天国?いいえ修羅場です
初投稿作品です
生暖かい目で見て頂くと助かります
文章構成に関するアドバイスあれば下さいorz
ピー…ピー…
そんな機械音だけが木霊する病室で俺━━柊玲音━━は1人、ぼーっと天井を眺めていた。
50という歳で末期癌を患い、家族は皆先に死んでしまい、この世に未練などなく、こうして死ぬのを待ちわびている。
正直言って俺は疫病神だったのだろう。
学生時代の彼女は病気で亡くなってしまい、妹は事故でこの世を去った。妻は出産の際に亡くなり子供もその時に亡くした。
妻を失ってからは両親と会うのすら怖かった。自分と関わったら死んでしまうのではないかと不安で仕方なかった。そんな時、両親は毎週俺の所に訪れて「お前は疫病神じゃない」と励ましてくれた。
そんな両親も5年前には2人とも病気で亡くなった。
死ぬ直前まで「お前のせいじゃない」と励ましてくれた。
それから俺はやめていた煙草を吸い、仕事して、風呂に入って、飯食って、寝る、という無気力な生活をし続けた。
そんな毎日も今日で終わりだろう。
自分がいつ死ぬのか何となく漠然とした感覚で理解できた。
死んだら何処に行くのだろうか、天国だろうか、地獄だろうか、はたまた何も無いのだろうか。
願わくばもう一度彼女らと会いたい……
そう思いながら俺は瞳を閉じた……
△△△
「······んん」
眩しいと思い目を開けるとそこは真っ白な世界だった。俺以外には何も無くとりあえず起き上がってみる。
「······ここは天国···なのか?」
「いいえ、少し違います」
「っ?!」
1人だと思っていたら急に誰かの声が聞こえて振り返るとそこには、綺麗な金髪を腰まで伸ばし顔をヴェールで隠した女性がさっきまでいなかったはずのところにいた。
「あんた···女神様か?」
「ここに訪れる人はそう呼んでいますね」
「そうか······で?ここが天国じゃないなら何処なんだ?」
「ここは私が気になった人を招いてお話をする場所ですよ、柊玲音様」
「様はやめろ。むず痒くて仕方ねえ、せめてさん付けにしろ」
「わかりました柊玲音さん」
「はぁ······で?お前は俺なんかと何を話したいんだ?」
「まぁ、柊玲音さんの場合、あなた話したい人は私ではないのですけど」
「はぁ?じゃあ一体誰「柊!」「お兄!」「レオ君!」っ?!」
一瞬、体が固まった。その声は久しく聞いていなかった者たちの声で、ゆっくりと声がした方へ顔を向けるとそこには…
死別した俺にとって大事な人達がそこに居た。
何度も夢を見た。その夢の中で見た彼女たちは笑顔で元気に喋っていた。けれど、その視線は夢の中の自分にしか向けられなくて、俺はただそれを眺めることしか出来なくて…
けど、ここに居る彼女たちは俺のことを見てくれてて、俺に向かって泣きながら微笑んでくれてて、それだけで俺は涙が止まらなかった。
彼女たちに触れたくなった俺は彼女たちに歩み寄り抱きしめた。
「柊…」「お兄…」「レオくん…」
「······お前ら元気だったか?」
「もちろんよ!」
「···うん!」
「はいっ!」
あぁ…本当に良かった、こうしてまた会えて、また声が聞けて…
「ねえ柊…」「···ねぇお兄…」「あのレオくん…」
「ん?どうしたんだ?」
「「「この中で誰が1番?」」」
「······ん?」
俺の腕の中に居る3人が急に目のハイライトを消して俺の顔を見る。
「い、1番?···なんの?」
「「「それはもちろん柊(お兄)(レオくん)の」」」
「······」
「···ぶふっ」
三人の質問(脅迫)に黙り込む俺とじぃーと目のハイライトを消したままの三人と笑いを堪えきれずにいる女神
あれ?ここ…天国じゃなくて修羅場?