冒険者
冒険者関連説明回
国を出発して早くの数時間。もう後戻り出来ない程の距離を進んだ二人は早速、出発した国が統括している街に辿り着いていた。
検問の方はサテラが上手く説明し、難なく街へと入る事が出来た。一人で来ていたらと考えるとゾッとする。
「それじゃあ、まずは冒険者ギルドの方に行って登録をしましょうか。現状、私達に適した仕事はそれぐらいしかありませんし」
(まぁ当然、だよな)
ある程度予想はしていたが、やはり異世界は『冒険者ギルド』が存在している。
冒険者と言う身分を得て、様々な依頼を解決していく。
異世界ともなれば、一番メジャーなもの。
そして出会いの象徴とも言える。
レイジが知る限りでは、冒険者ギルドで綺麗な女性冒険者と出会ったり、受付嬢の人と仲良くなったりするパターンが一般的だと聞いたが、彼としてはこの世界でも同様の事が起こるのではないかと少々、期待していた。
しかし、異世界だからと調子に乗って自重せずに暴れるのはご法度。
まずは、好き勝手にするのではなく、少しずつこの世界に慣れていく事だ。
「取り敢えず、一枚」
首から下げていた一眼レフカメラを使って、レイジは街の巨大な門を撮影した。
◆◇◆◇◆◇
「冒険者ギルド…はここですね。行きましょう」
小走りで進むサテラに連れられて、レイジが早速来たのは冒険者ギルド。
外装は中世時代の建物に似通っている。これもレイジ自身が知るイメージとあまり変わらないものだ。
「もう一枚」
カシャリ、と再びシャッター音が鳴った。
◇◇
「冒険者の新規登録二名。大丈夫ですか?」
サテラの言葉に、綺麗な顔立ちをした受付嬢は快く答えた。
「はい、勿論です。あれ、後ろの方は…」
この世界の人間曰く、六十年ぶりに異界より召喚された者達。
その噂は大陸を越え、海を越えていた。
レイジだって自分達が外でどの様な認識をされていたか、知らなかった訳じゃない。
現にこの世界に召喚されて数日、元々召喚された国の画家に肖像画を描かれた後、国が発行している新聞にその肖像画は大きく掲載された。
『六十年来に、異界より使者を召喚。各国多数の使者を召喚し、戦力の大幅な向上。各種族の均衡バランスが統一か?』
と記事に書かれていたのを今になって思い出した。恐らく、名前や顔もある程度は知られてしまっているだろう。
現に、冒険者ギルドの受付嬢だって、レイジの顔を見て、かなり驚いた表情をしている。
「あ、あまりうるさくしない様にお願いします」
鼻の前に人差し指を当てて、レイジは内密にしてくれと静かに頼んだ。
それに対し、ギルドの受付嬢はクスッと笑いながら答えた。
「ご安心ください。本ギルドでは、冒険者様への余計な詮索は行いません」
これで事細かに素性を聞かれたらどうしようかと思っていたが、詮索される心配が無くなったので、枷が一つ取れた気がした。
「ありがとうございます…」
「ご依頼の方は、向こうの依頼板から依頼の書かれた紙をこちらに持ってきていただければ、依頼を受注出来ます。好きな依頼を受注出来ますが、しっかりと自分のレベルに合った依頼を受けていただけると、我々としても助かります。たまに自分の実力を過信して、大怪我する冒険者の方もおられますので…」
「は、はい。気を付けます」
「では、ご登録の方はこれで完了です。ギルドカードにご自身のお名前を記入して紛失しない様、常に持参ください」
と言って、受付嬢はレイジとサテラの分のギルドカードを手渡し、無事に登録は完了した。
「名前書いて、それぞれ持っておこうか」
「そうですね、レイジさん」