修羅場
まさかの再会を果たした俺たちだったが、何故か俺の1番が誰なのか聞かれた。
「だ、誰が1番って言われても…」
「柊、あなたと初めて関係を深めたのは私よ?」
そう声を掛けてきたのは彼女━━橘有彩━━は俺の幼なじみであり、俺たちは中学二年生から高校二年生まで付き合っていた。
しかし、高校三年になった途端別れを告げられ、次に会った時には彼女はベットの上にいた。
「橘…」
「なによ、言っとくけど私はあんたのことがあの時も今も好きよ」
「······」
「あんな別れ方をして申し訳なかったし、後悔してるわ。けど、その話は後!今は質問に答えて!」
「うっ」
彼女は昔と変わらず真っ直ぐな少女だな…
「······お兄、私だよね?」
「っ、星歌」
そこで声をかけてきたのは俺の実の妹の柊星歌。彼女はあまりコミュニケーションなどが苦手で友達が少なく小学生の頃まではよく橘と一緒に遊んでいたが、中学に上がると素っ気なくなり家で会ってもあまり会話をしていなかった。でも、橘を失って傷心していた頃に星歌に励まされてその頃にはまた仲良くなっていた。
でも俺が大学生の頃に星歌は事故に遭って亡くなってしまった。
「···私はお兄の妹。···血の繋がりっていう最も深い繋がりがある」
「いや···だからって一番とかそういうのは」
「···お兄も気づいてたでしょ。私はお兄のことが好き。もちろん異性として」
今までで一番力強く言われてしまった…
正直、気づいてはいた。彼女が俺を見る瞳に込められた気持ちには…でも、俺は気づかない振りをしてきた。それに俺は応えてやれないし、彼女を傷つけたくなかった。
だから…
「レオくん、私ですよね?」
だから…彼女━━真田理紗━━に告白された時にOKを出した。
彼女は俺が所属していた大学サークルで仲良くなった先輩だ。
丁寧で優しくて…俺には勿体ない人だった。
告白された時は心底驚いたが、そのまま結婚して子供までできちまった。
そこまでは良かった…けど、彼女は…出産の時に子供と共に旅立ってしまった。
「私はあなたと愛を誓い合いました。あの誓いは嘘だったんですか?」
「うぐっ」
理紗が微笑みながら首を傾げた。その姿はとても可愛いのだが、目が全然笑ってない。
「ふ、ふふふ……あはははっ!」
「···おい、女神。人の修羅場がそんなに面白いか?」
「いえいえ、そんなまさか」
ヴェールに隠れてて顔は見えんが、肩が小刻みに震えてるんだよ!
「ねぇ、女神様?そろそろ例の話について話さない?」
「ええ、そうですね」
橘と女神が何かを話し始める。
「なあ、一体何の話をしてるんだ?」
「柊が私たちの質問に即答できないのは目に見えてたからね」
「有彩さんと私はレオくんと出会った時期が違いますから、優劣を決めるのは難しいですからね」
「···そもそも私は同じ立ち位置にいなかったから…」
「そこで、私が御三方に提案をしたんです」
「提案?」
「柊玲音さん、あなたは転生に興味はありませんか?」