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平穏を望む青年は銃と奴隷とカメラと騎士と兵器と半魔族と一緒に… (RE版.悪の銃使い)  作者: 復活のBastion
一章-銃士達の旅立ち〜氷炎の刃と魔導兵器達〜
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惨めなる結果

 

「あっ!?」



 腹部に鈍い痛みを感じながらも、レイジは体の前面に硬い感触を覚えて目を覚ました。



「肆式……」



 レイジは肆式に背負われながら、静寂に包まれた夜道を歩いていた。

 目を擦りながら周囲を見渡すと、隣には馬に乗るサテラとルキア。

 その後ろには、レイジが乗っていた馬がトコトコと後を追う様にして歩いていた。


 もう周りは戦場ではなく、ただの道。それに気が付くと同時に、レイジの脳内で眠っていた記憶が蘇る。



「メヲサマシマシタカ?」



「僕は、そうだ……」



 アルディラはレイジ達に戦場から脱し、援軍を呼べとレイジに命令した。

 しかし、レイジはそれに反抗して戦闘を続行しようとする素振りを見せた。

 結果、レイジはアルディラによる拳の一撃を腹部に受けて意識を失い、半ば無理矢理に戦場から脱した。


 そして今、肆式におんぶされて、湖畔の傍の街へと戻ってきている。



「レイジ、起きた!?」



 レイジが目を覚ましたのをルキアが確認すると同時に、彼女は乗っていた馬から急いで降りると、すぐさま主であるレイジの元へと駆け寄る。



「レイジさん!?」



 ルキアの言葉に便乗して、サテラは馬の歩みを止めると、すぐに自身も馬から降りて、レイジの元へと駆け寄った。

 肆式は、一度レイジを地面に降ろす。

 腹部の痛みは完全に消えて、レイジは問題なく活動は出来た。両足でしっかりと地面の上に立つ。



「皆……」



 腹部を撫でる様に押さえながら、俯いて話すレイジ。



「僕が……弱かったとでも言うのか、この結果は…」



 グッと拳を握り締めると、レイジはサテラ達の方を見た。



「……」



 現実を直視したのを少しばかり後悔した。

 サテラもルキアも、僅かではあるが負傷している。両者共に、着ていた服や鎧には傷が目立ち、サテラは頰を、ルキアは左手の甲から出血が見られた。



「怪我が…」



 その美しい姿には似合わない赤黒い血。レイジは、まるで自分事の様に物悲しい表情を浮かべてしまう。



「レイジさん、こんなのかすり傷にも入りませんよ。街で包帯の一つでも貰えば、すぐに治療出来ます」



 しかし、サテラは一切怪我の事は気にせず、寧ろニコッと優しく微笑んでくれた。

 それはルキアも同様で…。



「両腕両足を切られるのに比べれば、この程度何ともないさ」



「二人共…」



 そんな言葉を聞けて安堵するレイジ。



「あの後、どうなったんだ?」



 しかし、再び表情を暗くしたレイジは、サテラ達にあの後どうなったのかを問うた。

 気を失ってしまっていたレイジは、あの後どうなったのかを知らない。聞くのは少々、気が引けるが、知る必要があると感じたレイジは大人しく聞く事とした。



「……」



 サテラはバツが悪そうに視線を泳がせながらも話し始めた。



「私達も、よく分からなくて。あの後、レイジさんを肆式さんが抱えて、私達は馬に乗って城から逃げました。アルディラさんや、シエルさんがどうなったのかは……」



「けど、逃げてる途中…爆発した音が聞こえた。もしかしたら、撃退したのかもしれない……けど」



 遠回しに、勝敗の行方は分からないと告げる二人。そして、アルディラ達の生死も不明。

 何ともやるせない結果に終わってしまった事に、レイジは苛立ちを覚える。


 最後は、友軍を置いて逃亡。そして、勝敗の行方は不明のまま。

 せめて結果ぐらいは知りたかったと考えるレイジだが、今更戻る事は不可能。



(一回落ち着け…)



 今、自分が何をするべきなのか。一度脳内を整理して、優先順位を考えるレイジ。


 来た道を戻るのが最適解ではない。

 今やるべき事は、街へと戻り援軍を要請。そして、街の防衛を強化する事。

 来た道を戻れば、援軍を呼べと告げたアルディラの願いを無慈悲に消してしまう事になる。


 自身の情から後ろへと引き返す訳にはいかない。レイジは苦しそうに歯噛みすると、すぐに馬へと跨った。  



「ルキア、乗れ」



「レイジ……」



「早く!」



 珍しく乱暴な口調になるレイジ。急いで自身がやるべき事をやらなければならない。

 感情的になるのは弱者のする事だと理解していたが、この時ばかりは感情的になってしまうのも無理はなかった。



「分かった、よ」



「そうですね、急いで戻りましょう」



「………すまない」



 感情的になった事を謝罪しつつ、レイジ達は馬に乗って夜道を走り、街へと戻る事とした。

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