ピッピとダッタ~二人は仲良し~
久々の短編でございます。
お城の東の塔の小さな窓から、星空を眺めてピッピ姫はポツリと呟きます。
「私……お外に出たいわ……」
「キッキキキ……。何を言っているんだ?ピッピ?お城の外はもう冬だぞ?身体の弱いお前がどうして出られようか?」
ピッピ姫の一人言を聞いて、意地悪な事を言うのは、ネズミのダッタ。ダッタはテーブルの上で寝っ転がり、チーズを囓っています。お姫様相手にとてもふてぶてしい態度です。
「解っているわよダッタ……。言ってみただけよ……。言うだけなら良いでしょ?」
「そうだな。キッキキキ。どんどんと言うといいさ!面白いからな!」
ジトリと睨むピッピを見て、嬉しそうにキッキキキ。っと甲高く笑うダッタ。
笑った後に、鼻をフン。とダッタが鳴らすので、馬鹿にされている様な気がして、ピッピは腹が立ってしまいます。
小さなお部屋の中の、小さな窓の前から、小さなテーブルまでピッピは移動して、ダッタの前に立ちました。
「あなた!本当に酷い人ね!えい!」
「お、おい!辞めろよ!シッポを掴むんじゃあ無いよ!解った!解った謝るから離しなさいな!」
「離したら、謝らないでしょう?解っているのよ!もう何年も一緒にいるのだから!」
「悪かったよ!すまない!俺が悪かったよう!だから離しなさいってば!……ぐえ!」
テーブルの上にポトンと落ちるダッタ。ピッピはそんなダッタを見て満足します。そして、そんな日を十年間、一緒に過ごしている二人は、明日もこうして過ごすのでした。
ピッピは昔から動物とお話しが出来ました。
しかし、その不思議な力のせいか、身体が弱く、とても醜い容姿でした。
「この様な気持ちの悪い顔の、呪われた娘は王家の外には出されん!幽閉せよ!」
実の父親の王様がそう言う程に、ピッピの顔は酷い物でした。
ギロリと大きな瞳に、尖った鼻。そして出張った不揃いの前歯。それはまるでネズミの様な顔をしていたのです。そして身体が弱いせいで、ひょろひょろっとしていて、今にも倒れそうな程に痩せ細っていました。
王様も王妃様も、そんな彼女の事を自分の子供とは認める事はとうとう無く、幽閉したまま、死んだ事にしました。
そして、ピッピが住む東の塔は立ち入り禁止となり。食事を運ぶ以外の事で人が来る事はありませんでした。
「ねぇ?ダッタ?あなた……何故死なないの?ネズミの寿命がどれ位かは知らないけど……。もうすぐ出会って十年が立つわよ?」
「藪から棒に何をいうんだね?ピッピ?俺に死んで欲しいのか?」
「駄目よ!あなたが死んじゃったら!私のお話し相手がいなくなるじゃ無いの!」
「ハトのポッポがいるじゃあ無いか?」
「あの人は駄目よ。三日過ぎたらお話しをもう、覚えていないんだもの……。それに一月前から……来ないわ……」
「……。ここの場所も忘れたんだろうて……馬鹿は死なないから大丈夫だ」
「そう。じゃあ、ダッタも大丈夫ね!馬鹿だもの」
「ほう。言う様になったじゃあ無いか、姫さん!」
「だって……。こんな狭い部屋にずっといるなんて……。お馬鹿よ……」
「……ふん。ネズミにとっちゃ、こんな部屋でも豪邸だ!キッキキキ!」
「フフフ……。それもそうね……。でもいつか……一緒にお城の外に出て、ダッタと一緒に旅がしたいわ……。あ!無理でも言うだけは良いでしょ?馬鹿にしないでね!」
「ふん。しねえよ……」
こうして、同じ様な日が、春も夏も秋も冬も蕩々と流れて行きました。
そんなある日の事でした。
朝。目を開くと、ピッピは驚いてしまいました。
いつもは静かなお城の方が、とても騒がしいではありませんか。何が起こっているのかピッピは知りたくて窓の外を見ますが、小さな窓はお城とは反対側を向いているので、森と山しか見えません。
「ダッタ!どうしましょう?何だか怖いわ……」
「どうしましょうって……どうしようも無いでしょうよ?」
「それはそうなのだけれど……」
響いて来るドオン!っという爆発の音に、沢山の大きな叫び声。それがどんどんと、少なくなって行きます。
ダッタは寝っ転がったまま、いつも通りチーズを囓っていますが、ピッピは気が気ではありません。小さなお部屋の中をウロウロとしてしまいます。
「ちょっと落ち着けよいピッピ……。あんまりウロウロとしてると身体に……」
「……そうだわダッタ!私がね!囮になるから!その隙にあなたは逃げれば良いのよ!そうしましょ!」
ピッピが良い事を思い付いた様に、手をポンと叩きます。それと同時にポンとチーズをテーブルの上に落とすダッタです。
「な、何をいってんだお前は!?」
「何をって……。お城で大きな音を立てているのは、多分。ダッタの話してくれた。山賊だか、盗賊だか、詐欺師の人達よ!そうだわ!囚人達か、悪戯小僧か、夜遊びする大人達かも知れない!きっと、とっても悪い人達よ!絶対にここまで来るわ!だからね!……その時は、ダッタだけでも逃げて!」
「ふん!何で俺だけなんだよ!お前も一緒に行けば良いだろう!?」
変な事を言い出すピッピに驚き、腹が立ったダッタは、テーブルの上に立ち上がります。
そんなダッタに、黒くくすんだドレスの裾を上げて見せるピッピ。
「フフフ。無理よ……」
上げたスカートの中から露わになったのは、痩せ細ってしまい、木の枝の様になってしまったピッピの足でした。
それは、驚く程に青白くて、立っているのが不思議な程でした。
「それはそうだけどよう……」
「逃げ様にも、走ったらきっと折れちゃうわ……。それに、お外に出て病気になっちゃったりしたら私……。きっとすぐ死んじゃう……。でもね!ダッタは長生きだから大丈夫でしょう?……私の代わりにここから出て、世界の色んな物を見て来てよ!…………きっと楽しいわ……」
きっと楽しい。そう思うとピッピの目から涙がポロリと落ちました。
楽しそうだけれど、ピッピにはどうしても行けないのです。
「な、泣くなよう……。熱が出るだろうがい……」
「ダッタ……。お願いよ……。ちゃんと逃げるって約束して……。じゃ無いと私……。どうして良いか解らないわ……。死ぬと言うのは、長く眠るだけなんしょう?……私はきっとダッタの夢を見るから、夢の中でダッタと一緒に旅をするわ……だからね、ダッタは外に出て外の世界を……」
ピッピがそこまで口にした時でした。
ザッザッザ!っと東の塔の下から、鉄がぶつかる様な足音が聞こえて来ました。
ピッピとダッタは、その足音を聞いてもう時間が無いと解りました。
この東の塔には、一日に一回。夕方にしかお城の人は来ないので、お昼前のこの時間に来るのは、悪い人達しかいないのです。
そして、ダーン!と部屋の扉が勢い良く開くと、そこには金色の髪をした格好いい王子様が、部下の騎士達を引き連れて立っていました。
その王子様の格好良さに、長く伸びた髪で急いで顔を隠すピッピ。そして、その行動に驚くダッタ。
「お、お前!囮作戦はどうしたんだいや!コラ!」
「む、無理よ!悪い人と思ってたのに、現れたのが格好いい王子様だったんだもの!顔を見られたく無いわ!私!ネズミの様なブサイクな顔だもの!」
「おい!お前!今!ネズミを馬鹿にしたな!?馬鹿者め!」
顔を隠したままベッドに倒れ込むピッピ。そんなピッピにポコン。っとチーズを投げつけるダッタ。
「……やっと見つけました……。物の怪姫様……」
「物の怪……姫?なあにそれ?」
王子様にお尻を向けたまま、話しをするピッピ。王子様はその理由を知っているので、怒る事はしません。落ち着いたまま、丁寧にピッピの質問に答えてくれます。
「物の怪姫。それは、怪物達の女王です。百年に一度だけ現れるあらゆる動物と話しが出来る人間です。生まれながらに呪われた様なその容姿は、ただ単に、人と食べる物が違うからなのです……。。……おい!姫様にあれをお渡ししろ……」
「ハッ!」
王子様に命令され、一人の騎士がピッピに赤い液体の入った小瓶を渡しました。
それを、顔を隠したまま受け取るピッピ。
「こ、これは何ですか……?」
「おいおい、それ毒じゃねぇだろうな?おい?」
「ど、毒!?」
「ネ、ネズミが喋っただと!?」
ダッタに小瓶の中身が毒と言われて、驚くピッピ。ネズミが喋った事に驚く王子と騎士達。ダッタもダッタで、普通の人間相手に話しが通じた事に驚きます。皆が皆驚いてしまい。部屋の中がシーンと静まり返ってしまいました。
「既に、眷族化した動物がいたのか……」
「眷族化?ってなあに?」
王子様達は色々と知っている様でしたが、ピッピもダッタも何が何だか、まったく訳が解らない様子です。
その様子を見て、更に王子様が説明をしてくれます。その様子にとてもいい人だなぁ。とピッピは思いました。
「物の怪姫とは、言わば吸血鬼の事だ……。しかし鬼と呼ばれて人間と仲が悪かったのは、数百年も前の事なので、今は鬼では無く、敬意を持って、姫。王。と呼称している」
「吸血鬼……。ピッピがあの伝説の吸血鬼?それに俺が眷族だと?」
「ソナタが姫の新鮮な生き血を飲むか、血を吸われるかしたのだろう」
王子様にそう言われ、心当たりがあり過ぎて、何も言えない二人。
ケンカが始まると、ピッピはダッタのシッポを持ってぶら下げ。本当に痛い時はピッピの指をダッタが囓ります。その時に囓った指から出たピッピの血を飲んで、ダッタは眷族になっていたのでした。
ネズミであるダッタが、十年以上も死なないのはこれが原因でした。
その後も、王子様から吸血鬼の事を色々と教えて貰い。そしてとうとう、ピッピの身体が枯れ木の様になっている理由について、解ります。
「って事は何だい。ピッピに渡した瓶の中身は誰かの血液って事かい?」
「え?……血?」
手の中にある瓶を見て顔を顰めるピッピ。
「あぁ。それを姫が飲めば本来の姿に戻るだろう。……ネズミ君も人の血を飲めば、姫の姿に引っ張られて、人間の姿になるぞ、人間になりたいかは知らんが……」
「俺が……人間に?……それは色々と不便そうだな……」
「ハハハ。不便か……。自由な君から見たらそうかもな……。いや、自由では無いのか……こんな牢獄に長い間閉じ込められていたのだからな……」
「ふん……」
ピッピは今いる部屋が牢屋である事に、まったく気付いていませんでした。ですが、ダッタはとっくの昔に気付いていました。
でも、ピッピが傷付かない様に、そして、外にいつか出たい。と言うピッピの夢と希望が壊れない様に、ずっと内緒にしていたのでした。
「……ピッピ。飲め。元気に動ける様になるらしいぞ?一緒に旅に出られるんだとよ。夢なんだろ?外に出るの……」
「で、でも、誰の血かも解んないのに……。悪い人の血かも……」
知らない人の血など飲みたく無いピッピです。血を飲まなければ身体が枯れますが、吸血衝動等は無いのですから当然です。
今の状況は、普通の人が、他人の血を飲めと言われているのと一緒の状況なのです。
「……ったく。怖いなら……俺が先に飲んでやろうか?……人間になると、動き難くなるし、服を着たり、ウンチを便所でしなきゃだったりと色々と面倒だが、身体が大きくなって、チーズが今の何倍も食べられるのなら、それ位は我慢してやる。残った分をお前が飲めば良い……。……不便な事が増えるよりも、お前の身体の方が大事だ……ふん!」
少しだけ照れ臭そうなダッタ。素直じゃ無い彼は、人に対して励ましたり、優しくしたりするのが、大の苦手なのです。
「ダッタ……」
本当は優しいダッタと一緒であれば、何でも我慢出来そうな気がするピッピです。少しだけ血を飲む勇気が出ます。
「何処ぞの変態の血だろうが、馬鹿の血だろうが、悪人の血だろうが、元気になれるんだ……。薬だと思え」
「そうね、何処ぞの変態さんの血でも、お馬鹿な人の血でも、悪い人の血でも……ダッタと旅が出来るのなら飲まなきゃね……。。……ね、ねぇ?ダッタ……これ先に飲んで……お願い」
甘えた様な声を出し、ダッタに向かって瓶を差し出すピッピ。
「お前……。本当に姑息なヤツだな……。その手には乗らないぞ……」
せっかく勇気付けたのに、まだ血を飲もうとしないピッピに、ダッタが呆れます。
「だ、だって!どんな味がするか解らないし、ちょっとドロリとしてて気持ち悪いんだもの!」
「だからって、いっつも俺に先に味見させようとすんなよな!マズい物は、ネズミが食っても人間が食ってもマズいんだから!」
「さ、先に飲むって言ったのは、ダッタでしょ!ネズミは嘘をつかないと言っていたのに、嘘をつくの!?マズくても、何だか臭くて気持ち悪くても、言ったからにはダッタが、先に飲むべきよ!」
「う、嘘はつかねえよ!だがな!全部飲まないと、治らないかもだろ!……だから……。俺はやっぱり……。ピッピの後で良いや……。よく見りゃ……本当に気持ち悪いし……」
硝子の小瓶に入った液体を、二人はもう一度見ます。赤くてトロッとしててテラっとしている感じが、とても美味しそうではありません。
「私、お腹を壊したら……。次はきっと、死んじゃうわ……。どうしようダッタ?」
「お前……。死ぬと言えば何でも許されると思うなよ?結局はいつも死なないじゃあないか……。俺だって、お腹が痛くなるのは嫌なんだから……」
「ダッタは男の子でしょ?男の子は女の子を守るものよ?」
「ったく……。誰からいつ教わったんだよそれ……」
「え?そんなの……ダッタしかいないじゃない?」
「そうだった……。今度、男女平等について教えてやる」
ピッピのいる牢獄へ持ってこられる食事は、時々腐っている物もあるので、味見役の押し付け合いと、飲食物への警戒は、二人にとってはいつもの事なのですが、王子様には違いました。
「……その血は……。その……私の物なんだが……。そんなに汚い物として扱われると……流石に傷付くと言うか……何と言うか……。ハハハ……。姫が元気になる血をプレゼントすれば、喜んで貰えると思ったのだが、喜んでは貰えなかった様だな……。勝手な事をして……。何か申し訳ない……」
王子様が気まずそうに、腕の切り傷を出して見せます。
「え!これ、王子様の……」
それを見たピッピは、きゅぽん。と瓶の蓋を開けて、ゴクリと一口で王子様の血を飲みました。
「ふ、ふん。……お前……。イケメン好きだったんだな……」
「お、王子様の血なら良いかなって……へへへ……。ちゃ、ちゃんと飲んだわ……。トロッとして、生臭くて……。その……。とっても美味しかったです……」
飲み心地がトロっと気持ち悪くて、鉄の様な変な味のする血の味に、ピッピは顔を顰めてしまいましたが、美味しくなかったとは言えませんでした。
「そ、そうか……。偉いぞピッピ!俺も後で飲むからな……。約束する……。血って美味しそうだものな!……一体誰だよ!気持ち悪いって言ったの!キッキキキ……」
そんなピッピを労うダッタ。ダッタはピッピに噛みついた時に血が口に入るので、美味しく無いのは知っています。
なのに何故か二人は、血は美味しいと嘘をついたのです。嘘をつくのは悪い事ですが、しかし、悪気があっての事ではありませんでした。
これは、うっすらと涙を浮かべた王子様を元気付ける為の気遣いと優しさの嘘だったのです。一国の王子様に向かって、先程から何かと無礼である二人が、騎士の人達にギロリと睨まれて、咄嗟についた嘘なんかでは、決してありません。
そんな王子様の血を飲んだピッピの身体は、どんどんと年相応の身体の肉付きへと、戻って行きました。
「どんな感じなんだ?それ?」
「う~ん。身体がどんどん重くなって行く感じかな?後は、ちょっとじわじわっと、あったっかい気もするかも?」
「キッキキキ……。何の参考にもならねえな……お前に聞いた俺が馬鹿だったよ。ふん」
「ダッタ。後で覚えておきなさいよ」
「フフフ。二人は仲が良いのだな……」
楽しそうに言い合いをする二人様子に、自然と笑みがこぼれる王子様。涙はいつの間に拭いたのか、もうありません。
「はい!そうなのです。十年間ずっと一緒にいたのですよ!仲良しです!」
ダッタと仲が良いと言われ、嬉しさのあまり顔を隠すのを忘れ王子様に微笑むピッピ。そしてそのピッピの笑顔を見て、王子様は言葉を失ってしまったのでした。
「あ!ひゃぁ!す、すいません……醜い顔をお見せして……」
「……美しい……。姫よ……もう一度お顔をお見せして貰えませんか?」
「え。……でも」
「ふん。俺的にゃ、前の方が良かったが、人間の雌としては、中々良いんじゃ無いのか?まだまだガキだがな……。ふん」
「ダッタ……。後で覚えておきなさいね……。さっきのと会わせてシッポの刑を二回するからね!……大体。あなたも人の事言えないわよ……。手と足だけ人間なのは……何だか不気味だわ……」
ピッピとの約束を守って、瓶に付着していた王子様の血を舐めたダッタでしたが、量が足りなかった為。手のひらと、足の先だけ人間の物に変化したのでした。
「ふん!さっさと顔を見せてやれ……。俺が言うんだから大丈夫だ……」
「……。そうね。ダッタは馬鹿だけど嘘は言わないものね……」
「ふん」
ダッタの言う事を信じて、王子様にもう一度顔を見せるピッピ。恥ずかしくてほっぺたがピンク色に染まってしまいます。
「……な、何と美しいのだ……」
吸血鬼として完成したピッピの顔は、目鼻立ちがハッキリとしており。前歯だった物が牙に変わり、歯の列が整い。長い長いウェーブのかかった金色の髪が輝き、それはそれはもう、ピッピが世界一の美少女だと言ったとしても、誰もが納得する風体へと変わっていたのでした。
そんなピッピは、初めて容姿の事を褒められて、耳まで真っ赤にして動揺してしまいます。
「わ、わたわた。私が、う、美しいだなんて……。そんな……」
「真に受けるなよ、アンポンタン」
「もう許さないわ!ダッタ!覚悟しなさい!」
「捕まるかよ馬鹿め!」
美しく元気になったピッピが、いつもの様に、でも、いつもとは違う風に、ダッタとケンカを始めました。
狭い部屋の中をドタバタと走り回るピッピ。足が折れそうな気配は、もうありません。そんな彼女の姿を見た王子様は、女王としての自覚と作法が必要だな。と思うのでした。
その後。お城を飛び出したピッピとダッタは、王子様の国へと向かい、物の怪姫としての教育と、物の怪達の問題を解決するというお仕事を、救いに来てくれた王子様のお陰で、何とか始める事が出来ました。
こうして、長年の夢が叶ったピッピと、人間の姿になったダッタは、今も仲良くケンカをしながら、世界中を旅しているのでした…………「おしまい……」
「ねぇ。ねぇ。お婆ちゃん。王子様はどうなったの?」
「王子様かい?あれは、すぐに浮気する悪い人だったので、女王様に塔から吊されてフラれてましたね……。あなたは顔だけで恋人を選んではいけませんよ?」
「解った!私は、お爺ちゃんみたいな変な顔の人と結婚するわ!」
「何ぃ?変な顔だと?……ったく、誰に似たんだか……。憎たらしい事を言うガキだな!まったく……。ふん」
ネズミの様にとんがったお鼻を鳴らしながら、自分の孫の頭を撫でるお爺さん。何だか嬉しそうです。
「フフフ。きっとあなたに似たのよ。私は今でも素直で良い子だもの!」
そんな優しいお爺さんの様子を見て、とても楽しそうな、美しいお婆さんなのでした。
冬の童話コンテクスト?の為に書いて見ました。誤字脱字があった時は、指摘して戴けると嬉しいですw
短編でまたこれの続きを書くのも面白いかもしれませんねw
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