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エッセイ

『誰が言ったか』なんてどーでもよくないですか?

 前にネットの掲示板で、トラック運転手のオッサンと議論をしたことがありました。


 議題は『大型トラックの運転手は上手いのか、それともド下手くそなのか』


 私は『9割がド下手くそ』という意見で、オッサンは『上手いに決まってるだろ』という意見でした。ちなみに私も大型トラックのドライバーです。



 私が『ド下手くそ』の根拠として挙げたのが、登坂車線の使い方でした。


 9割以上の大型トラックは、たとえ登坂車線に入っても、半分も使わないうちにすぐに本線へ出てきてしまいます。

 たとえ後ろから追い越そうとしている乗用車さんがやって来ていても、ウィンカーを出すなりサッサとその前を塞いで出てきてしまうのです。


 それをオッサンは『余裕』だと仰いました。

「早く出ないと、ギリギリまで登坂車線を走っていたら本線に戻れないだろ」


 それに対して私はこう返しました。

「譲るために登坂車線走ってるのに、譲らずに出てくるのはおかしくないですか? まだ半分も登坂車線は残ってるんだから、そこで譲ればいいのに」


「そんなことをしていたら登坂車線の突き当りで止まってしまうぞ」


「登り坂で低下してた速度が復帰してから本線に入るんじゃなけりゃ譲る意味がないですよ。なんでまだ速度回復してないのに出てきちゃうんですか?」


「じゃあ、おまえは最後まで登坂車線を使い切って、本線の車と並走状態になったらどうすんだ?」


「こちらが速度調整して合わせます」


「それでももし本線に入れなかったら?」


「仕方なく登坂車線の突き当りで停止するしかないですね」


 オッサンが高笑いしました。

「バカか、おまえは? 道路上で停止すんな! 一般道ならまだしも、高速道路上だったら危険極まりないぞ! しかも登坂車線の頂上なんかで停止したら再発進してもなかなかスピードが上がらない。登坂車線はきつい登り坂に作られてるんだからな!」


「登坂車線の頂上は平坦ですよ。速度が回復してから本線に出られるように、登坂車線の最後あたりは速度回復のためにしばらく平坦になってるのがふつうです。下り坂になっているところもあります」


「そうでないところもいっぱいあるぞ」


「じゃあ、教えてくださいよ。もし、登坂車線を走っていて、半分ほどで早く出たいのに、本線の車が延々と並走してたら、おじさんだったらどう対処するんです?」


「仕方なくそのまましばらく走るな。本線のやつがけしからんのだ。幅寄せやウィンカー、クラクションで威嚇して退かせてやる」


「それでも並走され続けたら?」


「速度を落として先に行かせる。それがプロの技だ。わかったか?」


「さっき私が言ったこととそれ、同じですよね?」


「……」


「それが出来ると仰るなら、なぜいつもそうしないんですか? 譲るのが目的なんだから、登坂車線の半分なんかで出ようとせず、いつもそうすればいいんじゃないですか?」


「……そうだな」


「ね?」


 するとおじさんが言いました。


「運行管理者や上司に言われるならともかく……なんでおまえなんかに言われなきゃいけないんだ!」





『誰が言ったか』なんて、そんなに大事なことなんでしょうか?





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― 新着の感想 ―
おじさんのが悪いんだけど、問題は規則とは別の「常識」というのは基本多数決で決まってしまうという事。 多分おじさんはそんな常識で走っているんだろう。 ただまあ、最後のセリフはカッコ悪い。
ウン! オッサンの言い分に賛同します。 偶〜にだけど、此奴にだけは言われたく(書かれたく(感想で))無い、って思う作者さんがいるので。
[一言] え、やなおじさん…!!(´・ω・`) ↑ポロッと出てきた感想が本当にコレでした。
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