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平穏を望む青年は銃と奴隷とカメラと騎士と兵器と半魔族と一緒に… (RE版.悪の銃使い)  作者: 復活のBastion
序章-異世界の目覚め〜スタンダードアドベンチャー〜
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手を引いて

 

 サロメに見送られて、レイジはルキアを連れて商館を後にした。

 ルキアは、相変わらずどこか暗そうな表情のまま、荷物の入ったケースを両手で掴んでぶら下げている。



(それで持ち物全部なのか…)



「改めまして、よろしく。不知火レイジだ、レイジって呼んでくれれば良いから」



 軽い感じで自己紹介をするレイジ。それに対して、ルキアは主であるレイジへ、深々と頭を下げた。



「ワタシを買って頂き、ありがとうございます。ルキアと申します。どうぞこれから、よろしくお願い致します」



「そ、それだけ?」



「他に何か必要でしょうか?」



 きょとんとした顔をして、首を傾げるルキア。確かにそう言われればそうなのだが、もう少しアクセントを出してほしいと、レイジは感じた。



「ほら、種族とか、年齢とか、何が得意だとか」



「…獣人で歳は18で……得意な事は、ええっと…これと言って…」



「そ、そうか。じゃあ、取り敢えず宿に行こう。僕の仲間にも紹介したいし」



 仲間にも紹介したい、と言う言葉を聞いてルキアは驚きを見せる。



「えっ、レイジ様にはお仲間がいるのか!?……あっ、うぅん…ですか?」



「あぁ。この世界の色んな所を見たくてあっちこっちを転々としてるんだ。仲間ってのはそれのお手伝いさ。まぁ、転々って言ってもここがまだ最初の所なんだけどね」



 転々と言っておきながら、今来ている街が最初の地点であると言う事に、アハハと苦笑いするレイジ。



「そうなのか…あ、なんですか。会ってみたい…」



「堅苦しい言葉苦手なら、無理に使わなくていいよ。別に敬語使わなかったからって、咎める気はないし」



「ほ、本当!……ですか?」



「だから、無理そうなら変に使わなくていいよ。こっちも堅苦しくなっちゃうしさ?」



 歳が同じ人に、敬語を使われるのはレイジからすれば苦しい事。

 下手に使われるぐらいなら、変に使わなくて良いと優しく諭した。



「け、けど…奴隷は基本的に、敬語で…」



「別にいいって。ほら、行こう」



 ◆◇◆◇◆◇



「と、言う訳で…」



「皆さん、初めまして。本日より、レイジ様に仕える奴隷になった、ルキアと申します」



「えぇぇぇ!!レイジさん、早速買っちゃったんですか!?」



 宿に戻ったレイジは、すぐにサテラと肆式へ、先程購入した奴隷のルキアを紹介した。


 サテラは、帰りの遅いレイジがやっと帰って来たので、偽りの無い笑顔で迎えようとしたのだが、レイジの後ろに隠れていたルキアが姿を現して、自己紹介するなり、顔色を強く変化させた。



「あ、あぁ…。無論、戦闘用としてだ」



「わ、分かってますよそんな事…。ま、まぁとにかく…買ってしまったのなら、仲間として受け入れるまでです」



 何とか驚きを殺したサテラは若干、奴隷を買ってきたレイジに呆れながらも、一歩ずつルキアと距離を詰めていく。

 呆れた姿は、さながら余計な物を買ってきた旦那に怒り心頭する妻の様だ。



「サテラ・ディアと言います。よろしくね、ルキア」



「よ、よろしく………あ、お願いします」



「敬語は大丈夫ですよ。不慣れでしょ?」



 ニコッと優しく言い、ルキアの肩へ手を置くサテラ。

 今の流れは、非常に尊いものだとレイジは感じた。



「ワタシハ、ヨンシキ。アラタナゴエイタイショウヲカクニン」



「ま、魔導兵器?」



 ルキアは、肆式を見上げながら、全身を観察する。



「まぁそうだな。拾ったんだけど」



「初めて、見た…」



「ヨロシク」



 三本指のマニュピレーターをルキアの腕の前へと差し出す肆式。

 ルキアは、多少戸惑いながらも、肆式のマニュピレーターを握った。



「よろしくね、肆式さん」



 ◇◇



「お待たせ、晩飯買ってきたぞ」



 仲間達の紹介を終えたレイジは、街へと向かい、全員分の晩御飯を購入。

 そのまま部屋へと直行した。



「あ、ありがとうございます。レイジさん」



 買ってきたのは、パン生地に肉と野菜を挟んだ物と骨付きの肉。両者共に、簡単な料理ではあるが、中の具が溢れんばかりにボリューミーで、食欲をそそる。


 早速、レイジはサテラとルキアに買ってきた料理を手渡した。

 買ってきた数は全部で六つ。腹を膨らませる為にも、一人二つずつの計算だ。



「え、ご飯。くれるのか?」



 料理をルキアに手渡すなり、ルキアは自分も食べてよいのかと聞いてきた。

 まさかの質問に、首を傾げて返答するレイジ。



「当たり前だろ、何の為に人数分買ったんだよ」



「あ、ありがとう……ございます」



(はぁ、奴隷ってのはやっぱこうなのかねぇ。取り敢えず、いただきます)



 奴隷には飯をやらないと言う行為に、謎のデジャブを感じつつも、レイジはパン生地に齧り付いた。



「おぉ、美味いなこれ」



「美味しい……。味がするぞ!」



 ルキアも、レイジが一口食らうと、彼の真似をする様にして同じ様にパン生地に齧り付く。

 すると、目の色を変えて、非常に嬉しそうな表情を浮かべながら、物凄い速度で、パン生地と具材を口の中へと放り込んでいく。



「美味い!美味い!何だこれ、こんなの!」



(相当腹が減ってたのか、それとも美味いものを食ったのが久しぶりだったのか…)



 肉と野菜を挟んだパンだけでなく、骨付き肉にもがっついて齧り付くルキア。

 お世辞にも食べ方が綺麗だとは言えないが、相当お腹が減っていたのだと思い、レイジはあえて何も言う事はしなかった。



「ルキア、喉詰まりますよ」



「だいじょ、ゴフ!ゴフ!」



 言わんこっちゃないとレイジは嘆息した。



「あぁ、もう!お水飲んでください!」



 慌てて、サテラが水筒をルキアに手渡し、ルキアはゴクゴクと水で詰まりそうになった物を流し込んだ。



「誰も取らないし、落ち着いて食べなよ」



 と骨付きの肉を食べながら、レイジは軽く笑みを零すのだった。

食事シーンの描写、書くの難しい。

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