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間章 鳳凰院家とマスター
ある家のある部屋に二人の男が雑談をしていた。
ある男は四十代にしては初老の雰囲気を醸し出し、向かい側に座る男は三十代とは思えぬ程に若々しかった。
「それにしても、まさか自分の娘を誘拐して欲しいなんてね~」
「我々にも色々と事情があるんですよ、だから貴方に頼ったんです。それにしもよかったのですか?」
「何が?」
「貴方の黒猫に会わなくて」
あー。 と若々しい男は思い出したかのように声を発し。
「もう独り立ちの時期だしね」
と、納得した風に言い。
目を瞑って一口紅茶を味わうと、重圧な雰囲気を放ちながら目を開き、
「それに彼は私の息子ですから、そろそろ極東の支部くらい任せても大丈夫でしょう」
と言葉を紡いだ。
「しかし、有名過ぎるのも考え物ですな」
「それには賛成、私達は少し有名になりすぎた」
色々と思うところがあるのか、若々しい男の顔には疲労の影がチラホラと窺えた。
また、四十代の男も苦笑いを浮かべる。
共感できる部分があったのだ。互いに。