雑な気分だ。

作品の彼ら彼女らみたいに人生やり直して、幸せに暮らす…そんな体験をしたいかと言えばしたい。

でも…それと同じくらい人と関わるのが怖い。俺と関わった人間が死んでいく姿をもう見たくない。


「···お兄」

「···ん、どうした星歌?」

「···お兄は気にしすぎ。···私たちが死んだのも、お父さんお母さんが死んだのも、お兄は悪くない。···悪いのはそういう運命にした神様」

「私はそっち方面は管轄外なので、私は悪くありません」


······なにやら女神が言っているが、それは置いといて。


「でもな…」

「星歌の言う通りよ!」

「橘…」

「そもそもね、人間てのはいつかは死ぬの。それに関して自分が悪いなんて考えるのは傲慢よ。あんたは沢山のものを失って辛いんでしょうけど、それを取り戻すチャンスがきたんだから、取り戻すことだけ考えれば良いのよ!」


橘が強く言う。

その姿に今まで心にかかった黒いモヤが晴れた気がした。


「レオくん。レオくんが失ったように私たちもあなたと過ごす筈だった未来を失った…それを私たちは取り戻したいのです。レオくんはどうですか?」

「俺は…」


橘とこれからも馬鹿騒ぎしながら生きていきたかった。

星歌とダラけた日々を過ごしたかった。

理紗と一緒に子供を育てていきたかった。

けど、俺は守れなかった、救えなかった。

でも、転生して、一からやり直して彼女たちを守れるよな力を身につければ…


「···俺は、お前らと一緒に生きたい!」


彼女たちともう一度、共に生きることができるかもしれない。


俺が言った言葉に彼女たちは…


「「「私も!」」」


眩しい笑顔でそう答えてくれた。


「(···尊い…)」


なにやら女神が呟いた気はするが…ともあれ


「そういうことで、女神様、私たちを転生させてくれますか?」

「···あっ!こほんっ。はい、もちろんでございます、柊理紗様」


なにやら女神がぼーっとしてた様な感じだったが、そんなことより…


「そういや、ラノベとかでよくある転生特典てのはあるのか?」

「いえ。申し訳ありませんが四人同時となるとラノベ程の転生特典は付けられませんね」


流石に四人同時に転生してもらいながら、チートは虫が良すぎるか。


「ですがある程度事前に決められる事ならあります」

「決められる事?」

「はい。自身の容姿と魔法属性を一つ決めることができます」

「なるほど」


自身の容姿に魔法属性か…てか魔法がある世界なんだな、ちょっと年甲斐もなくワクワクしてきた。


「ただ、柊玲音さんは容姿については決められません」

「はあ?!何でだよ!」

「事前にこのような容姿にしてくれという熱い要望がありまして」

「事前に要望?···てことは…」


俺が彼女たちの方を向くと一斉に顔を逸らした。


「···おい」

「し、仕方ないでしょ。あんたの姿を自分好みにできるなんて言われたら…」

「······ん、致し方なし」

「ま、まぁ別に不細工にした訳では無いのでご心配なく…」

「俺の意見は無しですか」

「大変だったのですよ。御三方の意見が異なるものですから五年もの間言い争いをしていました。最終的に各々の絶対外せない部分は採用しつつ、残りの部分を意見交換して決められましたから…あっ、もうキャンセルはできませんからね」

「ご、五年…」


な、なんという無駄な時間だろうか。


「無駄じゃないわよ」

「···ん、必要不可欠」

「むしろ、各々の趣味趣向が知れる良い機会でした」

「さいですか」


何故か心を読まれて、無駄では無いと反論してくる。


「それじゃあ、後は魔法属性を決めるだけなのか」

「はい、事前に選べる魔法属性は火、水、風、土、光、闇の六種類です」

「······なあ■属性てさ━━━てできるのか?」

「はい、可能でございます」

「んじゃ、それで」

「わかりました」


こうして選んだ訳だが…


「お前らは何属性にしたんだ」

「あぁ、それなら選んでないわ」

「は?」

「転生後の姿を知ることは規約かなんかで駄目らしくて」

「特例として私たちは魔法属性を選ばない代わりにレオくんの容姿を決めさせてもらいました」

「お、おまえら…」


そこまでして俺の容姿を決めたかったんか。

なんというか…コイツらの愛を感じるがちょっと重いというか…


「そういうことですので、さっきの会話は彼女たちには聞こえていません」

「ん?魔法属性の話か?」

「はい、そういう規約ですので」


そういうことなら…まぁ、仕方ないか。

それにしてもほとんどヒントがない状態で出会わなきゃいけないのはきついな。

いやでも、彼女たちは俺の容姿を知ってるからどうにかなるか?


「あ!そうそう、私たちだと判断するために決めたハンドサインあるから」

「ハンドサイン?」

「······こうする」


そうして星歌がしてくれたのは片手でまず小指を立てて次に親指と人差し指を立て最後に親指と小指を立てた。


「なんだそれ?」

「あ!ちょっと星歌なに抜け駆けしてるのよ!」

「···ふふん、早い者勝ち」

「なぁ、なんの意味があるんだ、あれ?」

「ふふっ、それは最初に会った方に教えて貰ってください」


なんか橘が怒り出して、星歌がドヤ顔をかましてるし、理紗は意味深に微笑んでいてよく分からん…


「あっ!そうだ、柊!」

「ん?どうした?」

「あんた私たちに会うまで他に女をつくるんじゃないわよ!」

「···有彩姉に同意」

「それはそうですね、レオくんには私たちだけで十分ですからね」

「お、おう」


三人から言い表せない強い圧を感じた。

まぁ別に俺も三人以外と恋仲になるのは過去のこともあってまだちょっときついからしないけども。


「それでは皆様、転生の準備が整いましたが、準備はよろしいですか?」

「あぁ」「えぇ」「···うん」「はい」

「それでは皆様に幸多からんことを」


そうして俺たちは転生した



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